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Love Love Manhattan by らうす・こんぶ

今回のテーマ : マンハッタン 

♪大学の図書館で君に会う夢を見た。大学なんか行ったこともないのに。君はマンハッタンの夜景よりもきれいだった。マンハッタンなんか行ったこともないのに。恋はいつも現実離れ。だから今夜も妄想ばかり〜♫
♪♪Love Love Manhattan, Manhattan Love Love♪

https://www.youtube.com/watch?v=Sc_BAISIte0

2003年秋に放映された「マンハッタンラブストーリー」のテーマ曲、TOKIOが歌う”Love Love Manhattan”がすごくいい。詞(宮藤官九郎)がいいし、曲もいいし、TOKIOの歌も曲のイメージに合っていて、聴いていると肩の力が抜けて何だか優しい気持ちになってくる。


10年くらい前にテレビドラマ「マンハッタンラブストーリー」を見る機会があって、この歌も何度も聞いた。歌の中では夜景のきれいなマンハッタンを妄想しているが、私は妄想だけじゃ満足できなくてマンハッタンに行った。でも、

「君はマンハッタンの夜景よりもきれいだった。マンハッタンなんか行ったこともないのに」

とマンハッタンに勝手な妄想を抱きつつも、「ああ最悪、髪型が決まらないよお!」と鏡の前でぼやいている情けなさもいいなあと思う。勝手にイメージを膨らませて遠くから見ている方が美しいものはたくさんある。現実を見ないで妄想の中だけで楽しむというのはアリだ。

私はニューヨークに長年住んでいたが、実際にマンハッタンの夜景を見たことは1度もない。見たことがあるのは映画やテレビドラマで上空からヘリで撮影した夜景だけ。だからマンハッタンに行ったことがない人と同じだ。


ニューヨークに来て初めて泊まったのは、マンハッタンのアッパーウエストサイドにあるホテルだった。タクシーでホテルに着き、部屋に荷物を置くとすぐ、ブロードウェイを歩いてみた。通りには光があふれてキラキラと輝き、人々が楽しそうに(そう見えた)歩いていて、まるで自分が映画の中にいるような気がした。あのとき、私は自分が妄想したマンハッタンの中にいた。


でも、気がつくとマンハッタンのあのときの輝きは消えていた。私にとってマンハッタンがいつか行ってみたい憧れの場所から生活の場に変わり、現実になったからだ。キラキラしたマンハッタンではなく、そんな生活者のマンハッタンをいつしか私は好きになっていた。

                ■

らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

らうす・こんぶのnote: 

昼間でも聴ける深夜放送"KombuRadio"
「ことば」、「農業」、「これからの生き方」をテーマとしたカジュアルに考えを交換し合うためのプラットフォームです。


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