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「何かを生み出したいと思ったことがない」けど「何かを生み出さないと・・」と感じている人に向けたお話

大学を卒業して社会人になって11年が過ぎました..。

新卒から10年間は2社でサラリーマンとして務め、昨年独立して2年目を迎えました。ただ、独立したといっても、独自のプロダクトやサービスを持っているわけでも、明確な事業として展開しているわけでもなく、これまでの経験とそこで培った能力をベースに、基本的にはプロジェクト単位で業務を委託していただいて仕事をしている状況です。

その間、他のビジネスパーソンの方々と同じように、様々な課題を解決するために、勉強や学びといったアプローチ、行動や挑戦といったトライアンドエラーをしてきました。

一方で、現在もそうなのですが、11年間ずっと向き合っている課題が一つあります。それは、一度も「自分で何かを生み出したいと思ったことがない」という課題です。

「やりたいこと」(Do/Action)がないという意ではなく、目に見える形で「生み出すこと」(Create/Make)がないという意です。

もう少し深堀りをしてみると、「ものづくり」や「自分の手を動かしてつくる」という行為自体に、また、目に見える形での商品や製品に、そもそも興味関心がないのだと気づきました。身の回りにあるものを見渡してみても、こだわりのあるブランドや製品はたしかに見当たりませんでした。

そんな人間ですが、反対の「目に見えないもの」に対してはものすごく興味関心があります。

例えば、人間の思考や心理、ものやブランドが作られた背景やストーリー、仕事を進めるにあたっての段取りやプロセスなどです。目には見えないけど必ず存在するものに、探究心やロマンを抱きます。

そういった価値観を言語化できたのは2年くらい前で、現在、自身を「思考設計士」と名付けて活動しているところにも大きく影響しています。

とはいっても、目に見えない、形のないものに対してアプローチする、特にお客様相手にビジネスをしようとなると、正直難しい。なぜなら、人間は目に見えるもの、わかりやすいものに意識が行くし、目に見えないものに対して不安や疑問を抱きやすい、信用が得にくいということがあります。

そのため、こういった自身の価値観を明確に言語化できても、頭のどこかに常に目に見えるものを生み出す必要性を感じずにはいられないわけです。

しかし、そもそも目に見えるものに興味関心がないため、モチベーションもないし、アイデアも湧いてこない。必要性を頭で「理解」しながらも、心の「納得」がない。自身の性格や特性、価値観だけではどうしても押し通せないわけです。

「何かを生み出したいと思ったことがない」と感じている人は他にもいると思っているのですが、最近、押し通せた感覚が一つありました。一つの考え方として参考にしていただけたら幸いです。

その考え方とは「四則」です。算術の「加・減・乗・除」の総称で、「+ − × ÷」のことです。

・・と言われもよくわからないですよね。以下は私なりの感覚の解釈になりますが、基本的に、「ものづくり」や「形のあるものを生み出す」というのは、「加(+)」の考え方であると思います。解釈によっては、何かと何かを組み合わせるという「乗(×)」でもあります。ないものを形にしていく、もしくは目に見えないものを見えるようにして生み出していくのは、基本的に「+」の考え方になります。

残るは、「減(−)」と「除(÷)」の2つになりますが、この2つが自身にとって納得のある考え方でした。「生み出す」という「+」のアプローチではなくて、逆に「減らす」「除く」というアプローチは、ベクトルが「→」ではなくて「←」にあるということに気づきました。

「→」のベクトルは過程から結果に向かっていきますが、最後はどうしても目に見えるものに向かっていきます。目に見えるゴールに興味関心がないものだからモチベーションが上がらない。

一方で、「←」のベクトルは結果から過程に向かっていきます。これだと目に見えるものから見えないものに向かうので、価値観との一致があり、また、結果的に見えるものであっても、削ぎ落とす、区分する、整理するといったアプローチを取ることができます。

ちなみに「乗(×)」はアイデアの組み合わせ(企画・イノベーション)や人と人のつながり(対話・コミュニケーション)と捉えると、たとえ目に見えないものであっても価値のある活動、人間ならではの仕事であるといえるので、こちらも価値観との一致がありました。

自分で何かを生み出したいと思ったことがなく、その必要性と納得性のジレンマにずっとモヤモヤを抱いてきた自分でしたが、その理由が「+」考え方で「→」のベクトルでないと、価値の想像や提供はできないのだと思っていました。

「→」のベクトルのプロセス(見えるようにしていく、形にしていく、生み出していく過程)の範囲でしか自分の役割を考えることができなかったわけです。

ただ、四則の概念を用いれば、「+」以外の3つの要素があり、その意味を考えていくと、反対(「←」)のベクトルがあることにも気づけたわけです。

この気づきをさらに抽象度を上げて言語化すると、自身の性格や特性、価値観といった「パーソナリティ」と社会や環境といった「シチュエーション」、もしくは、周りが求めている「ニーズ」(場合により「当たり前」ともいえるもの)にギャップがある場合、

シチュエーションやニーズを「要素分解をして別の要素で考えてみる」
(生み出す=「+」→四則の他の「−」「×」「÷」から状況やニーズを捉え直してみる、など)

シチュエーションやニーズの「向いているベクトル(方向)を変えてみる」
(過程から結果→結果から過程、もしくは形にして生み出す→形を削ぎ落とす、など)

という考え方をしてみると、モヤモヤが少し解消されるのではないかと思いました。「何かを生み出したいと思ったことがない」けど「何かを生み出さないと・・」と感じている人へ向けたお話でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


※サムネイル写真:Image by Gerd Altmann from Pixabay