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銀行員を志した理由

こんにちは、常磐三千太(ときわみちた)です。

今回は私が新卒で銀行員となることを志した理由について、お話ししたいと思います。

これから銀行員を目指そうと思っている学生の方はもちろんですが、いま銀行で働いていて「働きがい」を見失いつつある現役銀行員の方にとっても、新たな気づきが得られる記事となっていると思います。

ご自身のの就活やキャリアと重ねながら、最後まで読んでいただければ幸いです。

1.いろんなヒトに支えられている

時はさかのぼり、高校3年生の8月。
その後の価値観を作る、小さな出来事がありました。

私はスポーツが苦手でしたが、何か体を動かす部活に入った方がいいと思い、中学から弓道部に所属していました。中高一貫校で6年間続けた部活も、残り1ヶ月。9月には引退試合を控えていました。

長野県の山奥で夏合宿をしていた私は、練習の合間に「ここに来るのももう最後か〜」などと同級生と感慨に浸っていました。そんなとき、うっそうと茂った草むらの中から大きな蜂が出てきて、私の足の甲を刺しました。猛烈な痛さとともに、みるみる腫れ上がってきました。

顧問の教員に連れられ、近くの病院で受診。冷やす以外に処置のしようもなく、足袋が履けないほどに肥大化した足を引きずり、合宿所に戻りました。

その日はろくに練習もできず、最後の合宿にもかかわらず歯がゆい思いをしていました。後輩たちにも格好がつかず、なんともやるせない気持ちでした。

しかし、まわりの部員は足が腫れている私を気遣ってくれました。ほんとうに、よく気遣ってくれました。足をかばう私に手を差し伸べ、椅子を用意し、不自由ないよう手伝ってくれました。

後輩が私の目の前に椅子を置いた時「あぁ、自分は本当に色々な人に支えられているんだな。。」と身に染みて感じました。まわりの部員や顧問、家族などの支えがあって、これまで部活をやってこれたのだと、心の底から思いました。

その刹那、ちょっと不思議な感覚とともに、視野が急速に広がりました。こういうのを「アハ体験」という言うのかもしれません。若干のスローモーションの中で、大量の情報が目に映る感覚です。

後輩が持ってきてくれた「椅子」を見て、こんな事を感じました。

この椅子を設計した人、製作した人、販売した人、運搬した人、納品した人、ここに持ってきてくれた後輩、その全ての人が関わってこの椅子がここにあるんだ。

ちょっと気持ち悪いですよね、私もそう思います。でも、本当にその時は「椅子」を通して、その奥の様々な人が見えた気がしました。

さらに目線を移すと、「弓」「矢」「道場」「道場の蛍光灯」、、、全てのモノに、本当にいろんな人が関わっています。誰かがデザインし、誰かが作って、誰かがここに持ってきてくれています。

すべての(少なくとも)人工物については、本当に多くの人が関わっていて、自分はそれらのモノ・ヒトに支えられているんだという実感を得ました。

この「いろんなヒトに支えられている」という実感が、後の就活の軸になりました。

2.いろんなモノは「金融」に支えられている

無事弓道部を引退し、高校を卒業した私は、2ヶ月だけアコースティックギターのサークルでゆるふわ生活を楽しんだ後、気付いたら体育会の弓道部に入っていました。

部活は週6日、コンビニのバイトも2ヶ月でやめ(本当にごめんなさい)弓道漬けの毎日でした。

せっかく第一志望の経済学部に入学したのにも関わらず、勉強はろくにせず、たまに出る授業は完全に睡眠時間となっていました。

そんな中、唯一最前列で聴講していた授業がありました。

19世紀の産業革命以降、産業の移り変わりと金融・財政の関わりに関する事を題材とした「金融経済論」。その中で印象に残っているくだりがあります。

要約すると「航空機の胴体部分の建設工法に技術革新があり、製作コストを抑止することができた。これにより、航空機産業が拡大した。」というものです。

「へえ」と言えばそれまでですが、当時の私は「金融経済論」の授業で、航空機の作り方まで言及されたことに衝撃を覚えました。

「ぞれぞれの産業のことを理解するには、その産業に流れる資金の動きを理解していなければならない。少なくとも資本主義社会では、金融と産業は強く結びついている」ということに感動しました。

それまでマクロ経済や統計学などの理論的な学問が中心だったので、なんとなく実感として薄かった「カネ」と「モノ」が、完全に結びついた体験でした。

これは時が経ったいまでも、強く感じます。金融のあり方が変われば、産業も変わります。

例えばクラウドファンディングです。新しい金融の仕組みとして世の中に出てきて久しいですが、クラウドファンディングのお陰で世の中に誕生した「モノ」が数多とあります。金融のイノベーションによって、価値のある「モノ」が作られたいい例だと思います。

このように、資本主義の世の中では金融に無限の可能性があると気づいたのです。金融を通じていろんな「モノ」を好転させることができると思い始めましたのも、この頃でした。


3.「金融で世の中を支えたい」

これがいわゆる「志望動機」です。実際に新卒の就活で書いていた「ES」の志望動機欄一行目に書いていた言葉です。

でも、この時はなぜ志していたか自覚していませんでした。いま振り返って、やっと分かってきたような気がしたので、こうしてnoteに書くことができています。

私は第二地銀に入行し、約10年で転職していますが、また銀行に来ています。新卒の就活の時に「銀行」を諦めずに受け続けた自分を褒めたいです。

その時はよく分かっていませんでしたが、‘なんとなく銀行かな’と思っていた感覚を大切にして就活を続けたのは良かったと思います。


4.おわりに

みなさんはなぜ銀行員になりたいのでしょうか?もしくはなったのでしょうか?この記事を通して、少しでもご自身の想いを振り返って頂けたなら、これ以上嬉しいことはありません。

現役銀行員の方の中には、私のように「銀行業界を目指した」方もいれば、「なんとなく、給料が良さそうだから」「つぶしが効きそうだから」という理由で入行した方もいるかもしれません。

もし前向きな理由でなかったとしても、せっかくこの業界に来たのであれば、ぜひ今後もこのキャリアを活かしていただきたい、というのが私の個人的な想いです。

銀行機能は社会を支えるインフラです。その機能を支えている皆さんは、産業を変革して世の中を良くするポテンシャルを持っていると、私はわりと本気で思っています。

高校3年生の夏、「椅子」の先に見たヒトの中に、皆さんもいるのだと思います。

以上、常磐三千太でした。

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