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〈PR〉このたび別名義でKindle出版しました

おはようございます、灯です。

別名義の話で恐縮ですが、2/27、初めてKindleでセルフ出版してみました。
これから毎年数冊ずつ、コンスタントに出していく予定です。

その第一弾というか、Kindle作家としての名刺というか、二冊同時に発売した短編を、ご紹介させてください


「君にエメラルドあげる」


カフェが舞台の癒やし系ほのぼのラブ。
主人公はアラサーで、いまは恋愛に対して意欲がない状態。
毎週日曜にお気に入りのカフェへ行き、おいしいコーヒーとお気に入りのバイトくんに癒やされる、それだけで満足でした。
そんなある日、年下のバイトくんは言うのです。
「でも、先にくれたのはお姉さんダヨ」
エメラルドなんてあげた記憶のない主人公は戸惑います。
彼の思い違いか、それとも人違いか――?

7分ほどで読めるので、ちょっとした息抜きにいかがでしょうか。


〈本編より試し読み〉

 お気に入りのカフェに、最近お気に入りの店員ができた。外国人の男の子。背が高くて色白で、イケメンで、何より――。
「お待たせしマシタ。Hotコーヒーです」
 瞳が、エメラルドみたいで綺麗。だから、ついつい見とれてしまう。不思議そうに小首をかしげる姿もかわいくて、いっそ養いたくなる。
「いや、目が綺麗だなぁと思って」
 本心がそのまま口からこぼれた。流れ作業のようにコーヒーを飲もうとして、気づく。完全に余計なことを言った。私は綺麗だと思うけど、本人は気に入ってないかもしれない。ていうか気持ち悪いよね、急にこんなこと言われたら。
「そんなに気に入ってくれタンなら、お姉さんにあげマス」
 私はもう『お姉さん』じゃない。アラサーだし。この子はたぶん大学生のバイトくんで、おそらく私の十個下。まあお母さんではないか、ていうか今あげるって言った?
 見上げた先に、片目を覆ったバイトくん。何やら「フン!」と気合いを入れている。

君にエメラルドあげる|31033



「青に、恋。」


高知が舞台のヒリヒリ系、恋愛小説。
こちらは二部構成で、主人公が二人います。
幼なじみに片思いする日和と、東京から転校してきた卯月です。
二人は青い目が印象的な空に恋をします。
一方、空の双子の弟・海は日和に片思いしており、どこかで「空には勝てない」と悲観しています。

日和の物語が終わると、その裏側ともいえる卯月の物語が始まります。
太陽が沈んでから月が輝く、みたいな構成です。

私と同じように高知と縁やゆかりがある方、高知の方言(土佐弁)に興味がある方にもおすすめです。
あとは単純にまだまだ寒いので、きたる夏に思いを馳せませんか?


〈本編より試し読み〉

「久遠卯月です。よろしくお願いします」
 感情がこもらないなぁと客観的に思いながら、ありきたりな挨拶をした。パチパチとまばらな拍手が返ってくる。浮き足立った話し声が耳障りだ。新しいクラスメートは前の中学の三分の二くらい。田舎だな。
「じゃあ久遠、伊佐木の隣に座ってな。伊佐木ぃ」
 手を挙げたのは窓際最後尾の男子だった。長い前髪が目にかかって邪魔そう。切ればいいのに。どうでもいいけど。――そう、どうでもいい。自分の席へ向かう間、両サイドから好奇の目を向けられるけど。どうでもいい、全部。
 私が席に着くのと同時に、隣の席の男子は手を下ろした。七月。夏休みを間近に控えた中途半端な時期に、私は母方の祖父母が住む高知に引っ越してきた。

「ねぇねぇ卯月ちゃん」
「東京に住みよったがでね?」
「やっぱ垢抜けちゅうわー」
 ホームルームが終わってすぐ、案の定クラスの女子たちが群がってきた。高知に方言があるのは知っていたし、祖父母もクセのある話し方をするけど、この人たちが何を言ってるのかわからないし、わかったところで私は別に話したいと思ってないから。無言で立ち上がると、わかりやすく空気が凍りついた。
「え? 無視?」
 半笑いで言いながら、目は「ふざけんなよ」とでも言いたげに私を見上げてくる。ふざけんなよ? こっちのセリフだよ。
 その質問を文字通り無視して教室から出る。背中に突き刺さる視線も無視。だって、ここは私の居場所じゃない。早く東京に戻って、私は――。
「うわっ」
 声は出なかった。だから、これは私の声じゃない。廊下に出た私と、隣の教室から出てきた彼。
 出会いがしらにぶつかりそうになって、転んだのは彼だった。尻もちをついたまま私を見上げてくる。その目がビー玉のように青くて、私は一瞬、息の仕方がわからなくなる。
「おまえが転校生?」

青に、恋。|31033



無料キャンペーンのお知らせ〈※終了しました〉


「君にエメラルドあげる」のみになりますが、
3/2(土)17:00 ~ 3/4(月)16:59
初めての無料キャンペーンを実施いたします。
この機会に、お手に取っていただけると大変うれしいです。
もし読んでお気に召しましたら、レビューなどで反応くださると幸いです。
少しでも多くの方に届きますように。


3/2(土)17:00~3/5(火)16:59まで
でした、勘違いしてました、お恥ずかしい……
もう一日無料期間です!!


読者様のお声


投稿サイト時代にいただいた感想をご紹介いたします。
ネタバレになりそうな箇所は外させていただいております。

君にエメラルドあげる


タイトルに惹かれて読みました。途中どのようなサスペンス展開になってしまうのだろうと勝手に冷や冷やしておりましたが、最後には思わず目の奥が熱くなりました。素敵なお話ありがとうございました!

都 りょう様|2020/7/22|ステキブンゲイ


外国人の瞳の色って、驚くくらい綺麗な場合がありますよね。
その瞳の美しさと同じくらい、純粋な心を持った青年と、これからどんな交流が始まるのか、想像する楽しみが生まれる、そんな素敵なお話でした。

Kobito様|2020/8/7|小説家になろう


青に、恋。


簡潔でとてもわかりやすい文章で、言葉だと思いました。
空と海という2つの青、ビー玉というこれも青、さまざまな青が重なり合ってとても綺麗な情景が浮かぶ物語だと思いました。

どちらも青なんだけど同じじゃない。
空は元気で明るい青、反対に海は深海のように静かに深い青。

空の明るい青に惹かれて手に入れたいと焦がれたが、海の深い青の美しさにも気づいていた卯月。そして海。
海と月。

とても言葉が綺麗でした。
ありがとうございました。

マナティ様|2019/8/24|小説家になろう


柔らかいようで、どこか卯月とは隔たりのある土佐弁。卯月が恋をしているのは空のはずなのに、ひっそりと、でも確かに息をする海。日和もクラスによくいる都合の良い子なのかと思えば、一本筋の通った強さを持つ子で、透明な膜の中にいるような海が惹かれるのもよく分かる。

何より、海の感情が痛くて痛くて、この子を形作るのは劣等感であったり、空が全てを持っていってしまう虚無感なんだろうと思うと海の影の部分がいっそう鈍く光るような気がしました。

依兎様|2019/8/26|野いちご



都 りょう様
Kobito様
マナティ様
依兎様

その節は大変お世話になりました。
ありがとうございます!!

(いただいた当時の情報なので、もしかしたらお名前が変わっていたりするかもしれません)


私の不慣れなプレゼンに最後までお付き合いいただき、ありがとうございましたー!!!
よかったら買ってね!!



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