女子が高学歴でも高収入でも、別にびびる必要はない。男子も、女子も。
昨日書いた稿「なぜ、中国やフィリピンから女子を連れてきてはいけないか。」を、note のおすすめに取り上げていただきました。ありがとうございます。この稿は、今までおそらくわたしの稿を読んだことのなかった方も読んでくださったみたいで、そういうところに届いたことが嬉しかったです。
今日の稿は、一種その続きです。「女子が高学歴だったり高収入だったりすると、なんか不都合があるのか?」という話です。「あー、またそのテの話かぁ……」と思われた方も、とりあえず読んでみてください。多分、結論がちょっと違うと思うのです。
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「中国人との縁組はもうしないのか」は結婚支援員さんたちの集まりで出てきた話だったが、もうひとつ、別の支援員さんから出てきて、考え込んでしまった話があった。それが、「最近は女性が高学歴で収入も増えたから、だから結婚が減った」という話だ。この話は今までたくさんの女の人たちが否定してきたし、結婚や少子化の問題に取り組む人たちの間では「女性の社会進出に伴って一時は出生率が落ちるが、その後、女性の地位が整備されて社会に定着し、安定のフェーズに入ると、今度は出生率が上がる」というのは常識なので、理屈で言い負かそうとすればできる。しかし、こちらも何度も繰り返し繰り返し男性の間から湧き上がってくる述懐なので(女性の中にもそう考える人はいるかもしれない)、そういうふうに実感してしまう「何か」があるんだろうなと思う。
しかし、わたしはこの話がうちの町の結婚支援員さんたちの中から出てきた時、(ええっ?)という違和感を持った。なぜかというとまず第一に、わたしは独身男性から「自分より頭のいい女の人はちょっと……」という要望を聞いたことはあっても、独身女性から「あの人はわたしより学歴が低いので、すみません」という類のお断りを聞いたことがないからだ。そして第二に、「うちの町にははっきり言って、高卒女性がごろごろいる」というのがわたしの実感だからだ。なんだろう、見えている世界が違うのか。
第一の点から話を進める。まずこの話が持ち上がった時点で、支援員さんがそれをこぼす相手たるわたし自体が大卒女子だという矛盾があるのだが、支援員さんには、わたしがそっちの仲間の高学歴女子だという意識はなかった筈だ。それから、わたしが相談を受けて女子の好みを聞いたり結婚観を聞いたりした独身男性たち、「自分より頭のいい女の人はちょっと……」の類の発言をした人でさえ、わたしが大卒、さらに自分で言うとイヤラしい感じになるので恐縮だが、大卒女子の中でも結構上位クラスの大学卒だということに、まったく気づいていなかったと思う。
ここで言いたいことは、ちょっと話したくらいで相手の女子の学歴の高低などに気付く男子はいないし、自分の学歴を普段からダダ漏れさせているような高学歴女子などいないということだ。つまり、男子の言う「自分より頭のいい女の人はちょっと……」は、「あなたが自分より頭が良く感じられて辛いので、申し訳ないがお引き取り願いたい」という話ではなく、「目の前にいる女子が頭がいいのか悪いのかは分からないが、付き合う相手より自分の方が頭が悪いという羽目になる可能性は、最初からゼロにしておきたい」ということなのだと思う。
対する高学歴女子の心情は、自分もそうなのだがこの件について他の方が発信することを観察していても、「男の方が高学歴だろうが低学歴だろうがどっちでもいいが、それによって卑屈になったり妬んできたり不機嫌になったりするのは勘弁してもらいたい」だと思う。そういうことをされると、「素のわたしをお見せします」どころの話ではなくなる。わたしの元夫の出身大学はわたしの知らない私大だったが(高飛車ですみません、びんぼうで国公立以外許されてなかったので、私大を知らないのです)、元夫は大学名でネチネチ言うようなところはなく、むしろ嬉しそうだったので、だから曲がりなりにも婚姻関係に進んだんだよなあ、と思う。ただ元夫は、「カタカナ変換したい時は Ctrl+I で一発変換できる」くらいのことすら教えることができないほど(ごめん、だって、スペースキーずっと叩き続けてるところ見た時、衝撃受けたもん!)、妻が自分より知っていることがある、ということが我慢ならなかった。多分、彼の中では、学歴と能力はリンクしていなかったんだろう。ちなみにわたしはどっちかというとキーボード入力に特化しているので、彼はPCのカバーを開けていろいろいじることができた。しかし、自分に能力がないふりをするのは、ほんとにつらい。「そいつ、バカじゃねえか」と思った男性もいるかもしれないが、もしあなたが彼女の出身大学や会社のランクを不機嫌に感じるのなら、同レベルのお話である。
とはいえ、「そうはいっても、ちょっと劣等感を感じてしまう」「同じくらいのレベルの相手がいい」という気持ちも分かる。女子も同じだと思う。高尚過ぎる相手や意識高い話ばかりする相手は気詰まりだったりするし、高尚な話や意識高い話が好きな人は、好きな人同士くっつけばいい。そこは相性だし、お付き合いにはそれが大事だ。そこで、2点目の話となる。「その子が高学歴の女子だと思ったら、高学歴の男子を紹介すればいいじゃないの!」ということだ。逆を言えば、「男子が高卒で、大卒女子は苦手そうだと思ったら、高卒女子を紹介すればいいじゃないの!」である。高卒女子は、別に高卒男子を嫌わない。
支援員さんとわたしの目に映る女子に違いがあるのかもしれない、という気はする。わたしの欠点だと思うが、わたしの目には大抵の女子は、「わたしより学歴が低くて、可愛い子たち」と映る。すみません、やばいよね。こう、どこの尊大男だよ、って感じで。でもほんとにすみません、わたしは年上のおばさま世代の女子たちでさえ、「可愛くて、守ってあげて、リードしてあげなきゃいけない相手」みたいな気持ちになる。やばい。男だったら袋叩きに遭いそう。これには自分でもよくないと思う。見下している訳ではないし、そういう相手がわたしより優れている分野を持っていることも知っているし、わたしができないことができることも知っている。ただ圧倒的に、他の女子に「頭が良くて、脅威!」と感じたことがないのだ。育ちのせいで。というよりも、男子にも「頭が良くて、凄い!」と感じたことがない。でも、子どもの頃からそういう環境だったので、頭ひとつ抜けていても周りの子と普通に付き合う関係を覚えてきたし、逆に、頭いい男子女子からライバル視されることにも慣れていないのだ。そういう背景があるので、わたしには支援員さんの言う「学歴高すぎ女子」が目に入らないのかもしれないとも思う。
それでも、うちの町には高卒で就職し稼いでいる女子が、普通にそこいらへんにいっぱいいる。普通に高校を出て、接客してたりレジを打ってたり受付カウンターの奥で事務してたり、高くない給料で地道にこつこつ仕事しているような女子が、いっぱいいる。「女子の学歴が高くなって……」とこぼす人は、どうしてよりにもよって、大学出てて、いい給料もらえるような仕事に就いてて、自力で生きていけそうな、キラキラ女子にばっかり目をつけるのか。
キラキラ女子は相手にすんな、という話でもなくて、彼女らは自力で頑張って勉強して大学に行った頑張り屋さんなのだし、いい給料って言ったってうちの町ではたかが知れているから、なんていうか、そんなに眩しい雲の上の存在でもなくて、彼女らだって高卒女子同様、普通にこつこつと生きているのだ。「やっぱり違いますヨネー」とか特別視するほどではない。それに、うちの町にそんなに大卒女子がいると言うなら大卒男子だっている筈で、こんな田舎の町なのに、大卒女子大集合みたいな、日本全国の割合とは逆の勾配の男女間学歴差が存在する訳ないだろう。もし大卒女子が高卒男子を嫌がるなら(後述するようにそうとは限らないのだけれども)、大卒女子には大卒男子を紹介してあげればいいし、高卒男子には高卒女子を紹介してあげればいいのだ。それをなぜ、あえて大卒女子にロックオンして、その上で彼女の学歴が高すぎるだの収入が多すぎるだのとケチをつけるのか。高いものは今さらへずりようがない。キリンの首が長すぎるような進化をしたから野生動物が減る、とか言われるようなものだ。キリンだって「えええー」となる。
「そうは言っても、実際女子に話を聞くと、年収とかお勤め先とか言うじゃないか」と思う方もいるかもしれないが、それはある意味当たり前だ。アンケート項目にマルをつける方が自由記載より簡単なのと同じ理由だ。具体性がなくてイメージに乏しい話は、単純化して語るしかないのだ。男性だって同じだろう。漠然と「どんな女子が好みだ」とか訊かれたら、年齢とか外見とか「やさしい人」とか語るしかないだろう。初対面で自発的に好みの異性のイメージを詳細に語り出したりしたら、むしろ気持ち悪い。なんていうか、アプローチの仕方が悪いのだ。持って行き方で、その人から引き出せる言葉は変わるのだ。
結婚したくてうまくいかない男子に伝えたいのだが、女子が高学歴だったり高収入だったりすることにびびるな。あなたが闘わなければならないのは、その女子のハイスペックさではなくて、ハイスペックさに自己防衛心を刺激されて、その要素を遮ることで絶対負けない勝負に逃げようとする、あなたの心だ。もしその女子があなたの前から去ったとしても、それは(やっぱりハイスぺ女子は俺を選ばないのだ)ということではなくて、その女子があなたに合わなかったからだ。女子はあなたのスペックで足切りするのではない。実は、その後ろにいるあなた自身を見ている。
多分、そっちの方が怖い。「女は、学歴や年収で判断するから」と思っておいた方が、簡単だし、怖くないし、傷つかない。だって、「俺の人間性にNGを出している」と受け止める方が、しんどいから。でも、そこを受け止めないと、あなたは高学歴高収入女子の本心に気付かない。そしてこれは、学歴とか収入に限った話ではないのだ。「俺は長男だから」「親と同居だから」「地元から離れられないから」結婚できない、と自分に言い聞かせたり、忸怩たる思いを抱えている男子がいたら、同じように考えてみて欲しい。そこに、逃げ込まないでくれ。女子は、あなたが「長男だから」結婚しないのではない。長男だからそこんとこ理解して、それに含まれるもろもろの大変さは全部そっちで引き受けてくれ、そういう丸投げが見えるから、あなたが親との間に立ったり調整したり面倒事を片づけたりするための動きをまったく見せないから、「長男だから仕方ない」に留まってしまうから、「長男さんは、ちょっと……」と無難にお断りするのだ。
あなたは、安全圏に居続けて、「女子が俺を選ばない」と言い続けることもできる。安全圏の中で、その安全を脅かさない女子だけ待ち続けることもできる。ただ、もう首の長くなったキリンである女子は、その首を折ったり屈めたりすることは苦痛なのだ。勿論、あなたが怯えないですむ女子もいる。ただ、あなたの安全を脅かさない女子だって、あなたがその女子が好きだというよりも、脅かされないことに安心しているのだということはなんとなく分かるから、この程度の女子なら俺に釣り合うだろう、そういうやり方でその女子を軽視していることが分かるから、傷つく。安全圏から出て、その上で本当に居心地よい女子を見つけること、その方がきっと、学歴や収入に関係なく、あなたも女子も、幸せになる。
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カバーフォトは、「みんなのフォトギャラリー」より、ワタナベアニ さんの写真を使わせていただきました。ありがとうございマス!
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