見出し画像

アマエビではなく、アマビエなんだ

コロナコロナの毎日なので、わざわざ書くか悩んだけど、日本語で発信する一個人として、フランスや周辺諸国の現状を伝えるのは悪くないかと思い、起き抜けでPCに向かっています。

日本の妖怪「アマビエ」を描いて疫病の伝染を抑えようとする、日本独特のユーモアにちょっと心が揺れた朝です。(なんで、甘海老なんだ??と検索してもなかなか出てこず、アマビエを初めて認識した28才の春。)

こんな時だからこそ癒されちゃう一方で、平和な日本が心配……。

フランスは3月17日から外出禁止

さて。今日(3月19日)でフランスに来て丸3ヶ月が経ちました。前代未聞の長期ストライキについでコロナウイルスと、歴史の中をすごい密度で経験しているのを感じる……。

仏大統領の宣言によって、3月17日より最低15日間の外出禁止になりました。生活に必要なものを買いに行く時など、致しかたない事情の外出時は「例外的外出証明書」に必要事項を記入し、携行することが求められます。

画像1

▲パソコンで会見を聞く。「これは戦争です」とめっちゃ言ってた。

証明書を持っていなかったり、理由がふさわしくない場合は、罰金135ユーロ(約1万6000円)〜最大で375ユーロ(約4万4000円)を支払うことになっていて、すでに18000人の人が罰金の支払い対象として取り締まられているらしい。

いろいろ、やばいですよね。(語彙)

この強行手段にでる政府もやばいし、そこまででもしなきゃ言われたことをあまり守る気がないフランス人の気質もやばいです。

画像2

▲外出を控えるように言われた16日時点の地元の公園。
残念だけど感染防ぐには、罰金制度は必要な国だった……。

昨日(3/19昼)、買い出しのためにスーパーに行った際、道順的に駅前を通るのですが、散歩がてらベンチに座って談笑をする若者たちや、一人で日光浴するおじさんなど数人がいました。

まあ、(こんな状況でも)気持ちはわかる。

と、私も共感を抱いていましたが、帰り道では私服の警官が、その場の全員に証明書の提示を求めていて、そんな警察と口論するおばちゃんに出会いました。

警察も必死。

地元のニュースでは、マクロン大統領「外出禁止令は延長されるかもしれない」、専門家「外出禁止は5月まで続くかもしれない」と報道されて、まるで脅し。国をかけた真剣勝負の正念場なのだなあという感じ。

画像3

▲スーパーや薬局は入場制限を徹底している。

フランスのパリ市内はホームレスの人が多いから、こんな状況だと心配だった。一部の人が彼らを支援をしている報道を今朝たまたま見つけて、忘れられてないことに少し安堵した。

【3/24追記】
新型コロナ対応 として、ホームレスの人たちをカンヌ映画祭の会場にしだしたみたい。感染に関して大丈夫かなってちょっと心配だけど、やらないよりやったほうがいいと思う。

「そもそも」を沢山考える時間

リモートワークできる仕事でもない私は、少しの補助などはもらえますが、3月半ばから収入がほとんどとまってます。最悪の状況を考えると、1〜2ヶ月お金もらえないかもなあ、という感じ。

でも、なんか悲観的ではなく(のんきというか、なんというか……)大きな目で見て、人々のプライベートな時間が増えたことで精神的健康や豊かさが見直されたり、人が動かないことでベネチアの川や中国の空気汚染が改善されてるのを省みて自然への意識が少しでも変化したり、どさくさで色々起こる政治の動きに違和感や疑問を感じたり、

色々考える余裕がなかった「そもそも」をたくさん考える機会になってるのかなって思います。


「世界中が同時期に同じ問題を抱えて、それぞれ解決のために最善を尽くす状況」というのも、歴史上すごい稀なんじゃないだろうか。

すでにある環境問題って目に見える激しい変化でもないし、循環のサイクルが大きすぎて、どう人間に被害があるのか見えにくいから、ウイルスの感染ってすごい事象だと思う。

人口や被害の規模は違えども、国の政策や考え方がわかりやすく比較できるし、自分の国のことを客観的にみる機会になる。

ウイルスが危ないとか危なくないとかではなくて、自分の置かれた状況は本当に正しいのか?と正しい見解を持とうとする意識が、私自身もふくめて生まれているなと感じます。


日本の対応の実態がよく分からない

メディアを見てても、SNSを見てても、親とLINEで話してても「日本、もう収束に向かってるんだ……?」と思うほどに平和で、正直驚いた。

質問1
いわゆる集団免疫戦略を日本は取っているということなの……?検査を積極的にしていない状況で「緩やかな回復」をどう測っているのかが疑問。

追記:海外のニュースではこれが話題。感染者人数をカウントして隔離するのではなく、あくまで外出は自主的に控えさせるのみ。大げさにいうと、一度感染させることで免疫をつけさせる方法=集団免疫戦略。

インフルエンザと同じような一種の流行風邪という考え方もある。そして、現に風邪のような症状で済む場合もある。

でも、トリッキーなのは「潜伏期間がある」ことと「人から人に感染する」ことだ。無意識のままに、お年寄りや持病がある人に接触してしまったら(公衆トイレの蛇口を触る、ドアノブを握るの一瞬の出来事で)、その人が感染して、万が一死につながってしまうかもしれない。

イギリスでも報じられていることだけど、集団免疫をつけるやり方は、極端に言えば一部の人間は感染して命を落としてもしょうがないと言われているようなものだと思う。

だからと言って「完全隔離」も現実的には難しい。こう書いている時も何が正しいのかわからないけど、考え続けることは大事だなと思います。

【参考】コロナウイルスなどのアウトブレイクは、なぜ急速に拡大し、どのように「曲線を平らにする」ことができるのか(ワシントンポスト)

画像4

▲アメリカ・ワシントンポストがわざわざ日本語で発信した異例の記事。感染パターンが対策別に解説されてて、わかりやすい。

【追記:参考2】
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議

▲専門家の本気度が伝わってくる熱量。


質問2
ほか先進諸国の対策と、日本が行ってる対応がまったく異なる中で、日本はオリンピックを実施したほうがいいの?安全面だけでなく、世界中との認識の差を埋めてほしいというのが個人的な思いなのだけども……。1年、2年延期とかできないのか。お金かかるけど、そういう問題なのか。

【3/25 追記】無事に、ひとまず1年ほど延期になってよかったです。。
質問3
日本は国民一人当たりに1万2000円程度を支給するとあるけど、さほど意味がないと思う……のですが、どうなのでしょうか。
例えば、期間限定で消費税を5%引き下げたりするだけでも、お金の動きを変えられると思うんだけど、安易ですか?


手を取り合って、乗り越えた景色を見たい

……などなど、色々考えることがあるけれど、日々できることは限られてるのですよね。

アメリカのトランプ大統領の「中国のウイルス」発言にもまじで驚くし、人類総出で正念場、敵はコロナウイルスなのに、なに身内の同類で敵増やすんだよと、こんな状況で政治的な姿勢やアイデアを含むことも、非生産的な言動にもとても腹が立っちゃう。

どうしたら、今の状況を乗り越えられるのか?

起こったことに対してではなく、この時間を生かした未来の時間を作ることに前向きでありたいとすごく思う。私自身、収入が途絶えたことで、長期的な働き方をとても考えるし、色々実験する時間になっている。


私が住む町Meudonはアパートがひしめき合うようなパリともまた違う、ものしずかな土地なのですが、そんなMeudonでも昨日は夜の8時に町が歓声と拍手で一瞬包まれた。

医療従事者達への感謝の意を込めて、窓から拍手や「メルシー!(ありがとう)」の声が響く1分間。子どもたちの声も聞こえて、若い人たちの記憶にもこうして今の出来事がのこっていくんだな、と感じました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。 書くことを気長に続けていくことで自分なりに世の中への理解を深め、共有していきたいです。