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わたしには、高精度の感情分析装置とセンチメントスコア計測装置が搭載されている。

 今日もどうでもいい話。仕事が立て込んでいるので、書くのに時間を取られる考え込んだ話は書けない。どうでもいい話月間。

 さて、今日言及したいのはこちら。まずこちらの記事をお読みになって欲しい。

 平成30年度のセンター試験(追試験)より、中野孝次著『鳥屋の日々』。

「ぼくは本当は父が好きだったんだと思う。」

という一文、その「ぼく」の心情に最も近いものはどれかを選択肢1~5の中から選ぶという問題。これを、NTTCom社が提供している自然言語処理API、COTOHA「感情分析 V1」を使って解いてみた、というのがこちらの記事。

 ほっほう、面白いな!と思って、最後まで読んだらCOTOHA大正解、期待通りとても面白かった訳なのですが、わたしも並行して一緒に解いてみたんですよね。

 なんと、『鳥屋の日々』の当該部分も読まず、問題文も読まないまま、

「ぼくは本当は父が好きだったんだと思う。」

この「ぼく」の呟き一言と選択肢を眺めただけで、(あー……これだわね)と何となく分かってしまった。そして、わたしも正解だった。

 現代国語はともすれば、解答テクだの受験テクだの、「ほんとうに作者の気持ちがそうかどうかは分からないじゃねぇか」という身も蓋もない嘲笑だの、いろいろ飛び交いますけど、別に受験テクじゃねぇよ。もうさ、テクも何も、「ぼく」の気持ち、まる分かりじゃん!

「本当は」とかさ、好き「だったんだと」「思う」とかさ、このこじれてる感じ!煮え切らない感じ!スパンと断言すればいいのに、こう、あっち行ってこっち行って迷い惑ってためらった挙句、「好きだったんだと思う」なんて、ちょっとメタな、自分の気持ち俯瞰してみました、的な格好つけと取り澄ましポーズの味付けを加えて、やっと「好き」と漏らせる感じ!なんなら、「ぼく」なる一人称を使ってるところにも、何らかの「ぼく」の自意識くらい読み取っちゃうよ!

 COTOHAの分析精度、凄ぇ!と感心するとともに、このテクノロジーの粋と同じ分析結果を「なんとなく」で導き出せるプロセスが無料で!開発しなくても!脳みそに搭載されてるわたし、凄ぇじゃん、て思った。ここはテクノロジーの進歩凄ぇな、って結論に行くべきところなのかもしれないけど、逆に人間の脳の働きの神秘を感じちゃうね。

 もうさ、応用編として

「わたしは本当は、彼が好きだったんだと思う。」

みたいな一文が出てきたら、もーこの一文だけで、「わたし」の外見とか性格とかバックグラウンドとか「彼」と「わたし」の関係性とか、簡単に妄想して組み立てちゃったりしちゃうから!

 とはいえ、わたしはエクストリームな他者理解法を自然に取ってしまうほど、共感・共振・憑依タイプではあるので、さほど一般的でもないのだろうと思うけれど。そして、「作者の気持ちを考えよう」的なの「The 文系!」で片付けられますけど、そういう機能を搭載してるか否かは、文系とか理系とかそういう話じゃないんだろうな、とも思う。わたしも守備範囲は、文系理系またがってますしね。

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カバーイラストは、「みんなのフォトギャラリー」より、yusaku さんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます!


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