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研修効果を上げる為に考慮すべき研修設計の3つのポイント

こんにちは、今日は企業で行われている研修について、効果を上げる為に必要な3つのポイントをお伝えしたいと思います。

当たり前の様な事ではありますが、以前ウェビナーで話した時に良い反響がありましたので文字に残しておきます。

日頃、研修企画のご担当者様と多く接点を持っていますが、たいてい相談を頂く時は「研修プログラムを決める」タイミングです。もちろんこちら側はベストを尽くしたご提案をさせて頂き、時には無料体験会に参加頂いたり、プログラムをオブザーブして頂いたりと結構な時間と、そしてコストを掛けて最適なプログラムを選定されています。

もちろんプログラム選びは重要なのですが、プログラム選定と同じぐらいもっと時間を掛けて考えた方が良いのに、余り目が届いていないポイントがあると思っています。今日はそのポイントについて意見を述べたいと思います。

まずは2つの考え方をご紹介します。

4:2:4の法則

ご存知の方も多いと思いますASTD2007でウェストミシガン大学のロバート・ブリンカーホフ教授が発表した「4:2:4の法則」という研究結果です。 

424の法則

研修の成果が上がらない要因を調査した所、研修自体(プログラム)の悪さ(内容)は20%程度の影響しか無い。むしろ研修の前後にある受講者の研修に対する準備や、実施した後のフォローや環境上の障害といった点の方が研修成果に対して影響が大きかったという事が分かりました。

良いプログラムを選定し実施する事も大事ですが、事前の心構えや実施後のフォローといった研修前後にもちゃんと配慮してくださいね、むしろより前後段階をケアする事が重要ですという事を言っています。

Q×A=E

もう一つ、こんな公式をご紹介させて頂きます。これはGE(ゼネラルエレクトリック)在籍時代に学んだCAP(Change Acceleration Program)という変革を推進する為のプログラムの一部にある行動変容を促す為の考え方です。

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変革推進をする上では、戦略や方法論の品質(Quality)と感情面での動機付け・受容(Acceptance)を掛け合わせて初めて効果が出る。より高い効果を上げる為には品質だけに目を向けるのでは無く、受容度も意識してどちらも高めましょうという考え方。

研修で言えば、どれだけ高額で時間を掛けた研修を実施したとしても、受講者の受容度が低いとその後の成果や行動変容に結びつかないという事です。研修プログラムの内容だけで無く、受講者のAcceptance・受容度も高める工夫をしましょうという事が言えると思います。

成果を上げる為に考慮すべき3つのポイント

上記2つの考え方から、研修企画をする際は以下3つのポイントについてもっと時間を掛けて考える必要があると考えます。

①事前の動機付け

②研修実施中の受容度

➂事後のフォロー

それぞれのパートにおける受講者の理想的な状況と、その為に具体的に取り組むべき事をもう少し詳しくお伝えさせて頂きます。

➀事前の動機付け

ここは事前に受講者のモチベーションを高めてあげる所です。

(理想的な状況)

・研修の目的/目標/重要度を理解している
・研修後の行動変容レベルを把握している
・早く研修に参加したい!

ここでは当たり前ですが、何のための研修なのか?そして研修後にどんな人材になる必要があるのか?それを受講者が具体的に理解していて、その為の研修があるなら早く参加したいなあ、という気持ちになっている事が理想です。

(具体的に行なうべき事)

・課題や期待を共有する
・研修後どの様になって欲しいか理想像を明示する
・目的と目標を合意する

その為に、これも当たり前ですが、受講者に対する課題感や将来への期待、そしてどういう人材になって欲しいのか明文化し、そして大事なのはその内容を合意する事です。一方通行で通達するだけでは無く、今どんな課題があり、そして会社のミッションやビジョンと共に受講者にどんな期待があるのか、しっかりと腹落ちしてもらう事が重要です。ここでの納得度が研修参加へのモチベーションアップにつながります。

この場面で登場して頂きたいキーマンは受講者の上司やトップマネジメントです。失礼ながら人事の方や研修企画者の方が課題や期待を伝えたところで余り聞く耳を持ちません。受講者は誰の言う事が一番納得するかを考えると、他部門の企画者でなく、自分の上司やトップマネジメントになります。なのでここでは受講者の上司やトップマネジメントに活躍してもらいましょう。企画者の方は受講者の上司やトップマネジメントを(言葉が悪いかも知れませんが)上手く使って、受講者へ課題や期待を伝えてあげる仕組みを整えてみてください。

実際、私が所属していたGEでは、2階層ぐらい上のトップマネジメントクラスから「Congratulations!」というタイトルのメールで研修の案内が来ました。ざっくりと↓↓の内容です。

あなたには会社として期待された選ばれた人です。おめでとう!あなたには○○の期待をしていて、○○のスキルを身に付けてもらう為に、○○の研修に招待します。楽しんで学んできてください。

研修参加=期待されている人や成果を残した人へのご褒美のような文化になっていましたね。私は単純な人間なのでこれだけで期待されてると嬉しくなり研修頑張ろう!という気になっていました(笑)。

ここまで出来なくても受講者の上司には研修の重要性を理解してもらい、期待を込めて研修へ温かく送り出してもらう様にしましょう。

一方で、「忙しい中、申し訳ないんだけど、研修あるから参加してきて」のように何か押し付けるような送り方は絶対やめてもらう様にしましょう。折角頑張って企画した良い研修も、義務化され、何かの罰ゲームみたいな見せられ方をする事になり、価値が下がってしまいます。

②研修実施中の納得度

(理想的な状況)

・実務との連動性を認識出来る
・研修内容を理解できている
・目標達成のイメージが出来ている

ここでは、「この研修受講すれば目標が達成できそうだ」、「研修中に学んだことが実務で活用出来そうだ」イメージ出来る事が理想です。その為には研修内容が正しく理解できている事が大事です。

(具体的に実施すべき事)

実践機会をイメージでき、目標を達成できるプログラムを選定する

ここは普段皆さんが力をいれて考えてらっしゃる部分なので、特段言及はしませんが、研修中に実務課題に取り組めたり目標を達成できるコンテンツを選定しましょう。

➂事後のフォロー

(理想的な状況)

・合意した目標/目的を達成できる
・研修で学んだ内容を実務で活用する場がある
・研修前と比較して行動変容が出来ている

目的や目標を達成とありますが、研修直後に目標達成を意識する必要はありません。学んだことを実践しながら成長して最終的に達成するという事を意識しましょう。その為には、学んだ事を実践する機会がある事が大事です。実践機会を重ねて、具体的に「○○が出来るようになったなあ」と行動変容が出来た事を認識できるようにすることが最初のゴールです。

(具体的に実施すべき事)

・目標達成レベルを定期的に評価する
・実務で活用する機会の提供
・復習する機会の提供

その為には、まず目標達成レベルを定期的に評価しましょう。この評価は研修の善し悪しを図るアンケートとは違います。もちろん研修の評価も必要ですが、ここではそれで終わらずに、当初挙げた目標がどの程度達成できているのか?行動変容がどの程度出来たのか?、少し長い目で目標が達成出来ることへ評価する事が大事です。

その目標達成の為に必要なのが実践の機会です。時々研修後に実践の場が無いという事も聞きますが、意識して実践機会を与えるようにしてあげましょう。 

この評価と実践機会の提供もやはり研修企画者で無く、上司の出番です。目標達成の為に実務の機会を与え、定期的にミーティングをし個人の成長に対してフィードバックをします。受講者の成長に1番重要なのはやはり上司です。

ここでもGEの例になってしまいますが、GEでは研修後の実践レベルや本人の変化が人事評価の項目に含まれていたので、4半期ごとの上司との1on1で必ずフィードバックが貰えていました。受講者本人と上司が2人3脚で研修をやりっぱなしにしないように取り組む仕組みが出来ていました。

そして研修内容の理解が足りない、まだ更なる学習が必要といった時の為に、復習の為の研修やE-Leraningを用意してあげると更に良いと思います。

まとめ

今日は研修効果を上げる為にプログラム選定以外に注意する3つのポイントを挙げさせて頂きました。

➀事前の動機付け ②研修中の納得度 ③事後のフォロー

当たり前の様な事ですが、わかっていながら出来ていないという方も多いのでは無いでしょうか?

特に➀と③は研修企画者の方だけで取り組める事で無く、現場上司の方等多くの人を巻き込まないと出来ない事が多いかも知れませんが、折角高いコストを掛けて実施する研修をより良いものにする為にも、少しづつでも時間を掛けて取り組んで頂けると嬉しいです。

長々お読み頂き有難うございました!

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