どうせならもう
カラオケに行くのが好きになったのはいつからだろう。
小学生の頃は割と合唱コンクールで歌うのが好きだったし、もともと歌うことは好きだったんだと思う。
中高生くらいになると周りの目が恥ずかしくて歌えなくなった。
思春期ってやつだったんだろうか。
社会人になってからヒトカラに行くようになって、結構気分転換に1人で歌いに行く。
まぁ大抵ストレス発散目的としていくことが多いけど、好きな歌を好きなタイミングで大きな声で歌うことができるのは結構スッキリするものだ。
ストレス発散と言うと、聞こえが悪いことも十分承知の上だが、なんで日々こんなに「ストレスが溜まる」と感じてしまうのだろう。
忙しいから?
思い通りにいかないことが多いから?
気を使うから?
嫌ならやめてしまえばいいのに。
ぜーんぶ放り出して逃げちゃえばいいのに。
自分でも頭では分かってはいるんだけども。
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1ヶ月前、珍しく自分から「飲みに行こう」って親友にLINEを入れた。
基本的に忙しいかなとかなんとか、変に気を使い過ぎて自分から誰かを誘うことはあんまりない。(というかできない)
親友でいてくれる彼は、仕事も夜遅くまで残っているし、夜な夜な飲み歩いたりしているタイプだからなおさら連絡するのも悪いかなと遠慮しがちだった。
でもこの日ばかりは、彼と会って話したいと思って連絡してしまった。
約束の日の当日。
いつも通り、待ち合わせの時間に起床したとの連絡が入って1時間の遅刻が確定した彼を、カフェで読書をしながら待った。
もはや誤差2時間までは遅刻と思わないようになったし、その間に読めるように大抵リュックには本を忍ばせておくようにしている。
本を読みながら1時間待っていると、当然自分の周りに座る人も変わる。
本を読みながら嫌でも会話の内容が入ってくるのだが、その内容が聞こえてくるのももはや面白い。
最初に座ったのは30代過ぎに見える女性2人。
婚活をしているらしく、冴えない男性陣の愚痴や身の回りで結婚している同僚の愚痴で盛り上がっていて、耳が痛かった。
次に座ったのは40代に見える夫婦。
穏やかな雰囲気の彼らは、お買い物の話や夜何を食べるのか、お互いの仕事の話や今後やりたいことの話をしていて、なんか素敵だなと思った。
最後に座ったのは、女子大生3人組だった。
彼氏の惚気や金曜日の夜に過ごした刺激的な夜の話の報告、アプリで出会った男の報告等々、生々しい近況報告をしていた。
その横でおそらく付き合いたてであろうカップルは、居心地が悪くなったのだろうか、一気に飲み干して外に出ていてちょっと気の毒ではあった。
世の中色んな人がいるなあ〜と思いながら、あっという間に1時間がたって、彼と合流することができた。
会うや否やスライディング土下座をかます彼を、笑い飛ばして新橋に繰り出した。
そんな笑える時間を過ごすことを、望んでいた。
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半年ぶりに会ったことに驚きつつ、お互いの近況報告をしあった。
仕事の話、プライベートの話、最近の時事問題について、サッカーの話、彼が経験した新たな出会いやしょうもない合コンの話。
さっきカフェで聞いていたような、いろんな話を彼とした。
「マジで合コンで遅刻してくる男はなんなん!?許せねーよ。最初に盛り上げるのが大変なのにさ、場があったまった頃に来やがる。ほんと許せねぇ!」
と特大ブーメランであることも気づかず力強く語る彼にケラケラ笑い転げたが、
そういうのも含めてちゃんと女性陣は見てくれてるもんじゃないの?と適当に返しながら彼の熱い力説を聞いた。
イケイケの彼と、どちらかといえば内気な僕。
マシンガントークの彼と聞き役の僕。
全く正反対の彼とは多分バランスが良くて、心地がいいんだと思う。
唯一同じことがあるとすれば、ハシゴ酒をすることが好きなのと、テラス席が好きなことだろう。
彼とテラスであれこれ喋るようになったのは、かれこれ10年前、ドイツへ留学した彼に会いに行った頃からだろう。
それまでは2人でドトールとかミスドで夜更けまでだべっていたのが、ドイツでテラスの気持ちよさを知ってからすっかりテラスになった。
夜風に当たりながら、ゆっくり話す。
そんなことが好き過ぎる、男2人。
そんな関係でいられるのは、本当に感謝すべきだと思う。
新たな出会いもある中で、昔からの知人でも会って話す人はだんだん限られてくる。
貴重な時間を使ってまで会ってくれるというのは、本当に当たり前じゃない。
それが真面目に語り合おうが、バカみたいに喋ろうが、どっちだっていいんだ。
一緒にいてくれる、ということは本当にありがたいことだ。
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夜の公園で2人、酔いが覚めるまでだべっていたときのこと。
「んで、なにがあったの?」
そう切り出した彼に、笑いながら答えてしまった。
「いや、もういい。十分、救われたよ。」
「そか、また飲み行こうな。」
そんな、親友に救われた土曜日だった。
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