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三線の花

全部が苦しかったわけじゃない。
楽しい時間もあった。
幸せな日々も確かにそこにあった。
ただ、孤独がもう拭えなくなったのだ。
そこに居るように扱ってはもらえないのに
"家族"でいることが
「これはきっと幸せなことだ」と
自分なりの世間体と社会の答え合わせだけで
なんとか自分の存在と正当性を成り立たせようとしていた。

そんな虚しい日々の中での
ほんの小さな幸せなヒトカケラが
たまに思い出の曲と共に自分の中に流れてくる。
あの時を生きていたんだ、と。
自分の中で少しだけ煌めいて
ゆっくりと霞んで消えていく。

思い出とはいつもそういうものだ。


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