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29歳になりました。

人生で初めて海外の、それもリゾートで誕生日を迎えた。

ほんとはこの週末、モスティーク島というセントビンセントの正真正銘のリゾートアイランドで気の良い友人たちと優雅に過ごす予定だった(俺もついにそんなことをするようになったかーと感慨深かった)のだけど、フライト3日前にモスティークのホテルから「ごめん、この土曜日フライトないわ。ボートもないから、自分ら来れれへんわ」と連絡を受けた。

なんじゃそりゃってずっこけたけれど、ないものは仕方ないし、ブルジョワになりきれないところがぼくっぽいなと笑ってしまった。

結局、同国の高級レストランでのディナーに落ち着いた。

パエリアはきちんとパエリアだったし、セビーチェはきちんとセビーチェの味がした。ケーキも歯が溶けるかと思うほど甘ったるいものではないきちんと、わりにお上品な味がした。スチールパンの演奏とカリプソの歌もよかった。とても良かった。満足。

さて、29歳。

周囲はなんだかんだで結婚した人が増えている。結婚と出産の話題が多い。順調に出世している人もいるし、独立する人もちらほらでてきてる。

ぼくがかつて想像していた大人をみんな立派にやってるように見える。

ぼくはというと、住所不定無職なのに1日中マンガを読んだり、お笑いをみてケラケラ笑ったりと昔となんにも変わっていない。言ってることもあんまり変わっていないように思う。

一方で、基本的にできない人の側にいて悔しい思いをしてきたことが多いからか、弱い立場の人たちの気持ちがわかるというか、できない人の気持ちがわかるようになったようになった。この年齢にしてようやく。

以前は(いやたぶん今でも)ぼくは負けず嫌いで強がるタイプで、自分より優秀な人を素直に褒めることができずに噛み付いたり、斜に構えたりしていたし、できない人には身も蓋もないことをはっきりと言って傷つけてすごく偉そうだったけれど、いまは自分の感情の揺れ動きをわりに冷静に追えるようになった。

ぼくは劣等感を感じる方が多いから、優秀な人や恵まれた人に会うとよく嫉妬するんだけれど、「今すごい嫉妬してるなぁ、ぼく」と自分の感情を認めてあげることができるようになった。

以前なら、そういう嫉妬は感じてはいけない!となんとかその感情を消そうとしたりして抗って結構苦しんでた。だってそれって自分を認めないってことで自分を苦しめることに他ならないから。自分の中の感情は認めないし、俺はお前たちとは違う!って強がってたし、内外で心の余裕がなかった。ずっと、誰かに認めてもらいたかった。

それが、きっかけはわからないけれど、そういう嫉妬する自分を受け入れた上で、認めた上で、動けたり言葉を選んで表現できるようになった。

そのことが、周り周って相手も同じ気持ちなんだろうなとか、弱い部分の存在を認めてあげることで弱さに寄り添うことができるようになったというか、共感であったり理解できるように(多少は)なったことに繋がったように思う。

お前そんなことも…って思われるかもしれないけれど、「お前はおもろいとおもしろくない以外の感情はないのか」と言われ続けた冷たい人間だったぼくにとってはとても大事なことで、周りを傷つけずに自分の意見も言えるし、なんというか生きるのが楽になった。視野も広がったように思う。いろんな考え方が共存するのも認めることができるようになった。

相変わらず傲慢で人見知りだけれど。

歩みは人よりも遅いけれど。

いつだって気づくのも遅いけれど。

できることは少ないけれど。

少しずつ少しずつ、かつてなりたかった大人に近づいているんだろうなぁという微かな手ごたえを内面と外面で感じている。


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