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夏炉冬扇(中断)

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大変申し訳ありませんが、制作の途中で挫折してしまい、更新をストップいたしました。別のかたちで最後まで書き直したものが、連載小説『言葉くづし』(サイト内マガジンのひとつ)です。よけ…
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#詩

雨狂い 夏炉冬扇 #5.5

雨狂い 夏炉冬扇 #5.5

*第3話はこちらから

*第5話はこちらから

雨よ来い、神に乞う
呆けたこころを満たすまで
闇は濃い、雨に恋う
わたしの居場所になれるまで

愛しい虹が青空に咲いたのは
誰かが雨の種を蒔いたからでしょう
名もない箱庭で蓮が踊るのは
尽きぬ想いを届けたいからでしょう

無常な昼の雲は青を引っ掻いて
喪った世界を歌わせるのです
長雨に濡れれば隠せるからか
不規則な涙が止まりません

因果を悟れば救わ

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夏炉冬扇 #3

夏炉冬扇 #3

天つ風 絶ゆる秋
いにしえの鳥は歌う
未だ聴かぬ 神の言葉
到らぬ者のあるべきか

秋の風が忍び込む部屋。彼女の目蓋がはっと大きく開いた。だいぶ長い時間、昼寝をしていたらしい。サンドロールを半分かじっただけの、到底食事と呼べないような栄養補給を済まして床に寝そべってしまった。眼に痛い夕焼けが部屋に差し込んで、赤い光線が窓から差し込んでいる。縒れたブラウスの裾から下着のシャツがはみ出している。セミロ

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