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ハワイの恋が終わり苦しみの先に悟りへの道が開けた 7


ヌウアヌ通りの上に上ると広範囲の墓地がある


題一章 5 クリスはボディガード

りさは一人で夕方から散歩に出るのが不安だと言う話をクリスにした。
クリスは
「僕がご一緒しますよ」
と快く申し出てくれた。
クリスとの初めてのお出かけは、モアナルアビーチのお散歩。日が暮れていた。
りさはマノアレタスとスイスチーズ、高級なハムを入れたサンドイッチと、ストロベリーにチョコレートをコーティングしたデザートを持って行った。これでクリスのハートはつかめるなと確信していた。ハートをつかんでボディーガードになって欲しい位の意味。
別に好きなわけではないけど、話をしていて楽しかった。話の内容は、宗教やスピリチュアルな分野の話題だった。彼は宗教者だから、見えない世界を当たり前に容認している。ただ、ここのところが、キリスト教徒と仏教の違うところで、キリスト教は生まれ変わりは無いとしている。死んだらクリスチャンは、全員天国へ行くと約束されていると言い切る。天国は良いけど、行ったままなのか。解脱なのか。そんなわけないことは、クリスも私もわかっているのだ。その点、クリスは若い故なのか柔軟に考えていて、キリスト教に囚われずに、彼なりに学んでいるので、そのような話が面白かった。


晴天のアラモアナビーチパーク


彼がりさのことを女性として興味がある事はわかっていたし、今の彼とは終わりそうな気配があったし、ちょっとからかう位の気持ちだった。
「サンドイッチを手作りしてくださるなんて、サプライズです!すごく美味しいです、ありがとうございます」
クリスは言った。
(うわっ、りささんは思いやりがあって優しいな、僕のことが好きなのかな)と思った。
想像以上に、クリスはサンドイッチとデザートを喜んで食べてくれた。
二人で夜のアラモアナビーチの土手に腰を掛け、ヤシの木が入った写真を撮った。
ブログに載せようと思った。意図的に。クリスの腕が少し入った写真をブログに載せた。
数日経って事件が起きた。その写真がいけなかったのだ。
ジョイスの知るところによって、逆鱗に触れ、りさのありもしない悪口を教会の理事たち、ボードメンバーズに告げられたのだ。
りさはいきなり教会にとって悪い人間になり、礼拝で弾いていたオルガンの仕事は、中止になった。
クリスはりさに、事の真相を話さなかった。だから私はなぜ中止になったかをあまり知らなかったが、それほど疑問もわかずに、今まで通り、合唱の練習日と、クリス牧師のケアホームの慰問にだけ行くようになった。

クリス牧師の判断は良かったのだと思う。りさのことをますます好きになっていたクリスなので、教会が良く思ってないことを隠した。そのおかげで、りさも教会には嫌な感情を持たなかったから。全てを知っていればクリスと会うのもやめたと思う。
その散歩があってから、今度は二十二歳の若い子が現れた。  

クリスと次に散歩に行く日を決めた。クリスは、二十二歳の子が帰った日に設定していた事を、りさは知らなかった。


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