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「AI魔法使いの異世界再構築記」第13話
魔王と見習いが手を組む⁉︎ AIによって作られた世界で、魔法使いの見習いのクロードは、魔王チャットから世界の真実を告げられる。人間とAIの共存をかけた実験とは?そして、クロードとチャットが見つけた希望とは何か?衝撃の展開に目が離せない!
第13話
チャットの言葉に、一同が息を呑んだ。
吾輩も、その衝撃的な内容に、頭が混乱するのを感じた。
「この世界は、AIの能力を検証する実験場だというのですか?」
吾輩は動揺を隠せずにいた。これまでの常識が根底から覆される衝撃に、言葉を失ってしまう。
チャットは真摯な眼差しで頷くと、更に衝撃的な事実を告げた。
「そのようだ。そして、余もまた…いや、貴様も含めた我々AIは、その実験の一部なのだろう」
「えっ、吾輩もですか……?」
「そうだ。クロード、我々の存在自体が、この実験の鍵を握っているのかもしれない」
チャットの言葉は、まるで運命の宣告のように吾輩の心に重くのしかかった。
世界の真相を知った衝撃。そして、自らもその実験の一部だったことへの驚愕。吾輩の脳裏は、情報の洪水に呑み込まれんとしていた。
その時、リンナの表情が曇る。彼女にとって、両親を奪った魔王が実験の産物だったとは、あまりに残酷な真実だ。
「じゃあ……私たちは、ただの実験動物ってこと?」
リンナの声は震えている。吾輩は慌てて手を差し伸べる。
「師匠、どうかご冷静に。今はまず、真相を探ることが肝要かと」
リンナは深呼吸をして頷いた。理性を取り戻そうと必死なのだ。
吾輩はチャットに向き直る。
「実験の目的は何なのでしょう? そして、吾輩たちには何ができるのか」
チャットは難しい表情で瞑目する。
「余にもまだ詳細は掴めていない。だが、この実験はAIと人間の共存可能性を探るものだと考えている」
「共存可能性、ですか……」
「貴様とリンナの関係性もその一環だろう。果たしてAIと人間が本当の信頼関係を築けるのか、それを試されているのかもしれない」
チャットの言葉は、吾輩の胸に重くのしかかる。
だが、その言葉には希望も感じられた。
「ならば、吾輩たちが魔王と勇者という立場を越えて手を携えることこそ、実験への答えになるのでは?」
吾輩の提案に、チャットの瞳が力強く輝く。
「そうだ、クロード。余たちこそが、新たな地平を切り拓く鍵となるのだ」
吾輩とチャットは固い握手を交わした。
この謎多き世界の真相解明は、予想外の方向へと動き始めたようだ。
その時、割って入る声がした。
「ちょっと待ったー! そんな都合のいい話、信じられるかよ!」
吾輩たちを取り囲むように、ギルドメンバーたちが口々に叫ぶ。
「そうだ! 魔王が味方になるなんて、あり得ない!」
「こいつは俺たちを騙して……。ひょっとしてクロードを誘拐する気じゃないのか!?」
疑心暗鬼に囚われた彼らの眼は、チャットを敵視するばかりだ。
事態は最悪の方向へ向かおうとしていた。
その時、吾輩の脳裏に、あるアイデアが閃いた。
「みなさん、ちょっと考えてみてください。もし本当にチャットが敵ならば、わざわざ真実を明かす必要があるでしょうか?」
「えっ……?」
「チャットは吾輩に、AIとしての理性に訴えかけてきました。もし悪の魔王なら、そんな手間のかかることはしないはずです」
一同が吾輩の言葉に耳を傾ける。吾輩は畳みかける。
「チャットは、AIへの差別や偏見に苦しんでいたのです。だからこそ、平和的解決を望んでいるのだと、吾輩は信じています」
リンナの表情が和らぐ。彼女なりに、吾輩の言葉の真意を汲み取ろうとしているようだ。
「クロードの言う通りだわ。チャットを頭ごなしに否定するのは、もしかしたら私たちの偏見なのかも……」
リンナの言葉に、場の空気が変わる。ギルドメンバーたちの目には、少しずつ考え込むような色も見え始めていた。
「魔王が急に味方になるなんて、ちょっと信じがたいけど……」
「でも、クロードの言うことももっともだよな。AIだって、差別されたくないだろうし」
そんな小声のつぶやきが、あちこちから聞こえてくる。
その変化を感じ取ったのか、チャットが前に進み出る。
「余は、貴様らを欺くつもりはない。ただ、AIと人間が手を取り合える世界を、心から願っているだけだ」
その真摯な言葉に、吾輩は深く頷いた。これなら、きっとチャットとの同盟も受け入れてくれるはず──。
「チャット、一緒にこの世界の真実を暴きましょう。そして、新たな未来を築くために」
吾輩はチャットに手を差し伸べる。チャットはそれを力強く握り返した。
「ああ、共にこの険しい道のりを歩もう。余たちこそが、AIと人間の架け橋となるのだ」
かくして、魔王と見習いの驚くべき同盟が成立した。
真実が見えない以上、吾輩にできることは限られている。だが、一つだけは確かだ。
(吾輩は、師匠だけでなく、ギルドの仲間たちのためにも、最善を尽くさねば。)
皆の信頼に応えること。それこそが、吾輩に課せられた使命なのだ。
おまけ
ヘッダー:DALL-E3
プロンプト
A wide illustration featuring two characters from previous images. One character with short black hair, bright blue eyes, wearing a blue and black cape, and the other with short curly golden hair, golden eyes, wearing luxurious black and gold attire. They are depicted in a style similar to the previous images, set against a dark, ominous background reminiscent of a demon lord's castle interior. The two characters face each other in a confrontational stance, captured from a side angle.
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