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腕時計の価値はどこにある?

自分の好きなことを書こうと思ったら、腕時計の話ばかりになってしまいますね…笑
いや、気にせず書いていきます!!

ではでは、早速。
腕時計の世界には、ヴィンテージ時計と分類されるものが存在します。
名前の通り古い物、ヴィンテージ品というものですね。

どのブランドも歴史があるので、当然超名作時計の初期型や、もう手に入らない廃盤になったモデルが数多くのオーナーを経て市場に出てきたりするわけです。

あまり馴染みが無い世界かもしれませんので、ちょっと商品価値について説明しますね

ヴィンテージ時計は、発売当時のままの状態であればあるほど良いとされています。
その当時使われてたダイヤルの塗料、夜光塗料、針などなど。
これを変えずに、そのまま残っていて欲しい。
それがまぁ難しいんですよね

これは、作り手であるメーカーの方針と相反することだからです。
メーカーは使う人が正常に時計として使用できるようにメンテナンスをします。
塗装が極端に剥げていたり、針が汚れていたり、
夜光塗料が劣化していたり。
こういうものは、メーカーメンテナンスで取り替えられてしまいます。
当時使っていたものではなく、現代の最新版に。です。

ダイヤルの塗装や針が変わってしまっていると、ヴィンテージ時計としての価値は極端に落ちます。
専門的には、リダンダイヤルと呼ばれたりしますね。

その他にも、ヴィンテージ時計のお話は様々あります。
細かに話していると10万字の記事になっちゃうので割愛します笑

さて、ここからが本題です。

私の店ではヴィンテージ時計も扱っています。
メンテナンスも請け負ったりしている訳ですが、時々来店される方の中にはこんな人がいます。

父の遺品でこの時計を譲り受けた。
動かないが使いたいので、なんとか修理したい。

こういう場合、大抵は古すぎてメーカーでのメンテナンス対応は終わっています。
なので、メーカー外でメンテナンスするという形で終わります。
料金は要相談。って感じです

問題は、まだメーカーメンテナンスが出来る。
しかし、貴重なヴィンテージ時計になるポテンシャルがある個体です。
間違いなくメーカーに出せば、針は変わるだろうし、夜光塗料も現代のものに変えられるでしょう。

我々はこれを

勿体ない!

とお伝えしてしまいます。

メーカーではなく、メーカー外の工房でメンテナンスしませんか?
そうすれば今後手放される時に価値が残りますよ。
と話してしまうのです。

これは正しいのでしょうか??

大切なお父様の時計は、そのお父様の人生が刻まれています。
それを受け継いだご子息は、同じく自分の人生を刻んでいくわけです。
ならば、できる限り長く使い続けられるようなメンテナンスをするべきではないでしょうか?
メーカーでメンテナンスを受けられるうちに受けておくべきなのでは?
普段使いしやすいように、新しい針にして
よく光る蓄光塗料に変えて、ケースはピッカピカに磨くべきなのでは?

我々のような販売店、ないしはコレクターという立場の人間のエゴで決めてしまうのは良い事ではないと思います。

その腕時計の価値がどこにあるのか。
それを決めるのは我々ではなく、その時計の思い出を全て抱えている持ち主であるべきです。

しっかり話を聞いて、腕時計の何に重きを置くのか。
それを大切にしていきたいなと思いました。




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