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#201 『与えられた環境を最大限に生かす』

本日は、元プロ野球選手の稲尾和久さんの「与えられた環境を最大限に生かす」についてのお話です。稲尾さんは、西武ライオンズで3年連続日本一に貢献した投手で、日本プロ野球記録となるシーズン42勝、投手三冠王を2回達成、最優秀防御率を5回獲得、パ・リーグ記録となる最多勝利を4回獲得、ベストナインを5回受賞しています。

連投・多投の中で好成績を挙げてきたことから「鉄腕」と呼ばれ、1958年の読売ジャイアンツとの日本シリーズでは、7試合中6試合に登板し逆転優勝に導いたことから「神様、仏様、稲尾様」と名付けられた名投手です。今回のお話は、名投手に至るまでの稲尾さんの姿勢について語られています。

自分の長所を見つけ、その長所をどのように伸ばすか、生かすかを考え抜いて、そのための練習を誰よりもしてきた稲尾さんの姿から刺激をいただきました。

"いい選手になるためには、いかに早く自分の長所に気づき、それを伸ばす努力をするかが重要なことです。私の場合、スピードではとても畑にはかなわないと思いました。すると、勝負ができるのはコントロールしかありません。徹底的にコントロールを身につけようと考えました。"
"練習とはいっても、全部ストライクを投げると、打者はすべて打とうとしますから、休むことができません。「たまにはボールを投げろ」と叱られて、ボールを交ぜるのですが、やがて、三球続けてストライクを投げ、四球目をボールにして休ませるというのが、バッターもリズムがとりやすいということが分かってきました。"
"短い間でしたが、中学時代にキャッチャーをやっていたので、私はあまり大きく振りかぶらずに、素早く投げる癖がついていました。普通の投手が投げるのは一分間に6球程度ですが、私は8球投げることができました。当時の打撃練習は一時間でしたから、その間に私は480球投げることになります。"
"ストライクは真ん中に投げるだけですが、ボールにする球は、内外角それぞれの高低と4つのコースがあります。このボール球を投げる時だけがコントロールをつける練習になると思って、真剣に投げました。それに、ブルペンではバッターが立つことはありませんが、私の場合はいつもバッターが立ってくれますから実戦に近い。480球投げるうち、120球は自分だけに特別に許された練習だと思ったわけです。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/07/20『与えられた環境を最大限に生かす』
稲尾和久 プロ野球解説者
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※Photo by Ben Hershey on Unsplash