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「君は呪われていないか?」

 食介。

 みなさん。こんにちは。

 今回は介護施設においての食介。その問題点について語りたいと思う。
 
 利用者の食事を介助する時、必ず起きる疑問。
 
 それは「どれくらい食べさせればいいか?」という問いだ。この問いは実に奥が深く。経験を積んでない職員だと、嚥下の悪い利用者に対して無理に食事をさせてしまい誤嚥性肺炎を引き起こしてしまう。だが、これは新人職員の問題にあらず。貴方がもし、介護職員なら見たことがあるだろう。

 食事介助時、利用者に対して、全ての食事を完食させることこそが正義と思っているベテランスタッフの姿を。そして、明らかに限界以上に食事摂取をしてしまって今にも嘔吐しそうな利用者の姿を――

 何故。ベテラン介護士がこんな愚行を犯してしまうのか?  そして、利用者には食事を全摂取させる必要はあるのか?

 結論から、言おう。

 施設において。

 「食介にて全量を利用者に摂取させる必要は、全くない!」

 介護施設において提供される食事は栄養バランスが優れるもので味はともかく大体1600カロリーから2000カロリーで調理されバランス良く管理された食事だ。ただ、この食事は運動をする健常者のことを想定した食事であり、健康を害した人間に対して個別に作られた食事ではないのだ。

 食事を全部。食べさせなくて良い理由。

 そもそもの話をしよう。

 食介が必要な利用者は運動などをするだろうか?

 食介が必要な程に残存機能が低下していて、ベッド臥床で過ごす以外に、なにかできることがあるだろうか?

 答えはNO。

 ※心ある施設なら、リハビリなどをしてるかもしれないが、大抵の場合は人出不足も相まって、ほったらかしの状態だ。

 そのような、ほぼ寝たきりの利用者に朝、昼、夕の食事を全て食べさせる等、明らかにカロリーオーバーなのだ。

 ちなみに人間には、なにもしなくても、使用するカロリーがある。これを基礎代謝という。

 計算式は。

 基礎代謝=体重×基礎代謝基準値。

  基礎代謝基準値表。

 そして、データーから理論的に推測すれば、利用者にどれくらいの量の食事を提供させればいいか。答えは出る。

 寝たきりなら、朝、昼、夕。食事を摂取させるなら。大体、3割から4割の食事摂取が妥当なのだと判断できる。科学的にみても、医学的にみても、これがベストな食事摂取だと判断できるだろう。

 だが――

 これだけ、論理的なデーターを説いても、介護士の無意味な食事介助。利用者への全量摂取は後を絶たない。

 分かったふり。あるいは、聞いたふりをして、利用者の口に食事を放り込むのだ。何故か?この問題に関しての答え。それが、タイトルの題名になってる「呪い」だ。

 食事を無理矢理食べさせる職員について。

 呪い。というとオカルトなど抽象的な印象をもつ方もいるだろうが。これは「思い込み」と言っても良いと思う。

 問題ある食介スタッフを観察してみると、食介一つの行動にも時代や教育。環境が色濃く彼ら彼女らに作用していることに気づく。

 そして最も根強く彼等に残っている呪いが、これだ。

 「食べ物を粗末にしてはいけない」

 読者の皆様も言われたことがあるのではなかろうか?

 食事を考えもなく全介助させているスタッフは前任者。あるいは親や時代からそのような刷り込みを受けているのだ。だから、食事を全介助しているスタッフは、なにも悪いことしているわけではなく。昔の教えを守っているだけにすぎないのだ。

 食事を中途半端に残すのは悪。全量摂取が正義。
 半分食べて、残すなどもっての外。気持ち悪い。

 きっと。そんな概念が根付いているのだろう。

 食事を全摂取させようとするスタッフは極端な職員。自分を変えれない頑固な職員が多い。意味のない記録にこだわったり。今、必要のない仕事にこだわったり。腰は重く、適当な場所で止まれない人間が多いのだ。

 私は介護業界で、このような職員が存在することを、事象かなにか。と思って諦めているが、世の中の介護士職員の中には納得できず、なんとかしたいと思う人達もいるだろう。

 処方箋(提案や改善策)を提供しよう。

 処方箋



 

 利用者に食事を配膳する前に小鉢や小皿に分けて、半分にしてから提供してみると良い。

 半分摂取した時、少しでも、ムセや顔色の悪さを察知できたら、残りの食事を破棄するのだ。コツは食事を半分摂取させたら、利用者に「まだ、食べる?」と聞くことだ。もう、限界なら、必ず、その利用者は難色を示す。

 その現物証拠を盾に食事の全摂取を辞めさせるのだ。

 これで、すべての食介問題を解決できるわけではないが、全摂取からの誤嚥性肺炎は減少するだろう。もちろん。食後の口腔ケアは忘れずに。

 では、また。お大事に。

 #私の仕事

 ※引用画像

 イラスト屋。圧政労働省の代謝基準表。

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