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地方自治!住民自治!

アメリカの都市、州、郡などの地方自治体は、文字通り自治をしっかり握っています。日本の体制は果たしてどうでしょうか。否です。

地域独自のルールをなかなか作ることは許されず、地域独自の税制も、規制緩和も、まちづくり計画も、国の関与は欠かすことができません。地方「自治体」とは言えない実態です。その上、補助金で政策を導かれ、交付金の算定方法も国の都合で変わり、財布の中身の多くが国に握られています。

地方分権、国と地方の対等関係を大きく前進させる地方分権一括法が逐次施行され、地方自治や住民自治の理想へと、国へ従属に浸ってきた地方行政、地方議会が変わる歩みを、戸惑いながら踏み出してきたにもかかわらず、ちゃぶ台返しのように、今国会(2024年通常国会)では地方自治を後退させる懸念がある地方自治法が改められようとしています。改正でも何でもありません。改退のような気がしてなりません。

想定されていない重大な事態への指示権という、なんでもござれの指示権が、指示待ち地方を生み出し、主体性を失わせていく恐れがあります。重大な危機であれば、国は指示を出せる、重大な危機の認定も閣議決定でできる、という権力者の都合でどうにでもできる内容が通ろうとしています。地方自治の灯が失われてしまう、その可能性があることを地方は自覚しなければなりません。

残念なことにこの危機に地方は感覚が鈍いままのようです。地方自治を守れ!という大合唱がこだますことはありません。わずかばかりの抵抗が各地で散見されるだけです。哀しいことに私も散見される例の一つを作ろうと同僚の議員何人かと意見書を穏当な内容で提案し、声を上げましたが、灯火を灯すこともできずに散りました。

甲州市議会有志で提案した地方自治法改正に関する意見書案
意見書の提出先、法的根拠


未来に禍根を残さぬよう、国会で、良識の府である参議院で、実のある議論が、実のある歯止めが、実のある修正が、成されるよう、意見書にはその考えを込めました。意見書という形で実を結ぶことはなかったのですが、私はあきらめずに、参議院議員の方々に働きかけていきます。できることを最後まで精一杯やってみます。

イデオロギー対立が無くなったと言われる日本で、これからの対立軸は、地方分権国家か、中央集権国家か、ではないでしょうか。国家政党が、口でいくら地方分権を唱えようとも、今確実に日本の国家構造は中央集権に戻ろうとしています。今回の地方自治法もその一例です。

口先ではなく、ムードではなく、地方の立法権、地方の徴税権など、自治と成り立たせる確かな権限を国から地方へと移さなければなりません。地方分権を第一義の国家像とする政党を作り、政権を取らなければなりません。地方分権を掲げ、政権奪取を目指す政治勢力を作らなければなりません。保守でもリベラルでもなく、幕藩体制のように、自律した地方の集合体である日本を作らなければなりません。

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