見出し画像

#223 『あずさからのメッセージ』

本日は、福岡市立百道浜小学校特別支援学級教諭の是松いづみさんの「あずさからのメッセージ」についてのお話です。

"梓が生まれたのは平成6年のことです。私たち夫婦はもともと障がい児施設でボランティアをしていたことから、我が子がダウン症であるという現実も割に早く受け止めることができました。迷ったのは上の二人の子たちにどう知らせるかということです。「梓はダウン症で、これから先もずっと自分の名前も書けないかもしれない」と伝えました。...子どもたちは「僕が代わりに書いてあげる」「私が教えてあげるから大丈夫」と口々に答えます。"
"この問いかけによって、一人ひとりの持つ優しさがグッと引き出されるように感じます。...子どもたちに障がいに対する認識が少し変化するように思います。自分が何かをしてあげなくちゃ、と考えていたのか、いやここにいてくれるだけでいいのだと価値観が揺さぶられるのでしょう。"
"いままでマイナスにばかり捉えていたものをプラスの存在として見られるようになるんです。私自身が子どもたちから教わることもたくさんあります。授業の中で、梓が成長していくことに伴う「親としての喜びと不安」にはどんなものがあるかを挙げてもらうくだりがあります。黒板を右左半分に分けて横線を引き、左半分に喜びを、右半分に不安に思われることを書き出していきます。...将来に対する不安が次々と挙げられる中こんなことを口にした子がいました。"

"「先生、真ん中の線はいらないんじゃないの?」理由を尋ねると「だって勉強が分からなくても周りの人に教えてもらい分かるようになればそれが喜びになる。意地悪されても、その人の優しい面に触れれば喜びにも変わるから」。これまで2つの感情を分けて考えていたことは果たしてよかったのだろうかと自分自身の教育観を大きく揺さぶられた出来事でした"


============
書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/08/11『あずさからのメッセージ』
是松いづみ 福岡市立百道浜小学校特別支援学級教諭
============

※Photo by Lea L on Unsplash