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テクノロジーの恩恵は途上国ほどインパクトはデカいはずなんだけれど
TED TALKなどでおなじみの建築家のクリスチャン・ベニマナは「アフリカはいま、先進国が過去100年の間に培ってきたテクノロジーを総動員して、先進国が過去100年の間に犯してきたあらゆるミスを避けられるチャンスがある」と以前どこかのインタビューで語った。
ポジティブで良い言葉だなぁと思う。今のアフリカの勢いを感じる。
マクロで見ると、その通りなんだろうと思う。10年くらい前はみんな東南アジア!東南アジア!と言っていたけれど、今じゃ完全にみんなアフリカ!アフリカ!言ってる。
たしかにテクノロジーの恩恵は大きい。ケニアではモバイル送金の額がGDPの5割を超えている。界隈では有名なM-PESA。このインパクトはすごい。だって従来なら、銀行口座つくって、本人確認にクレジットカード云々…って煩雑な手続きを全部すっとばしてるんだから。なんだったら課題だった通信インフラの整備もすっとばした。
もともと銀行のシステムが脆弱で利用できるのは実質都市部の裕福な人のみで、地方の人にも送金のニーズはあったし現金保管の必要はあったけれど、利用できないでいた。だから地面に埋めたりして強盗のリスクから守ったりしていたわけだけど、それでも今度は地中で紙幣自体が分解・劣化されるリスクを伴う。
そういういろんな課題を一気に解決したわけだから。
ぼくら世代はみんな思った。やっぱ、世の中を変えるのはテクノロジーやで、と。
ぼくらは社会変革の物語はこれから世界中で起こっていくんだ、そのうちの1つをぼくらは起こすんだと無条件に信じた。
ところが現実はどうだろう。
この記事を読んでいる多くの、現場でがんばっている人たちは思い通りに行かないと苦労してるんじゃないかと思う。
いや、完全にぼくの話なのだけど。
そう簡単にはいかんだろうなとは思っていたけれど、いやぁ厳しい。
テクノロジーの導入もそうだけれど、そもそも新しいことを始めたり、なにか行動を起こすモチベーションが低かったりする。
要因は、これまで上手くいったことがないからとか、どうせ意味がないとか、それは俺らには必要ない、そんなにがんばるほど困っていないと思っているだとか、いろいろある。
だから以前、小さな成功体験を積み重ねさせてあげるのがポイントっぽいという記事を書いたわけだけど。道のりは長いがコツコツやって彼らの心理的抵抗を徐々になくすのが結局は近道なのだと信じたい。
あと、最近感じ始めているのはほんとに新しいことへの抵抗感。
新しいことに対する受容の気持ちはあっても、その新しいことって彼ら彼女らの中にステレオタイプというかイメージがあって、それに合致しないと受け入れてくれないような気がする。
例えば、紙のノートへの売上の記帳からスマホからアクセスするグーグルスプレッドシートでのクラウド管理・共同編集。
ぼくの表現力不足、語彙力不足を加味しても彼らの中にはデスクトップでエクセルで管理がオフィスワーカー、かっこいい的なステレオタイプがあるように思う。
エクセル管理をすっとばして、クラウド管理のグーグルスプレッドシートっていうのは難しいようだ。イメージできないから。スマホで仕事ってクールに見えないから。クラウドって何?って感じだから。
これはものすごくもどかしかったけれど、仕方ない。まずはエクセルに慣れてもらって、エクセル管理の不都合に気づいてもらってからグーグルスプレッドシートに移行しようと思っている。時間がかかるけど仕方ない。目途は経っていないけれど、任期中にはなんとかなるんじゃないかと思っている。
こういう、段階を経て徐々に徐々に変化を促すには忍耐力が求められている。すべてにおいて。
辛抱強く、小さいことからコツコツと、着実に。
モノの見え方を変えることで、新しさへの抵抗感を受容に変えようとしている。
身近な例でいうと、iPhone。突如市場に現れたスマートフォンは当初、立体的なUIデザインを採用していた。電子書籍にはページめくりエフェクトまでついていた。「昔ながらのモノ」をメタファーにして抵抗を減らし受け入れやすくした。みんながそれに慣れきったころ、平面かつ抽象的なフラットデザインへ移行し、そのようなエフェクトは姿を消した。
そのうち、通話の受話器のロゴマークも消えてなくなるかもしれない。カメラアプリも現在のロゴマークからもっと抽象的になるかもしれない。ちょうどInstagramがそうしたように。
こういうのはデザインの仕事なのだけど、いまぼくに求められているのも、まさにこういう目先を変えて、誰にも気づかれないようにサブリミナルに彼らの考え方を変えることなような気がしている。
過去からの継続じゃない方へベクトルを変えるために、危機感も醸成するべきなのかもしれない。
危機感の醸成…。
できるか?…ぼくに。
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