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過疎ったパーティーから集客と広告の難しさを窺い知る夜

シケたパーティーだった。夜中12時過ぎまで粘ったけれど、人は集まらないしパワーダウンして真っ暗になるし、良いところはなにひとつなかった。見事に過疎ってた。

カーニバル主催団体がオーガナイザーだと言うから…

カリブでカーニバルというと隣国トリニダード・トバゴのカーニバルが世界3大カーニバルの1つに名を連ねるくらい盛り上がるらしいけれど、ここセントビンセントでもカーニバルはあって、島の人たちは国のメインイベントととして捉えてる。盛り上がるらしい。

それで、ぼくは先月、町のいたるところに貼られていたポスターを見た。

めっちゃ盛り上がりそうな野外パーティーっぽさがでてる。パフォーマー多いし。それにカーニバルの主催団体がオーガナイザーだと言うし、地元の人もカーニバルを盛り上げるための前哨戦的なことを言っていた。カーニバル自体は7月だからまだ先なんだけれど、こんな感じで毎月1回くらいの頻度でパーティーをやるのかもしれない。

なんせ4月上旬から町のいたるところ、ほんとにいたるところにこのポスター(フルカラー版含めて)を貼りまくっていた。バスの車内にも貼っていたし。

それまで、こういうパーティーでポスターを貼って集客なんて見たことなかったから金のかけ方が違うな感じていたし、規模が大きいんだなと思った。(こういうパーティー自体はビーチを中心にけっこうやってる)

これは行くしかない!とぼくは思った。

9時スタートでも時間通りには始まらないのはわかりきったことだからしばらく近くのバーと言う名の掘っ立て小屋で飲んでご機嫌な音楽が聞こえてき始めた9時半頃からもう一拍おいて10時頃に会場に向かった。

見よ、この入場直後のセルフィーを。ゲートでサイリウムもらってはしゃぐアラサー2人とアラフォー1人のおじさんたちだ。

ゲート入った時点でね、まだほぼ一番乗りくらいの無人だったのには気づいていた。けどカリブだから時間通りに始まらないのはわかってる。そしてぼくたちはクソ真面目なアジア人(日本人+台湾人)だ。

掘っ立て小屋のオヤジが「たぶん11時くらいに行くのがちょうどええぞ」というのをスルーして乗り込んだのだ。

ほぼ無人でも音楽はガンガン鳴り響いている。ほんとに11時からがベストだったなぁと話ながら待った。

ぼくは先週、同じ会場でかなりの密度で人が収容されたフィットネスイベントを見てたものだからその残像というかイメージそのまま、このパーティーもあんなふうに人が集まって朝まで踊るものだと思っていた。

10時半、11時…と時間は経つけれど人はあまり増えない。

11時半、状況は変わらずファン (台湾人) が耐えきれず帰ってしまった。

12時、新しい人は来ていない。

客は多めに見積もって40人。会場キャパは1,000人くらい。

どうやったって過疎って見える。会場の選定ミスだなと思った。

これ…ピークは来ないな思った頃、パワーダウン。停電。

ぼくたちの気持ちも切れた。

頃合いだ。

盛り上がるパーティーじゃない。帰ろう。

これは赤字だろうなぁ

あれだけ街中にビラ配りまくって貼りまくって、あの過疎り具合はヤバい。責任者のクビが飛ぶレベル。スタッフの方が数が多いんとちゃうかと思ってしまった。

まぁ。ネガティブポイントはいくつかあった。

まず会場が旧国際空港の滑走路。めちゃくちゃ広い。

なんでもこの会場を使うのが今回が初めてらしかった。だからきっとどれくらいの密度で人が入るかの知見がオーガナイザー側になかったんだろうと思う。ステージとバーカウンターのテントの距離が結構あった。

会場を広めにとって収容人数を多めに設定…といえば聞こえは良いけれど、今回はそれが裏目にでていた。

人が少ないから、みんな盛り上がるのを待ちの姿勢になって、バーカウンターテント周辺から様子を見るということに徹してしまっていた。誰もステージには近づかなかった。これでは、小さい箱ならそれなりに盛り上がる人数でもステージ前に人がいない以上、周りに人がどれだけいても過疎ってるように見えてしまう。

ステージ上のパフォーマー、というかDJも気分が乗らないからかいまいちなサウンドをお届けしていた。

盛り上がっていないのが外から察せられて入場せず(金を払わず)、外からフェンス越しに様子を見る人も結構いたし、DJの盛り上がりに欠けるから帰る人もちらほらいて、負の連鎖が起こっているようにみえた。

ぼくは掘っ立て小屋という名のバーで結構飲んでしまっていたから完全に出来上がっていたのだけど、そうやって冷静に周りを観察できるほどに、酔いも醒めるほどに凪の雰囲気が漂っていた。音はかなりうるさかったけれど、バイブスがお通夜だったのだ。

あと、スタートが夜9時もよくなかったんじゃないかと思ってしまう。圧倒的に遅いように思う。

東京とか、バンコク、台北みたいな眠らない街なら問題ないけれど、ナイトライフ自体がなく、夜がくればほぼ真っ暗になる国で夜9時スタートはさすがにない。移動手段がまずないもの。自分で車運転するしかないじゃない。

ということは、車持ってる人+パーティーで盛り上がりたい人っていうターゲットなって、つまり本来もっと集客できていたはずなのにターゲットを狭めちゃったんじゃないかと。結果論だけどね。

だって車持ってて夜中でもOKって金持ちの若い人しか無理じゃんね。

というか、この会場は首都圏なんだけど、首都圏の人口3.5万人くらい。そこからパーティーに来てくれそうな年代の人は18歳から50歳くらいとみて人口の50%。単純に首都圏人口と掛けて1.75万人。

この1.75万人が今回のパーティーのターゲットであり市場規模だったわけで、1,000人集まるだけでもその人口の6%ほど。

結構難度高いと思う。

今回に関しては、そこにパーティー好き + 車持ち + 体力ある若い人って、さらに絞りにいってるから余計に市場規模は小さくなってると思う。

オーガナイザーの見通しの甘さが見て取れる。結果論だけどね。

戦略は広告での認知度アップ狙ってた?

好意的に解釈すると、おそらく、その逆風をカバーするためのビラまきだったんだろうと思う。町中いたるところに貼って、バスにもこれでもかというレベルで貼ってたから認知度はそれなりにあったはず。いろんな人に行くのかと聞いたら5人に2人くらいは知ってたと思う。

けど、トップ画像の通り過疎ってたわけで、結果的に上手くいかなかった。ビラまきがダメだったのか、前述の通り会場や時間のミスだったのか、全部ひっくるめての複合的な要因なのか、この国のパーティーは採算度外視でこんなもんなのか、まだ見えていない要因があるのかわからないけれど、少なくとも上手くはいっていなかった。

自分の活動の参考になるけれど…

これは今後、ぼくが視覚障害者協会のイベントを開くうえで大いに参考になると思う。単純に広告だけではダメだということをひしひしと感じたから。

ビラつくるお金もないから広告なんてできないんだけど、可能性として残してたのに事実上消滅しそうな雰囲気すらある。

こういううまく行かなかった事例はわりに簡単に見つかるけど、そろそろ上手くいった事例も欲しいところではある。



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