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#209 『トップアスリートの共通項』

本日は、中京大学スポーツ科学部教授の荒牧勇さんの「トップアスリートの共通項」についてのお話です。

"闘魂という言葉について、私自身の研究から思いつくのは、何かを始める時の脳のエネルギーについてです。スポーツを直接の対象とした研究を始める前は、基礎的な運動の研究をしていました。"
"例えば、両手の人差し指と中指を交互に動かしてタッピング運動をします。この時に、左右の手の人差し指同士を同時、中指同士を同時、といった具合に、同じ指同士を同時にタッピングするパターンはとても簡単です。ところが、右手の人差し指と左手の中指を同時に動かし、続いて右手の中指と左手の人差し指を同時に動かすというパターンでタッピングをすると途端に難しくなります。"
"このように、困難なことを始める時、また、大きな変化を起こす時には脳にも大きなエネルギーが必要です。ここからは研究データに基づかないので雑感となりますが、トップアスリートに限らず、人生で大きな成功を収めるような人物は、この大きいなエネルギーを出せるのだと思います。それがいわゆる一つの闘魂なのだと思います。"
"一般の人には手が届かないような一流人が持つ闘魂は、意外に小さなところから育むこともできると私は考えます。例えば、やるべきことにすぐに手をつけられるか否か。仕事でも何でも、いったん始めてしまえば後は比較的楽なのですが、多くの人はなかなか手をつけられずにグズグズと時間を浪費してしまいがちです。先述の通り、何かを始める時、変化を起こす時には脳内で大きなエネルギーを消費するため、愚図になるのは仕方ないのことで貼るのです。"
"これを克服するには、思い切ってやり始める以外にありません。やるべきことがあったら、すぐにやる。気分が乗らなくも無理やりにでも始めてしまう。これを繰り返すうちに徐々に脳の構造も変化し、新しいことにも積極的に挑戦する人間に自己変革できることでしょう。テクニックとして有効なのは、何かを始める前にはルーティン、一定の動作を行うことです。メジャーリーグで活躍するイチロー選手が、打席に入る前に必ず同じ動作をするように、自分なりにルーティンを決めて実行することを習慣づければ、脳内に回路が形成されてスムーズに仕事に着手できるようになるでしょう。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/07/28『トップアスリートの共通項』
荒牧勇 中京大学スポーツ科学部教授
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※Image by Pexels from Pixabay