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“スイーツに目がない”人は、なんだか肌に張りがない。その理由は?

砂糖がどうして体によくないのか、砂糖を過剰摂取するとどのような病気のリスクが高くなるのかということを解説します。今回はその後編です。 

前編では、砂糖のデメリットとして、血糖値を上げやすくまたは腸内環境を崩しやすく、それからさまざまな病気を引き起こすことを話しました。

後編は、①老化の進行、②砂糖依存症の症状、③砂糖で失われる栄養素という内容です。
(記事の文末に動画を貼っています)

老化の進行

皆さんは「糖化」という言葉を聞いたことがありますか?
よく知られている酸化が「錆びる」という言葉で表現されるのに対して、糖化はよく「焦げる」という言葉が使われます。

糖化とは、体の中で糖が過剰に蓄積された状態のことです。
糖質を過剰に摂取すると、余分な糖が体の中でタンパク質と結びつきそのタンパク質が変性してAGEs(終末糖化産物または最終糖化産物)という名の老化物質を生成します。

老化物質であるAGEsは分解されにくいだけではなく、肌や髪、骨など全身に蓄積し、その組織の老化を進行させます。

例えばAGEsがコラーゲンに蓄積すれば、肌の弾力が失われ肌がたるみ、くすみます。

AGEsは内臓や骨、髪の毛にも蓄積し、全身の老化を促します。
これによって動脈硬化や骨粗しょう症など様々な病気を誘発する危険性があります。

余剰な糖質があればある程、それがタンパク質と結合してAGEsが生成されます。

糖質制限でもやっていない限り、多くの人は食事で必要な糖質は摂取していますので、清涼飲料や菓子類に入っている砂糖、コーヒーや紅茶等に入れる砂糖は、そのままAGEsを増やす要因になります。

なおAGEsは、体内でタンパク質と糖が結合して生成されるだけではなく、AGEsを含んだ食品を食べることによっても当然ながら増えます。
AGEsは食品を高温で加熱すると生成されやすくなります。

AGEsが多い食品は以下の通りです。 

砂糖依存症(低血糖)

食事や甘いものを摂取すると、消化酵素で分解されたブドウ糖で体内の血糖値が上昇します。
砂糖は血糖値の上昇を抑える食物繊維がまったく含まれていないため、空腹時に砂糖を摂取すると血糖値が急激に上昇します。

すると、血糖値を下げる働きを持つインスリンが大量に分泌されて血糖値が急激に下がり、今度は低血糖状態を引き起こします。

低血糖状態になると、脳がエネルギー不足で空腹だと勘違いして、「糖質を摂取して血糖値を上げろ」と信号を出してしまいます。
このため、砂糖を摂取した後、空腹でないにも関わらず繰り返し甘い物を欲するようになります。

これが砂糖依存症の典型的なパターンです。

砂糖依存症(快楽物質)

また、砂糖を摂取すると、脳の中でドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリン等の脳内神経伝達物質が分泌されます。
なかでもドーパミンは一時的に快楽を感じる麻薬のような性質を持っています。

体が疲れた時やストレスを感じるたびに甘いものを食べて幸福感や癒しを得るようになると、この快楽がクセになります。
やがて中毒のように「砂糖を取ること=幸せになる」と無意識に脳が感じるようになってしまいます。

快楽を得るために砂糖を摂る、この状態に陥るのが砂糖依存症です。

「砂糖」は甘いお菓子だけではなく、清涼飲料水やさまざまな加工食品、調味料にも含まれています。
普段甘いお菓子を食べない人でも知らず知らずのうちに砂糖を大量に摂取し、砂糖依存症になる可能性があります。 

砂糖依存症の症状として、    

①甘いものを食べないと落ち着かずイライラする
② ストレスを感じると甘いものが食べたくて仕方なくなる
③ 妙に疲れやすく、甘いものを食べると元気になる
④ 短時間の労働でも、めまい・立ちくらみなどを感じる

これ以外に、頭痛がする、集中力がない、落ち込みやすい怒りっぽい、手足が冷える、朝起きるのが辛い、といった症状が出やすくなります。

失われる栄養素(ビタミンB群)

砂糖を過剰摂取すると、ビタミンB群(とくにビタミンB1)、ビタミンC、マグネシウム、カルシウム、カリウム等が失われます。

ビタミンB群は、細胞中のミトコンドリアで行うエネルギー代謝のあらゆる場面で登場します。

上の図は、その中の一つTCA回路と呼ばれる代謝経路ですが、化学反応による物質と物質の間に、Bいくつと書かれているものが多いことに気がつきます。
ちなみに、B3とかB5というのは聞き慣れないと思いますが、B3はナイアシン、B5はパントテン酸の昔の呼び方です。

砂糖に含まれる余分な糖質を代謝するために、これだけの栄養素が使われてしまいます。 

このTCA回路は3大栄養素共通のものですが、糖質の場合のみTCA回路の前に解糖系という経路が加わります。
この解糖系からTCA回路にバトンタッチする場面でビタミンB1が重要な役割を果たします。それはビタミンB1が消費されることを意味します。

砂糖の過剰摂取がビタミンB群、とくにB1を大きく失ってしまうことがご理解できたかと思います。

失われる栄養素(ビタミンC)


ビタミンCは、どうして失われてしまうのでしょうか。
それは、ビタミンCとブドウ糖の分子構造がきわめて似ていることに起因します。

分子構造が近いため、両者は血液中から細胞に入る時の輸送体(GLUT)を共有しています。
ビタミンCとブドウ糖は競合関係にあるんです。 

砂糖を過剰摂取すると、消化されたブドウ糖がここに溢れかえりますので、一定量のビタミンCが弾かれてしまって細胞に入れなくなります。
なので、正確に言うと、ビタミンCが失われるというよりは生体利用率が下がる、ということです。

失われる栄養素(ミネラル)

マグネシウム、カルシウム、カリウムをまとめて話します。
砂糖を過剰摂取すると、この3つのミネラルの尿中排泄が増えることが分かっています。

腎臓では、常に濾過という作業が行われていて、有害なものや不必要なものは尿と一緒に体外に排泄します。 
一方で必要な物質、栄養素は再吸収という仕組みを使って再び血液中に入ります。

砂糖を過剰摂取すると(理由はよくわかりませんが)この再吸収が滞ってしまうからです。

3つのミネラルの中でも、最重要ミネラルであるマグネシウムは、尿中排泄だけではなく、先ほど述べたエネルギー代謝においてもビタミンB群同様に相当量が消費されます。
つまり、砂糖の過剰摂取は2重の意味でマグネシウムを失ってしまうことを覚えておいてください。

まとめ

ということで、【後編】では、砂糖の過剰摂取による老化の進行、砂糖依存症の症状、砂糖で失われる栄養素という3点について書きましたが、じつは、まだまだ伝えなくてはいけないことがあります。

そこで【続編】を作りました。
①黒砂糖だったらいいのか、②とくに注意を要する食品、③「砂糖の消費量は減っている」のカラクリ、以上3点について解説します。
(2月13日公開予定)

[今回お伝えした砂糖の過剰摂取によるデメリット]

1つ目は老化の進行です。余分な糖が体内でタンパク質と結びつき、タンパク質が変性してAGEs(終末糖化産物)という老化物質を生成します。
AGEsは分解されにくいだけではなく肌や髪、骨など全身に蓄積し、その組織の老化を進行させます。

2つ目は砂糖依存症です。血糖値の急激な上がり下がりが引き起こす低血糖状態が甘いものを欲するようになります。
また、砂糖を摂取すると、脳の中でドーパミン等の脳内神経伝達物質が分泌されて、一時的な快楽、幸福感を感じます。この快感がクセになって、麻薬のような依存症に陥りやすくなります。

3つ目は、砂糖を過剰摂取すると、ビタミンB群、ビタミンC、マグネシウム、カルシウム、カリウム等が失われます。
とくにビタミンB1とマグネシウムが失われますので注意が必要です。

この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。


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