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企業での研修がスタンダードではなくなる時代がいずれやってくる

 今の時代、毎日のようにあちこちで仕事絡みの研修が行われている。
 研修それ自体が悪いものだとは思わないが、研修を受ければそれで仕事が身に付くと思わない方が身のためだ。
 身に付かない研修だなんて講師の教え方が悪過ぎると言われたりするが、所詮数時間の研修で身に付くような事であれば研修などしなくても独学で身に付くようなレベルの話だ。
 研修してもそれだけで身に付かないのは、本人が実際に何度も手を動かしたり経験したりしてみないことには始まらないからだ。だから、研修は実践のためのきっかけやヒントを与える場だと思っている。
 自分でやる前提で話を聞き、直ぐにでも実践してみない限り、仕事など出来るはずもない。

 だから、見て覚えろというのも一理あると思っている。
「見て覚えろ」は見るだけで出来るようになれということではない。
 見るべきポイントは一つだけではないし、どのポイントから覚えれば良いかは人それぞれ。大切なのは見たことを自分なりに真似してみる事、その実践を通じて師と自分の違いを身体感覚として認識することだ。徹底的に見て、徹底的に真似をしてみることを通じて、自分なりのコツを掴むことだ。そして行く行くは自分に合った形にアレンジしていくことだ。

 見ずに出来るようになる事であればマニュアルを読めば事足りる。そうではなくて、自分の目で良く観察してそれを実践してみることが大切だ。出来なかったところを修正していけば良い。
 最初からコツを教えてくれれば早いじゃないかって? 教えられるのはコツのコツみたいなもので、コツそのものは本人が体感して掴むしかない。コツは人によって違うからだ。

 つまり、研修も「見て覚えろ」も、自分でやってみることが重要だ。その機会がないとしたら、何も身に付かない。

 ところで、企業に就職したときに懇切丁寧に仕事を教えてくれるのが当たり前と思っていないだろうか。教えるのが上司や先輩社員の仕事だと。
 仕事もちゃんと教えられないような企業は終わっていると思っていないだろうか。だから企業の研修制度が大切だと。

 職種を限定しない終身雇用・年功序列の時代だったらそうだったかもしれない。しかし今後もし職の流動性が高まった時には、手取り足取りを期待しない方が良い時代がやってくる。マニュアル化出来るものはマニュアルを読めと言われ、そうでないものは自力で成果を出せと言われる。成果が出せないなら頸だとも。
 今なら成果を出せる人を見つけるのは容易ではないが、成果主義が極まった流動的労働市場が普及すれば、そんなことも難しくなくなる。

 もっとも、仕事の数に比べて働く人の数が少なくなる日本では、今後もしばらくは新入社員が大切に育てられる時代が続きそうだ。

おわり

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