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ウナーゴン
2018年10月31日 23:31
それが何年前の出来事だったか、今となっては定かではない。僕と友人は長い休暇を利用し、遥か異国の街へと観光に来ていた。華麗な建造物の合間を縫うように、強い日差しを照り返す石畳の坂道が、上へ下へと曲がりくねりながら、どこまでも続いている。2頭の驢馬が、大きな果物籠のような荷台を背に乗せ、急な坂道をゆっくりと進む。それぞれの荷台で揺られているのは、僕と友人、そして観光客一人ずつについている
2018年10月13日 18:53
その日、大量の水が街を襲った。呪術結界が施された強固な石の外壁が、轟音と共に押し寄せた水流によって破壊された。外部からの攻撃だ。やつら、とうとうここまで力をつけやがったか。自治会のおじさんがぼやいた。度重なる攻撃が段々と威力を増しているのは、僕も感じていた。ひとしきり荒れ狂った濁流は、昼前には収まった。幸い死者は出なかったが、街中が水浸しになった。誰しもが異変に気づいたのはその
2018年10月8日 17:47
《街》にダイヴするとき、決まって全身全霊を総毛立つような感覚が駆け抜ける。自我を除く全情報が書き換えられ、私達は指定座標に出現する。私は耐刃レザーのボディスーツ、パートナーのエドはへんな騎士鎧の姿だ。「なあオリー、本当にこんな場所に適合者がいると思うか?」エドの機嫌が悪い。「さあね、おやっさんが言うのだから確かでしょうよ」《街》。それは無限に続く巨大な一本の通廊の形をした閉鎖系世