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#270 『自己改革の6つのキーワード』

本日は、タカラ物流システム社長・タカラ長運社長の大谷將夫さんの「自己改革の6つのキーワード」についてのお話です。

"職場で働く人間を大事にしたり、モチベーションを上げていって実力以上の力を出してもらうという人間に立脚した経営、これを人間主義の経営と言っていますが、これがいまの経営者は非常に弱いように思うんですね。合理主義を追求して、例えば10部門中9部門までが赤字だった長崎運送の場合、1部門を残してあとは全部切り捨てればよかったかといえば、そんなことないですよ。本当は再建できる要素があるかもしれないのに、赤字だから切り捨てろというのではあまりに短絡的です。"
"私の経営の基本にあるのは、一つが合理主義に則った業務改革・業務改善、そしてもう一つは人間主義に基づいた意識改革。どれだけ合理的・効率的に考えていいことばかり言っても、元気の出ない人がそれを実行しても効果は上がりませんよね。私は社長として就任する前の日曜日に全社員320名を集めて、経営方針発表会を開きました。そうしたらいままで社長の顔すら見たことがないという社員が半分近くいたんですよ。そんな会社では、社長がいくら発破をかけても伝わりませんよね。"
"私はその場で全員に訴えかけました。きょうから会社が変わっていくから、皆さんも意識を変えてくれよと。

「明るく、元気に、前向きに、いまやる、頭をつかってやる、必ずやる」

これは私が掲げた自己改革の6つのキーワード。もちろんただやろうじゃないかと精神論を唱えるだけではなく、具体的な再建計画も全員にお伝えしました。会社が危機的状況に置かれていることすら知らない社員もいましたから、ここで全員の意識を一つにまとめて一丸となって頑張ろうと。"
"すると、社員の目の色が変わりましたね。懇親会では舞台から降りて社員一人ひとりと握手して回りました。興奮する社員もいれば涙ぐむ社員までいて、それはもう大変な盛り上がりでした。320人もいれば本当にいろんな社員がいます。でもね、そういう人たち全部をまとめて一つの方向へ引っ張っていくのが社長の一番重要な役割だと私は思っているんですよ。社員もまた会社でそれぞれ役割を担っているわけですから、私はオーケストラでいう指揮者みたいなものだと思います。"
"その日から私は一気に勝負をかけました。なんせ十年間だらだらしていた会社だから、様子を見ながらなんて言っていたらまたすぐ元の意識に戻っちゃう。最初の3か月が土台づくりの勝負だと思って、もう朝から晩まで「これじゃあかん」「君の考えはどうなんや」と叫び通しでしたね。それまでぬるま湯みたいなところで、見せかけだけの仕事をしている人が多かったから、実際320人の社員がいても戦力的には7掛けくらいで見ていましたよ。つまり224人。"
"もし彼らがやる気になって普通の人の1・2倍働くようになったら384人分の戦力になるでしょ。そうしたら同じ人員のはずが、モチベーションが上がっただけで新規に160人採用したのと同じことになる。だからいかに社員を元気にさせることが重要かってことですね。一人を単に一人と勘定しているようでは、本当の会社の実力というものは見えてきません。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/09/27 『自己改革の6つのキーワード』
大谷將夫 タカラ物流システム社長・タカラ長運社長
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※Image by InspiredImages from Pixabay