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活きた学びとは
学生の頃は勉強が好きではなかったけれども、大学生や社会人になって自分が興味を持った分野を学ぶのは意外と面白いなと思っている人は案外多いかもしれない。
いろいろな資格取得をライフワークのようにしている人もいる。
こうした、趣味での学びは大いに結構だし、ゆくゆくは趣味と実益を兼ねるような場面もあり得るだろう。
しかしあまり期待しすぎないほうがいい。
現実的には資格取得が仕事に役立つことはそんなにないし、学びが収入アップに繋がることもそうはないものだ。
何故か。
素人が学習によって習得するのは、知識を記憶することが主体となってしまうからだ。プロが実務をしながら学んでいるのとは雲泥の差というか、だいぶ質が違う。
極論で言えば、机上で学べることはネットを検索すれば得られるものであって、別に覚えておく必要がないものだ。少なくとも、知っていたからと言って威張れるものじゃないし、大半は知らなくても大した問題にはならないものだ。
仕事に役立つ知識というのは、机上の知識として覚えておくような類のものではなくて、紙に書いて説明するのが難しい種類の知識だ。
そのようなマニュアル化出来ないような知識のことを一般的に暗黙知と呼ばれる。
プロの持つスキルには必ずこの暗黙知の領域が含まれていて、しかもそれは何処かにまとまって所在するのではなく、あちこちに散りばめられるように存在する。
上手いたとえではないかも知れないが、第一印象が良い人の振る舞いなんかも暗黙知が含まれているだろう。
確かに、外見や服装に気を使うことだったり、相手の目を見て口角を上げて、いつもより少しだけ高めの声で身振り手振りを加えながらしゃべる、といったようなノウハウは有効でないかといえばそんなことはないが、そんなことを超越して第一印象が良い人がいるのも事実だろう。
その人にコツを伝授してくれと頼み込んだところで、本人も無意識に行っているようなことは説明不可能なはずだ。
その人が醸し出す空気みたいなものは、どうやったって学びの場では学べない。
見て覚えろ的な徒弟制度は時代遅れと思われがちだが、ある種の能力を学ぼうとするなら実は一番効率的で時間の掛からない手法だったりするのだ。
それは何も職人技と言った極端なジャンルだけに有効なのではない。身の回りの仕事全般に当て嵌まることだ。
だから、最低限の知識やルールを効率的に伝えるためにマニュアルは必要だけれど、決してそれが全てではなく入口に過ぎないということを忘れないようにしたい。
いくら記憶した量が豊富でも、それが机上での学びである限り直接仕事には役立たない事が多いものだ。
では、私達は何を学べば良いのか。
どうやって学べば良いのか。
あるいは、何を学んだとアピールすればよいのか。
それは言葉では表せない事が多いから、なかなか人には伝わらないはずだ。
あなたから自然と醸し出される雰囲気で伝える他ないかもしれない。
ハリボテではない自信と余裕。
配慮と寄り添い。
絶妙な距離感。
そういう人はそうはいないが、だいたいそういう人は会えば分かるものだ。
ともかく、学びと実益はあまり関係ないと思っておいた方が良い。
おわり
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