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僕の15さいの墓標

硝子ならいくらでも割る僕は悪にもなれないがねむれるのなら

慎重に測定してよ身長を僕らの背丈は夏の積雲

キスをした。漫画の中のきみたちは。眺めることも叶わない夢

トラックよライトノベルのトラックよ僕の”ふだん”を消し飛ばしてよ

うだるようさくらが舞った春の熱身体の中に飲み込まれてく

浮かされて羽化しそこねた揚羽蝶それをみた君は気味悪がる

ディスイズアペンディスイズアペンと呟いた呪文のような僕の舌先

ふと見やり、路端の缶を蹴落とした。そうだよぼくはそんなやつだよ

殴らせろ天使の君のその面を僕らの街にもファイト・クラブが

きりりっと痒がる手首戒める痒がる心は戒められず

生え揃う毛を皆すべて剃り落とす僕にも取捨選択させてくれ

僕の声僕でなくなる気がしてさ合唱祭はサボったんだよ

そこにいる?そこにいないよそのひとはそれでも僕は君にム・チューだ

青い夏流れる水を手でこいであの子をずっと追いかける夏

いんいんいんいんいんいんいんいんいんいんセミは鳴き出す僕の喉もか

むがむがとするかとおもえば僕の喉吐き出す声が黒くなってた

どこまでも続くとおもったあの線路今見てみたら山で途切れた

「今なんて?」「お前の心はトーフだよ」トーフが茹でられ崩れおちてく

僕のもつナイフは両刃手に持ってお前を刺すと僕も傷つく

吹き消して15の夏は小さな火消えた跡には燃え殻のみが

水晶のような硝子を割らせてよ逸脱はいつか花になるから

まじないの言葉を唱える「バカヤロー」するととたんに勇気が湧いた

傷つけて傷つけられて傷つけて塹壕戦は春の香がする

逸脱は自分を保つおまじない解けると途端に土塊になる

平凡は耐えきれないよ少しずつ足をずらして左をむいた

僕がもし死んだとしたら夜空から僕が君らを包んであげる

30で死ぬとしたらばどうしようカタログめくりない夢を見る

あの光る夏が終われば僕も死ぬそういう覚悟で生きてるんだぜ

アルバムを見て微笑んだ君が好き僕の15の墓標は光る











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