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2021年の初め、描くことについてあらためて考えてみた。

Noteを書くのは今年初めてだ。あけましておめでとうございます。

年末は帰省とビザの更新を兼ねて一ヶ月ほど日本に帰っていました。1週間前にフランスに戻ってきて、思ったより異国の地でもホッと落ち着く心地を覚えて、これまた新鮮な気分になった2021年のはじまりです。

一時帰国に合わせて、人生初!個展をやった。何人かに「やればできるんだね、個展って。」と言われて、そうだよ、自分で場所借りて展示しますって言ったら立派な個展だよ!と話したり。「なぜまた展示をしようと思ったの?」という質問もたまにもらったけど、10万円の給付金を自分なりに使い道を考えた結果……夏の終わり頃に決めたことを思い出したりしていた。

やってよかった!

思ったよりハードやんけ!(当たり前)と当日や前日準備しながら思ってたけど、もうその日になるとランナーズハイみたいになって、清々しい気分だったし、

何よりもこれまでお世話になった方々や久しく懐かしい友人にたくさんお運びいただいて、胸が熱くなった時間だった。

この場をお借りして、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

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思い返せば16才ごろから、自分の手帳などにコラージュをしていたのだけど、最初はセブンティーンやノンノのスクラップだった。それが「雑誌がオシャレになると、スクラップのパーツもオシャレになるな?!」と気づき始め、読む雑誌が変わり、切り取り方がモデルや動物から、空や床、人の肌など細分化されていき……そのうち、自分の絵も切り抜き始めて。

「できるだけ良質な素材を常に探し続けて、収集しておく。組み合わせ次第で、それらを活かすことも殺すこともできる。なんか、人生に通じてそう!!」という予感と確信を胸に、一人で盛り上がりながら黙々とやっていたのを昨日のことのように思い出します。

でも当時の自分は、美大を受ける勇気もなく、そもそも自分の「好き」と将来像をどう線を結んで未来を描けばいいのかわからなかった。絵が好きでもそんなの仕事にならない、お金にはならない、絵を描いたって人の役に立てないという安易な考え方で、「好き」を軽んじていたなあと振り返って思う。当時の自分に言いたい。生き方は色々あるんだよと。そして「好き」は何より尊いよと。

そのブロックが外せなかったから「作る意味」みたいなことを堂々巡りで延々と考えちゃって、出口は見えないし、手は止まるし、思い悩んだなかなか暗い高校生活だった。笑

伝記に出てくる画家や作家は悲劇的な人生だったり、何か一線を超えた才能があって、私は恵まれて温室育ちで不自由なく生きてきて、そんな人間の作品を誰が求めているだろう!とか思っていました。今思うと、環境のせいにしていて、自分の実力と向き合う勇気が持てなかっただけなのよ。(トホホ)

いざ!社会に出るとなったときに出会った布の世界は、自分がこだわりを持てる「質感」や「色」をものに落とし込んで、仕事にするとしたら……と連想して、見つけた場所だった。そこは産業として、長い歴史が積み重なっていた。そこでたくさんの学びを得た。一方、純粋な絵やコラージュは社会人になっても趣味と称して続けていた。

でもやっぱり。布は布だし、絵は絵だ。

28才の去年、フランスに来てやっとわかってしまった。私は、この何の用途もないただの絵を作るのがやっぱり好きなんだなあと。

しょうがないけどこれが出発点だったんだと思った。

個展でも何人かの人が「ポストカードにするといいよ」「Tシャツもいいね」「手帳の表紙にもいい」とプロダクトに落とし込むアイデアをくれた。これはこれでまた別で、今もこれからやってみたいと思うプロジェクトではある。

でも。

それを見越して最初から絵を描くと、今の私の技量では絵が薄っぺらくなってしまう気がして。思ってもいなかったものに落とし込むことで、意外さとか新鮮味があるんじゃないかしら。だから、絵は絵なのだ。というところから出発してみたいと思った。

というわけで、絵をひとまずもっと人に見てもらおう。ホームページをちゃんと作ろう!と思って、フランスに帰ってから1週間猛烈に作りました。

ホームの画面は今月のおすすめを載せていく予定。そして、オンラインストアでは原画も販売しちゃうのだ。

個展でも、近しい人たちが何枚か絵を買ってくれた。それはやっぱりとても嬉しかった。嫁に行った分、またいいものが作りたいと思ったし、何よりも作品たちがそれぞれ別の場所で生きていくことが幸せだな〜と思えた。こういう循環がすこやかだと感じた。

HPには毎月はじめに新作をアップして、オンラインストアも随時更新していく。そのサイクルの中で、例えば毎月5枚なら1年で60枚作ることになるし、10枚なら120枚になる。それが私自身の日々の鍛錬にもなるなと思ったので、せっかくだから他の人ともシェアしたいなと思った次第です。

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28才の春に体調を壊した時、手術も終わって病院も退院して。元気がある時、たまに机に向かって絵を描いていた。「(肩書きも仕事も健康も、一時的に)何もなくなっちゃったと思う今でも、私描きたいって思うんだな」と案外冷静に自分を見つめた瞬間だった。その時、描いててよかったと心から初めて思ったかもしれない。

その時は目の前にあった果物を描いた。

その絵をなぜか、その後行った寺尾紗穂さんのライブで、裏に「いかにあなたの歌に励まされて、通院生活を送ったか」とかなりヘビーな感謝の文(ふみ)をしたためて手渡しした。

寺尾さんは受け取ってくれた。彼女はとても小柄だった。こんな普通そうな人が、あんなに宇宙みたいにおっきくてあたたかい音楽を広がりを持って奏でるんだなあと、それもまた私にとって生きていきたいと思う希望になったのを思い出した。

最後までお読み頂き、ありがとうございました! このnoteではこれからの人生の過程もシェアしていきたいと思っています。よろしければぜひ応援してください。