7/2 たったの3日

 twitterのタイムラインを眺めていたら、2歳11か月の子供を放置して死なせたというニュースが流れてきた。一昨日の夜、眠れずに読んでいた小説が、小さい子供を放置して死なせてしまった母親と、その死んでいった子供たちと、子供を放置して死なせてしまった母親の実母、三者の目線から語られる小説(『つみびと』(山田詠美著))だった。読み終わってまだそんなに時間も経っていなくて、気持ちが物語に引き寄せられているうちに、そんなニュースを見て、「フィクションじゃない、現実だ……」とぼうっとしてしまった。

 ニュースによると、2歳11か月の女の子は、3日間家で放置され、低体温症でなくなったらしい。胃の中はからっぽの状態。

 季節とか、放置されるまでの栄養状態とか、放置されたときの環境とか、様々な条件があるとは思うけれど。もうすぐ3歳という年の小さい子は、3日、放置されたら死んでしまうのだ。3日。今のわたしからしたら、『たったの』3日だ。ちょっと悪い風邪をひいて、熱出して朦朧としながら寝たりぼーっとしたりして布団の中で過ごしていたら、3日なんてあっという間だ。その3日間、放っておかれたら、小さい子供は、亡くなってしまうのだ。

 街中で見る、スーパーでおいかけっこをしている小さな兄弟や、駅のホームでおしゃべりしている女子高生たち、電車で足を広げて座ってるおじさん、スーパーのカートを店外に持ち出しちゃってるおばあちゃん、みんなみんな、小さい頃、3日と放置されずにまわりの人たちに面倒を見てもらった時期を経て、そこまで育って、生きてきたのかと思うと、結構な奇跡のようで、涙さえ滲んでくる。

 いまや『お母さん』な友達や、ネットや本から得た情報によると、『親』や『子育て』は、ものすごく大変そうに思える。ものすごく大変、なんて言葉じゃ全然軽いくらい、大変そうだ。発狂、していることだってよくある。そんなときに、子供からちょっと離れたい・逃げたい気持ち、よくわかる気がする。ただ、誰にも頼れず子供を任せる先もない親が、しんどくなって、たった数日、子供から離れただけで、子供は死んでしまうのだ。少し離れたいだけなのに、それさえもできない。

 3日と放っておけない小さな命の責任を持つこと。アラサー、アラフォー既婚ともなると、よく「子供は?」と聞かれるけれど。「自分に子育てができる気がしないんだよね」「ネグレクトのニュースとか、他人事じゃないと思うもん」等と答えると、「あなたならできるよ。みんなやってるし」とか「またまたぁ~」と笑い話にされたりするけれど、嘘偽りなく、自分の本心で、わたしは、自分の子供に対して責任をとれる気がどうしてもしないのだ。だから、同世代の友達が、どんどん親になっていって、子供もどんどん大きくなっていくのを、少し遠くの世界のような、偉人の伝記を読んでいるような気持ちで眺めている。順調に子育てができていることがすごくて、それは当たり前じゃなくて、きっと親や保護者のとてつもない努力や我慢で成り立っているんじゃないか、と思うのだ。

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