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「シン・ゴジラ」の庵野秀明監督がまさかの可愛さ!妻、安野モヨコが『監督不行届』で描くダブル・アンノの夫婦生活

※本記事は、「マンガ新聞」にて過去に掲載されたレビューを転載したものです。(編集部)

さて、突然ですが……。

「もしかして結婚って、そんなに良いものじゃないのかもしれない……」

結婚相談所に入会してかなりの頻度でお見合いしていた時、毎日のようにこう思っていました。

初めて会う人とお互い探り探り会話をしていくのですから、疲れて当然っちゃ当然なんですが、婚活って本当に消耗するものです。

追い打ちをかけるように、友人から「実はいま、離婚調停中でさ~」というような悩み相談も増えて来ます。

そんな日々を過ごしていると、だんだん「あ、あれ…?あんなに美味しそうに見えた結婚という果実、そうでもないかも?」と思うようになってしまうのです。

そんな「もう結婚なんかしなくてもいいか…」なんて婚活に挫けそうになる時、栄養剤として最適な漫画があります。

それを読みますと、

うわぁ!

やっぱり!!

マジ結婚したい!!!

と、身悶えるほどの活力が湧いてくるのです!

そう!そんな活力源こそ、漫画家の安野モヨコ先生自らが、夫である庵野秀明監督との結婚生活を綴ったコミックエッセイ『監督不行届』なのです!

いいですか?

夫が、あの『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明監督ですよ?

夫が、あの『シン・ゴジラ』で監督のみならず脚本から編集までをも手掛ける庵野秀明監督ですよ?

『シン・ゴジラ』は、現代日本にゴジラという巨大な「災害」が襲って来た時、我が国はどのように対処するのか。それが非常に精巧に、緻密に描かれた骨太の作品でした。端々まで染み渡る庵野節に痺れまくる名作といえます!

こんな重厚な作品を生み出した男、庵野秀明が夫って、何だかとっても大変そうじゃないですか!?きっと、ちょっとでも気に入らない器が焼き上がったら地面に叩き付けて割ってしまう陶芸家のような、そんなすごく気難しい職人肌の夫に違いない!

と、思いきや………。

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『監督不行届』(安野モヨコ/祥伝社)より引用

イッキに全部食べ男と真面目な顔で言われましても!

か、かわいい!!!

そう。安野モヨコ先生の目を通した庵野秀明監督は、めちゃくちゃ可愛いのです。試着室から出てきてはウルトラマンのポーズを取ったりしちゃいます。

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『監督不行届』(安野モヨコ/祥伝社)より引用

このポーズに動じないアルマーニの店員さんも凄い!

そしてダイエットをしては体重の増減に一喜一憂しています。

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『監督不行届』(安野モヨコ/祥伝社)より引用

ダイエットも成功し、今ではすっかりスリムなモデル体型に!

そんな監督との結婚生活を全力で楽しんでる安野先生もまた可愛い!

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『監督不行届』(安野モヨコ/祥伝社)より引用

ぜんっぜん手を繋いだりしないのに、伝わってくるラブラブっぷりが凄いです!

うわー、もう、このダブル・アンノ、めちゃくちゃ羨ましい!!

何が羨ましいって、おふたりの息ピッタリ感が超羨ましい!

お買い物に車で行っては、眠くなる暇なんか無いほどアニソンを2人で熱唱したり、

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『監督不行届』(安野モヨコ/祥伝社)より引用

カフェで仮面ライダーごっこして大爆笑したり。

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『監督不行届』(安野モヨコ/祥伝社)より引用


いいなあ、オタク英才教育受けたいなあと思います。2人の結婚生活はオタク要素満載で一見かなり特殊ではあるけども、息ピッタリ過ぎて超楽しそうなんです。

これ、完全に運命の相手と出会っちゃってるじゃないですか!

読めば読むほど、庵野監督が安野先生に完全に心を許していて、安野先生が心の底から庵野監督を愛している様子が伝わってくるのです。

なのに、ストレートなノロケ作品になってはいなくて、「オタク」という生物の観察日記に愛情をふりかけて描かれているため、爆笑しながら読めちゃうのが凄い。全ページ、全てのコマから、安野先生の旦那様への愛情が溢れ出ている本当に素敵な作品です。

さらに巻末には、逆に庵野監督ご自身がこの作品と奥さんについてを語った素敵なインタビュー記事が掲載されています。こちらでは、庵野監督の奥様への愛情とリスペクトが吹き出しまくっております。

嫁さんのマンガのすごいところは、マンガを現実からの避難場所にしていないとこなんですよ。(中略)嫁さんのマンガは、マンガを読んで現実に還る時に、読者の中にエネルギーが残るようなマンガなんですね。読んでくれた人が内側にこもるんじゃなくて、外側に出て行動したくなる、そういった力が湧いて来るマンガなんですよ。
(『監督不行届』巻末インタビュー「庵野監督カントクくんを語る」より)

あーーーーそうそうそうそうそうなんです!さすが旦那様!

実際『監督不行届』では、婚活に疲れきった私のような人間でも「こんな夫婦になりたい!頑張る!」ってパワーが湧いてきますもん!

何なのこの、ゼーレもビックリのラブレターの応酬は! 人間と人間の間に本来あるはずのA.T.フィールドが、2人の間には無い! 2人だけで人類補完計画しちゃってる!

って言ってもこの作品、実は10年以上前に描かれたもの。初版は2005年です。今はさすがにそんなにラブラブってことは無いんじゃないの?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

ところが!!

安野モヨコ先生の公式SNSでは、時々『ミニ監督不行届』がアップされまして、相変わらずのご様子が分かってホッコリするのです! 続いてる……2人はずーっと、ラブラブしてる!!

ううう……。

やっぱり結婚したーーーい!!

だって、相性ピッタリの人と結婚すると、こんなにも楽しそうな日々が待っているんでしょ!? 味わうこと無く死ぬなんてもったいない! 昨今の晩婚化のカンフル剤にもなり得る名作です。ぜひご一読を!

WRITTEN by  上原 梓
※「マンガ新聞」に掲載されていたレビューを転載
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