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こんなことに怒りを抱くのか

そういえば母が亡くなった当時、
某がん保険のCMで
癌治療して生きている人の話が流されていた。

私は、このCMが見られなかった。
CMだけでなく
ニュースもバラエティも
人間の声はあまり聞くことができなかったのだが
まさか
がん保険に対し、
怒りを抱くことがあるのかと自分でも驚いた。
誰も悪くない。
出演した人も話した人も企画した人も誰も悪くない。
むしろ希望を持つ人も、
備えとして保険に入ろうと思う人いただろう。

だが、私には怒りしか沸いてこなかった。
母の癌は特殊で、生きることができなかったからだ。

私は、母を亡くして初めて
人生で初めて
他人を羨ましいと感じるようになった。

最初が、このCMだった。

次は、私の年齢以上の女性に母親が生きていることに対して。
その次は、娘を産み、祖母になった母親が生きている人に対して。
羨ましくて羨ましくて
これ以上の幸せはないんじゃないの?と叫びたくなる。

しかし世の中にはいろんな母娘がいる。
女同士だからこそ分かり合えることもあれば
女同士だからこそ何故わかってくれないのかと
ぶつかることもあるだろう。
血は水よりも濃いことを
一番感じるのは母親の存在じゃないだろうか。

私も母とは、よく刺し違えなかったなと思うほどに
激しく喧嘩した。
激しかった。それはもう激しかった。

それなのに、今となっちゃ不思議なもので
よその家が羨ましくてたまらないよ。