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#169 『立ち直ろうとしないのはあんたのせいや』

本日は、弁護士の大平光代さんの「立ち直る」についてのお話です。大平さんの半生は一言で言うと「山あり谷あり」。中学時代にいじめを受けて自殺をはかった経験。非行に走り16歳で暴力団の組長と結婚、その後離婚。22歳の時に、今回のお話に出てくる養父・大平浩三郎さんと出会いで立ち直り、29歳の時に司法試験に一度で合格して弁護士となりました。

それらの体験が記されている『だから、あなたも生きぬいて』(講談社出版)は260万部の大ベストセラーとして有名です。

以下は、致知出版社の大平さんへのインタビュー記事で、いじめの体験談が語られています。今回のお話もいじめ、結婚・離婚などの体験をもとに、義父との出会いと、義父からの衝撃の言葉が語られています。


何か不幸なことや嫌なことがあった時、その状況は、環境や周りの人たちなど、いろんな要因があるかと思います。しかし、悪い状況をどのように捉えるか、状況をよりよくするためのアクションはその人自身の問題であることが今回のお話で強く伝わるかと思います。

"いま思えば中学校に行かんでもよかったし、いろいろな選択肢があったなと思います。でも、当時は「いじめられたら学校に行かなくていい」という時代ではありませんでした。この状況が一生続くように思っていたし、場合によっては殺されるかもしれない。だったら自分で死のうと決めたんですよね。子供でしたからね、お腹を刺せば死ねると思ったんです。ところが全然意識はなくならない。痛い、苦しい・・。ああ、自分は死ぬこともできへんのかと、いまにして思う大変罰当たりなことを考えました。"
"「先生がちゃんとしてくれると約束してくれたし、学校に行けへんかったら恥ずかしいから、お願いだ」と母に懇願され、親にまで見放されたくないという思いが強かったので、母がそこまで言うならと、登校したんです。そうしたら、「死にぞこない」と。結局、何も変わっていませんでした。しばらく頑張ったのですが、いよいよ耐え切れなくなって、「こういうことをする子たちが『人間』というなら、私は人間やめたろ」と思いました。"
"後に義父となる大平のおっちゃんとの再会がありました。ちょうどバブルの絶頂期で毎日お店は接待で満席。そこにやってきたんです。大平のおっちゃんは実父の友人で、小さい頃よく遊んでもらっていたので、一目見て互いのことが分かりました。「いつでも電話しなさい」と名刺を渡され、時々喫茶店で会うようになったんです。その度に「こんなこと、してていいんか」と諭されたのですが、ある日私が、「おっちゃん、口先だけで説教するのはやめて。そんなに立ち直れって言うなら、私を中学時代に戻して」と居直ったんですね。すると、おっちゃんは周囲も驚くような大きな声で、「確かに、あんたが道を踏み外したのは、あんたのせいだけやないと思う。親も周囲も悪かったかもしれない。でも、いつまでも立ち直ろうとしないのはあんたのせいやで。甘えるな!」と。この時、落雷に遭ったような衝撃が走ったんです。初めて私のことを真剣に叱ってくれている。一人の人間として接してくれている。これが立ち直る最後のチャンスだと感じました。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/06/18『立ち直ろうとしないのはあんたのせいや』
大平光代 弁護士
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※Photo by Agnieszka Boeske on Unsplash