「すかいらーく」91%の大幅減益の理由

【記事概要】
すかいらーくHDは、2020年1~6月期の配当をゼロにすると発表した。足下の1~3月期では91%の減益により、手元資金の確保を急ぐ背景がある。

対処策として、本部の人員削減を検討するほか、食品ロスの削減で80億~90億円の支出を圧縮する。さらに、テレワークなどの普及に伴い、外食の消費行動が昼間時間へ移ることを見通して業態も見直す。低価格帯の種類を増やすことで、数年間は強まると見込まれる節約志向に対応する。

同日発表した20年1~3月期に連結決算は、純利益が前年度期比91%減の2億4800万円だった。客数が減少して食品ロスが発生した。

【仮説・検証】
上記の記事内容から、すかいらーくが91%の大幅減益に陥った原因を把握することはできない。記事では、その原因として、「売上高は8%減の867億円。客数が減少して食品ロスが発生した。」とあるが、この説明では不十分だと思う。
そこで、すかいらーくHDの2020年12月期  第1四半期財務諸表から、大幅減収の原因を特定してみた。仮説としては、売上原価・販管費・営業外費用・特別損失のいずれか1つの費用の増大が大幅減収に繋がったのではないか、と考えた。

上図は、1~3月期のPLである。
会計指標を計算してみたところ、以下の通りになった。

売上総利益/売上高=69.9%(2019年度)、68.9%(2020年度)

営業利益/売上高=5.82%(2019年度)、0.04%(2020年度)

以上の通り、減益の要因は、販管費等が相対的に増大したことにあると考えられる。

ここで、販管費の内訳を見ると、減価償却費を除いて、総合的に減少している。したがって、減益の直接的原因とは判断しにくい。

さらに、その他の営業費用の内訳を見てみると、「非金融資産の減損損失」が前年同期比で198%も増大している。

非金融資産とは、「棚卸資産や固定資産などの主たる事業に供する目的で保有する資産」と説明される。

すなわち、食品等の在庫が増大したり、店舗が利益を創出する能力が低下したことで、減損会計が行われ、大幅な減損損失が計上されたと言える。

【結論】
すかいらーくの大幅減収の原因は、棚卸資産や固定資産などの大幅減損である。

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