見出し画像

#298 『この世のすべては借り物』

本日は、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之さんの「この世のすべては借り物」についてのお話です。古田さんは、青山学院大学大学院理工学研究科機械工学専攻博士後期課程を中退した後、同大学の理工学部機械工学科の助手となります。

2000年には科学技術振興機構としてロボット開発に従事し、2003年から千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長となります。福島第一原発で唯一全フロア踏破可能な災害対応ロボットを開発したり、政府の原発冷温停止ミッションを遂行・成功させたことで知られています。

2018年には現代の最新ロボティクス、AI技術をプロダクトデザインで融合させることで生まれた未来の機械生命体「CanguRo」を発表しました。「未来の社会をつくること」をミッションに活動する古田さんの生き方についてのお話です。

"これは生き方の問題なのですが、最終的に僕が欲しいのは、ロボットで世の中や未来を変えることなんです。だから、僕はある時から人に褒められること、お金を儲けること、有名になることを捨てました。これは無敵ですよ。"
"お金をもらった瞬間、企業とは元請け、下請けの関係になるんですね。僕には貸しはあるんけれども借りはない。だから、27万人の社員がいる大手電機メーカーの社長とも対等でいられるんです。「僕はあなたのパートナーです。お金は要りませんから、一緒に世の中を変えてくれますか」と堂々と言える。"
"人間は必ず死ぬということに気づかないんですよ。悠久な宇宙の歴史の中で120年生きようが、1日生きようが、それは誤差です。重要なのは何をして、何を残すかなんです。「明日これをやろう」と思っている人には明日は来ない。人に褒められたい、嫌われなくないと考えるよりも、本当の自分の心の声を聞いて、この世にどれだけのものを残せるかに時間を使うべきだと思います。"
"僕は思うんです。いま持っている服や時計、パソコン。それどころか、この体すら僕のものではない。その証拠に100年後、僕の体は土に還っている。つまり、この世のすべては借り物だということですね。自分のものって何だろうと考えると、唯一残るのは自分の仕事。それだけです。だとしたら、この生きている間の借り物をボロボロにして返してやろうと。能力も時間もボロボロに擦り減るまで使い切ってやろうと。"


============
書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/10/25 『この世のすべては借り物』
古田貴之 千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長
============

※Photo by Jem Sahagun on Unsplash