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『認知』から『想起』を意識したブランディングを

マーケターの多くの方が使う言葉、『認知』。
「先月発売した新商品の認知度をあげたいんです。」
「会社の認知が低く、広告などでリーチを増やしていきたいんです。」
このような、ブランドや商品、会社のブランドの課題はどの会社にもありますよね。

今回は、そんな悩みを持つマーケターの方、ブランド担当者、ブランディングに関わる方に、『認知』から『想起』を意識したブランディング活動を一緒に行なっていきたいという想いを込めた内容を書きます。

●『認知』は最重要ではない!


まず冒頭に、認知がダメなわけでも、悪いわけでもないことは言っておきます。認知はとても重要。というより、その認知させるのはとても難しい。
ただ個人的に、認知は一つの通過点でしかないと思っています。なぜなら、認知が上がれば果たしてその商品は売れるのか?会社の認知が高くなれば選ばれる会社になのか?
半分正解で、半分間違いである。何が間違いなのかというと、認知だけでは"オンリーワン"にはなれないからであります。さらに、マーケターの方のゴールは認知ではなく、その先にある買っていただくことやそれによる満足度にあると思います。
なので、認知は最重要ではない、ということになるのです。あくまでプロセス、手段でしかないのです。

●「□□□と言えば□□□」をつくること


質問です!
Q.「ミネラルウォーター」といえば何でしょう?
(思いついたらスクロールしてください。)







おそらく、
・ボルビック
・クリスタルガイザー
・ヴィッテル
・エビアン
など海外ブランドを思い浮かべるか、
(実は正確にいうと、種類が異なるらしいのですが、)
・サントリーの天然水
・いろはす
あたりも出た方もいると思います。

つまり、「ミネラルウォーター」という言葉だけでは、複数のブランドが認知されている状態、つまりオンリーワンではないのです。
この中から一つ選ばれる、つまり皆さまの会社の商品やブランドが選ばれる可能性は低くなるわけです。

少し質問を変えます。
「ペットボトルを"クシャ"とつぶせる水」といえば何でしょう?
(同様に、思いついたらスクロールしてください。)








そうです!ほとんどの方が「いろはす」を思い浮かべたはずです。
これはまさに認知の先にある『想起』なのです。オンリーワンとなる"コミュニケーション"なのです。
これはブルーオーシャン市場であれば、認知だけでも選ばれる可能性は高いですが、レッドオーシャン市場、つまり複数の会社が参入している状態では認知=知っている、だけでは可能性は低いのです。(とはいえ、この時代にブルーオーシャンにあるブランドは稀な例です。)

●認知をつくり、さらに想起をつくる仕掛けを


水の事例でわかるように、商品やブランドを購入されるためには、認知だけでは足りないのです。想起をつくる仕掛けが必要になります。
その仕掛けをつくる方程式は、

「コミュニケーション」×「マルチメディア」

で私はいつも設計をしています。

コミュニケーションは、まさにターゲットとなる生活者(BtoBであれば企業のビジネスパーソンなど)に、どういう言葉で伝えるかです。
ミネラルウォーターを売っている会社というのか、ペットボトルを"クシャ"とつぶせる水を売っている会社というのか、で具体的にイメージできるかが全然異なるのです。
なので、コミュニケーションをまず考えてみてください。そのあとに、それをどういうクリエイティブやフォーマット、メディアで伝えるかです。

そして、もう一つやるべきことは、"複数"のメディアにて(コミュニケーションやクリエイティブは同じでもいいし、変えてもいいと思いますが、)コミュニケーションをとることです。

私がここ数ヶ月であった事で、「マウスコンピューター」があります。
自宅でYoutubeをみていたら、乃木坂46のメンバーを使った動画(すごいインパクトのあるクリエイティブでしたね)が広告で流れてきました。
この時点は、この広告により「認知」されたわけです。しかし、頭の中にはよっぽど印象に残るか、乃木坂46が好きでないとおそらく記憶に残ってないです。
その1週間後、仕事でクライアントのところに行くときに、渋谷駅の山手線のホームでマウスコンピューターのイベントスペースを目にしたのです。
その時に、「あっ、1週間前にYoutubeの広告でみたやつだ」と頭の中で記憶が蘇り、しばらくデスクの"マウス"を見るとあの動画が流れるし、渋谷駅の山手線にいくと思い出すし、さらに黄色のものを見ると頭にマウスコンピューターのあの動画が流れ、自然と「想起」されていたのです。(笑)

つまり、このマウスコンピューターをYoutubeの動画広告と渋谷駅のリアルスペースの2つのチャネルで目撃したことによって、「認知」から「想起」へ、となったわけです。
今では、「マウス」と聞いたら、操作するマウス(もしくはネズミ)ではなく、パソコン、そしてマウスコンピューターが想起される状態です。(笑)
マウスコンピューターの次の課題とやるべきことは、「パソコン」という軸からどう認知と想起を作れるか、だと思います。

●「認知」をつくる視点だけでなく、「想起」をつくる視点

ぜひブランドの認知度をあげたいと思っているマーケターの方々は、オンリーワンとなる「想起」をつくる仕掛けを企画して実践してみましょう。
もちろん、想起を作れば売れるというわけではないです。売るためには、今度はその人の心を動かす必要があるからです。次回はその『売るためには』を少し取り上げて、認知から想起させた商品やブランドをどう売るか、を取り上げてみたいと思います。

●2019年の仕事の抱負


世の中に、多くの人に、商品やブランドに価値を"創造"して伝えていく。そんな仕事や取り組みをマーケターの皆さまと一緒に"証明"していきたいですね。創造するだけでなく、証明までが大事だと思っています。

私の今年2019年の漢字は、『結』です。
ちなみに、結という漢字には大きく3つ意味があり、
①つなぐ、結びつける → 団結、結束など
②組み立てる → 結構など
③締めくくる → 結果、結末など

いろんな人とつながり、物事を組み立てて、いい結果で締めくくる。
そんな1年にしたいと思っています。