家族だけでひっそりと、棺はAmazonで購入…低コストでシンプルさを求める?X(Twitter)から見える今どきの葬儀事情
人生最後のセレモニーとなる葬儀。近年では家族だけで行う「家族葬」や、葬儀はしないスタイルなど、費用をかけずシンプルにしたいという人も増えつつあるようです。X(Twitter)では、実際に葬儀をせず家族を見送った人の体験などが投稿されており、リアルな声を知ることができます。
ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)が解説する「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」、今回は「今どきの葬儀」について掘り下げます。
Amazonでは2万円で棺桶が買える!購入した理由に肯定の声
豊富な品揃えに定評のあるAmazonですが、葬儀用の棺桶も購入できることをご存知でしょうか。あるXユーザーがAmazonで棺桶を購入した人のレビューを発見し「大変ためになった」と投稿。「新しい葬式の形」を感じさせると話題になりました。
レビューによると、購入者は亡くなった父を送る際、葬儀を行わずに遺体を直接火葬場へ運ぶ「直葬」という方法を選択。葬儀社に相談すると、棺桶の価格は12万円だったそうですが、Amazonでは2万円ほどで販売されていました。
注文するとすぐに届き、火葬の時間に間に合わせることができたそうです。直葬は一般的な葬儀より経済的なうえ、精神的負担がとても軽かったそうで「本人や家族が望むなら直葬を選択して後悔はないと断言できる」と強く主張していました。
レビューを読んだXユーザーからは「Amazonで棺桶を買えると知れてよかった」「家族葬という意味ではこれで十分なのかも」と肯定的な感想が。葬儀にかかる費用が抑えられることに大きなメリットを感じているようです。
また、若い世代のXユーザーからは「無印良品」に「お葬式パッケージ」の販売を期待しているという話も出ています。
この話を投稿したXユーザーは、無印良品が葬儀に関する商品やサービスをプロデュースした場合を想像しつつ「無垢材の棺桶、石材の色と形をそのまま活かした墓石、麻素材の喪服、リネンコットンの死装束、和の音を中心としつつもカフェにいるような安らぎの音楽…なかなかいいじゃん」と投稿し、賛同の声が集まっていました。
中には「段ボール製の棺桶とかそろそろ出て欲しい…葬式あげるような貯蓄できそうにないもの…」と、葬儀費用についての言及も。低コストでシンプルな葬儀の形を求めている人たちの存在が垣間見える投稿と言えるでしょう。
「葬儀は不要」の遺言通りにしたものの、遺族が困惑する事態に
「直葬」や「家族葬」といったシンプルな葬儀の需要が高まりつつある中、実際にその方法で行ったものの、困ったことも起きたという体験談がX上で拡散されたこともあります。
あるXユーザーは父親が亡くなった際、親戚のすすめで家族葬にしたところ「葬儀後にお悔やみをいいに来てくださる方が自宅にバラバラに訪れ、結果的に非常に負担と疲労が増えた」のだそうです。
また、同様に家族葬で祖父を見送った別のXユーザーも「じいちゃんの顔の広さを甘くみていた。半年くらいは(自宅に)ばらばらと人が来た」といいます。なかには四十九日が過ぎた満中陰の法要の後に、後から訪ねて来る人たちのために追加で法要を開いたというケースもあったそうです。
この投稿を見た人からは「葬儀って残された人のためにやるんだから、残された人が納得いく形で終われればどんな形でも良いんだよ」と労う声や、葬儀を行うことの意味について「葬式は遺族のためのセレモニー」「葬式は本人の意向は二の次でいいと思いますね」という意見もありました。
葬儀社が語る「人が集まって火葬して食事をしたらそれは葬式」
創業89年になる葬儀社の経営者で、Xにて葬儀に関する知識や見解を投稿している佐藤信顕さんは「葬式」の定義について「葬式なんか要らない、火葬だけで十分、そのお金で美味しいものを皆で食べてほしいっていうのは、普通にお葬式」と投稿しています。
もちろん宗教に則って行う葬式を否定するものではありません。宗教者を伴う形ではなくても、人が集まって故人を弔うことが十分に「葬式」だと言える……という主張です。しかし直葬という形に対して「妥当な理由がないと結構迷うし苦しむことになることも多々あります」とも指摘しています。
佐藤さんの投稿に対しXユーザーからは「死者を悼む心があれば、形式は問いませんということですよね」「亡くなった本人は(葬儀を)簡素にと思ってても家族はそれでは心残りがあるかもしれない」など、葬儀の在り方についてさまざまな意見が集まりました。故人の希望は大切ですが、やはり残された人たちの事情や気持ちにも目を向ける必要もあるのかもしれません。
このようにXの投稿からは、費用をかけずにシンプルな葬儀を望む声があると同時に、残された人たちにとってのセレモニーでもあるという認識を持っていることが伺えます。故人の意向を尊重しつつ、どのような葬儀の形であっても心の整理がつくよう、納得のいく形で見送る方法を選びたいものですね。
以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」でした。この連載は毎週月曜日に更新。これからもTwitterから見えた興味深いトピックを解説していきます。記事への「スキ」や「オススメ」、マガジン登録をお待ちしています。