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#176 『この世は愛の教習所』

本日は、エッセイストの鮫島純子さんの「この世は愛の教習所」についてのお話です。鮫島さんの祖父は、日本の資本主義の礎を築いた渋沢栄一さんで、父は栄一さんの四男で実業家の渋沢正雄さんという繋がりがあります。

今年99歳を迎える鮫島さんは、夫婦で朝の散歩など日常生活の中でできる健康法と心の持ち方をポジティブに保つ心がけを実践してきて、そのメソッドや考え方に関する本も出版されています。

今回のお話は、鮫島さんがオレオレ詐欺にあったことの話なのですが、普通では考えられない心の持ち方を感じる内容でした。「人生は様々な出来事が起きますけれども、そのすべてが愛するためのトレーニングの場」と語る鮫島さんが長い人生をかけて感じてきたものは何だったのか。

"自分が少しだけ成長できたかな、と感じる出来事がありました。東日本大震災が起きる2週間ほど前、オレオレ詐欺に遭いましてね。お電話をいただいた方には、丁寧に応対するという癖がついておりますので、代々木警察署の署員を名乗る人から...電話がかかってきた時も、まずはお話をよく聞こうと思ったのです。"
"「おかしいな」と思いながら、いつの間にか洗脳されて、言われるがままにキャッシュカードを束ねて、訪ねてきたスーツ姿の男性に渡してしまったんです。...警察にも行って事情をお話ししました。調書を作成なさっている間、待っていたのですが、犯人に対する憎しみや恨みの感情がいささかも湧いてこないんです。「ああ、私はきっと過去世で、いただいてはいけないものをいただいたんだ」という思い、罪をつくった犯人のこれからの人生、母親の悲しみを案じる気持ちしかありませんでした。"
"警察の方も「これだけ大金を盗られて泣き騒がない人も珍しいですね」と驚かれていました。しかし、っこで泣き叫んでいたら、きっとまた別の形で私に悪い出来事が返ってきていたでしょうね。後日、私の考えをよく知っている方から「こんな時に言う言葉ではないけれど、おめでとうございます」とお電話をいただきましたが、自分でも心の成長が嬉しく思えました。"
"97年の人生を振り返ってみますと、この世はすべてが愛の教習所だったんだな、という思いを強くしております。人生は様々な出来事が起きますけれども、そのすべてが愛するためのトレーニングの場なのですね。どんな人でも、どんな時でも神様は見守ってくださっている。だとしたら、何が起きてもジタバタせずに、御心にままに愛を持って生きていくのが一番いいと、最近つくづくそう感じるようになりました。若い世代の皆様には、ぜひそのことをお伝えできたらと思います。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/06/25『この世は愛の教習所』
鮫島純子 エッセイスト
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※Image by Pexels from Pixabay