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#23 『一度は死に物狂いで物事に打ち込んでみる』

"一度は死に物狂いで物事に打ち込んでみることが必要です。目標を定めたら何が何でも達成するんだという意志を持たないと。独学であっても強い覚悟と実行さえあれば道は開ける。これは私の実感であり、体験を通して掴んだ一つの法則です。"

本日は、建築士の安藤忠雄さんの「物事に打ち込む姿勢」についてのお話です。日本だけでなく、世界で数々の建築を手がける安藤さん。有名な建築といえば、表参道ヒルズ、水の教会(星野リゾートトマム内にあるチャペル)、淡路夢舞台、住吉の長屋、司馬遼太郎記念館、副都心線渋谷駅などがあります。

安藤さんの名前や建築物の一部は知っていましたが、どういったバックグランドや考え方をしている方なのかは正直知りませんでした。ちなみに、私は「建築」は比較的好きなカテゴリーで、スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリアを代表とする建築物を設計した、「アントニ・ガウディ」という建築家が、私の尊敬する人物であり、「思考設計士(シンキングデザイナー)」としての原点であります。

"中学二年の時に平屋の自宅を二階建てに改築することになりましてね。近所の若い大工さんがお昼休みも取らずに、パンを齧りながら一心不乱に働いている姿を見て、すごいなと。この人は一生懸命生きてる、仕事に誇りを持って働いてる、自分も建築の道に進みたいと思った"

安藤さんの建築士としての原点は、この実家の改築をしていた大工さんと、中学校の数学を熱心に教えてくれた杉本先生に出逢ったことだと語っています。(その後の、安藤さんはボクシングをはじめ、なんとプロボクシング選手になったというのは驚きです。)

このお話からも、「目標を定めたら何が何でも達成するんだという意志」が伝わってきます。さらに「独学であっても強い覚悟と実行さえあれば道は開ける」という言葉にある通り、安藤さんは独学で建築を学んでいます。

"経済的な事情と学力の両方の理由から大学に行けず、建築の専門教育も受けられなかった。ならば自分で勉強しようと。十九歳の時に、建築学科の学生が四年間かけて学ぶ専門書を一年で全部読もうと決心し、毎朝九時から翌日の朝四時まで机に向かいました。睡眠時間は四時間。四月一日から翌年の三月三十一日まで、ほとんど外出もせず、無我夢中で勉強したんです。"

明確な目標を見つけて、それを達成するまで突き進む。安藤さんのハングリーな精神力と実行力にただただ驚きです。お話の中で、安藤さんの祖母からの「ハンディキャップは意外といい。頑張るから。」は印象的な言葉です。

『あれがない、これがない』とハンディキャップを言い訳にしていたら、行動は起こせませんよ。『ない』ならば『ない』なりに、やっていく方法を考えたらいいんです。

別の記事でこのように語っていて、「ハンディキャップから人間の個性は生まれる」という言葉を残しています。一昨日のイチローさんのお話もそうですが、人はうまくいかない言い訳を探してしまうものなんだなと思います。条件をつけたり、贅沢をしたり、何か足せば足すほど、そうじゃない状況に対して言い訳をすることができてしまう。

そういう心持ちでいることが、結果的に本当にありたい自分だったり、自分が本気になって取り組めることを避けてしまうのだと思います。足し算的な考え方は自分の意志を弱めてしまうのかもしれないですね。そういう視点で、昨年のインタビュー記事での安藤さんの考え方は非常に深いです。


今、自分の周りにあるものや環境の中で、何ができるか。自分の部屋を見渡せば、机と椅子はある。これまで読んだ本にまだ読めていない本。これまでの自分の思いや考えを整理したノート。パソコンにスマートフォン。その中に入っているいろんなデータや情報。

冷静に自分の周りを見れば、十分に自分が取り組めるだけのものがある。安藤さんから見れば、贅沢でありすぎる状態なのかもしれない。自分のありたい姿をイメージしてそのために行動することも大事。だけど、一方で、今いる環境の中でできることを一心不乱にやる。その両方の精神をもって、物事に向き合っていくで、自分なりの道を開いていきたいと思いました!


もう一人、私の好きな建築家でこんな言葉があることに気づきました。

"Less is More"(少ないことは豊かである)
ミース・ファン・デル・ローエ


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/01/23 『一度は死に物狂いで物事に打ち込んでみる』
安藤忠雄 建築家
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※Photo by Antoine Meinsier on Unsplash