読んでよかった本の話をする1

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こんにちは、こんばんは、そしておはようございます。今回も本の感想です。

 本や作品の好みって結構はっきりしている人と、なんでも読みますって人がいると思うのですが、わたしは普段人が死んだり、AIが人を管理しようとしたり「人の存在が脅かされる」ものばかり読んでいます。なので去年は読むのも書くのもSFなどは控えて、人の心に寄り添ってみっかな〜と思いまして。そして今まで日本人作家にあまり触れてないことにも気づきました。パッと出てくるので「有川浩、伊藤計劃、高野和明、小野不由美」。あっ結構読んでる?でも図書館戦争はドンパチやってて、伊藤計劃は言わずもがな。高野和明の「ジェノサイド」も人知を超えたある幼児を巡るこれまたミリタリーっぽいもの、小野不由美はファンタジーですしね。

 要するに人の存在意義について興味はあるけれど、人の心をしっとり描写する作品はあまり好きじゃなくて。でも去年のゼミのみんなは、一瞬の人の心の動きをクローズアップするようなタイプばかりで。正直「あっわたしまた登場人物抹殺してしまった」って思ってます。郷に入っては郷に従え、ということで自分の好みと新しいものを取り入れて「自分らしい」文章を見つけたいと思います。

とりあえず、日本人作家の知識がないためググる。でも私はここ五、六年、男女恋愛作品嫌いを募らせているので女が失踪したり男女のネチネチは読みたくないな……でも人の心の機微が描かれているものを読んでそういう回路を開きたい。

そうだ、ブロマンス小説を読もう。

という結論に至った私。昨日購入したのは今回と次回紹介する二冊。前の行で大体的に「ブロマンス小説を読もう」とか言ったわりにはこれはブロマンスではない。明日紹介するのはそう言っても過言ではないですが、今日は違います。


名前は存じあげなかったのですが、これは検索したというよりたまたま手に取って買った本。

ケータリング業者の水島健一が「ケータリング業者の男が病死に見せかけ楽に死ねる薬」を持っているという噂に翻弄されながら日々を過ごす。しかし口が達者で大人びた少年、英樹と出会うことで料理に真正面から向き合い始める。

概要はこんな感じです。最初は短編小説の集まりのような感じで、少年が登場するあたりからお話しがまとまってきます。内容もまぁ面白かったんですが、どちらかというと私は作中に散りばめられた生死感に対する描写に心が惹かれました。英樹という少年は体が弱く、何度も何度も大手術を受けてやっとのことで命を繋いでいます。そんな彼は月や星を鑑賞するのが趣味で、夜空を見ながら宇宙の大きさを考え自分の存在の小ささを考え、自分の悩みがいかにちっぽけか感じます。

このシーンを読んで「あぁ〜わかるな」と思いました。普段生きていると悩みも喜びも自分の小さな世界だけで蠢いているのですが、グーッと俯瞰して宇宙から見ると地球で、悩んでる私の存在は本当にちっぽけなものです。そう思うと少しだけ楽になります。どれだけ宇宙に目を向けたって、私は宇宙の星にはなれず地球に生まれてしまった人間としてせかせか生きるしかできないんですけどね。

結局英樹は「僕の命は僕のものだ」と主張し、次の手術を受けることを拒んで亡くなってしまいます。病院の中でしか生きれず、壊れかけた機械の部品を取り替えてやっと動かしているようなものだと自分を表します。
「僕は今生きいてる?違うよ。僕はもう死んでいるようなもんなんだ」
こういった命に対しての向き合い方が、この作品の中で一番印象に残りました。私は自我が芽生えて記憶がある限りでは命の危機に晒されたことはないのですが、日々を怠惰に生きているとこういったことを考えたりします。死んでないけど、「生きている」とは言えないな、と。

たまたま手に取った本が、自分の感覚に近いものだと不思議な巡り合わせというかとても嬉しいですよね。この作品は普段自分から進んで読まないタイプなのですが、「おっ読んでみっかな〜」と買ってよかったです。

別にスピリチュアル的な話をしたいわけではないんですが、本屋に行ってなんとなく惹かれて購入する本って、だいたいその時求めている言葉や興味あるテーマを扱っていることが多くて、「私の勘すごくな〜〜〜い?」となります。表紙だったりタイトルだったり……きっとそういうところから無意識に内容を推測しているんだと思いますが。

歳をとるにつれて、自分のためだけに時間を使うことができなくなってきますよね。最近本当に「時は金なり」という言葉の意味を痛感します。私は「やりたくないこと・気がかりなこと」があるとそれしか考えられなくなってしまうので、ひねり出してでも自分の好きなことをする時間を作るらなくてはと思います。小学生の頃のように本を読みふけりたいです。久々に、何かの合間ではなくきちんと本を読んで「あ、本読むのってこんなに楽しいんだ」と思い出しました。もっと集中して読める時間が作れるように心がけたいですね……

画像は上記のアマゾンサイトから引っ張ってきますので引用は割愛させていただきます。

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