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【堀江貴文の月イチ漫画レビュー】「歴史×クライム・サスペンス」大河ロマンの持つ妖しい魅力『満州アヘンスクワッド』

【堀江貴文の月イチ漫画レビュー】は、漫画を愛する堀江貴文氏が超多忙を極める合間に読んでおもしろかった作品を毎月レビューするコーナーです。長文レビューもあれば超短文レビューもありますが、そこはご愛嬌。本当におもしろいと思ったものしかレビューしませんので、どうぞお付き合いください。(編集部)

【レビュアー/堀江貴文

最近読んだ『満州アヘンスクワッド』はメンバーにレコメンドしてもらった作品だ。流石に何年もマンガHONZ時代から一緒にやってるメンバーだけあって私の好みを熟知している。月に一度やってる定例会では私に漫画をプレゼンする時間があるくらいだ。

いつも思うのだが、Amazonはあれだけ私が漫画をダウンロードしているのにもかかわらず、ピンとくる作品を新しくレコメンドしてくれることはあまりない。

Amazon創業者のジェフベゾスは読書が好きなわけではなく多品種小ロットのEC商材を見つけようとしていただけなんだと強く思う。

『満州アヘンスクワッド』は、そんな私の好みである「歴史物であり半分ノンフィクション」という条件を満たしている。それも旧満州という消えてしまった国が舞台の作品。そして扱われているテーマが阿片とあっては面白くないわけがない。

主人公は兵士として満州に連れて来られ、怪我で開拓民たちの農場で働くことになったが、家族が疫病に感染し高価な特効薬を求めるために、阿片の密造に手を貸すことになる。

もともと持っていた化学の素養が役立ち関東軍や中国のマフィア組織「青幇」などが密造していた阿片よりも高純度の商品を開発することに成功する。

家族は特効薬が間に合わず死んでしまうが、絶望にみちた世界から抜け出すために高純度の阿片製造技術を武器に満州で豪快に立ち回るようになるのである。

舞台には南満州鉄道や、満映など当時日本人たちが支配していた企業やそこで蠢く人間模様が描かれている。

ダイナミックすぎて例えばNetflixなどで豪華セットのドラマ化したら人気が出そうな感じ。さらに、李香蘭をモデルにした女優が登場したり、主人公の化学の知識を利用したどんでん返しが物語に面白みを付加している。