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『飛ぶ教室』が教えてくれた大切なこと。

世界的名作なはずだが、恥ずかしながら初めて読んだ。これまで興味がなかったのは、「飛ぶ教室」というのが本当に「飛ぶ」教室の作り話だと思っていたかもしれない(フィクションはあまり好きじゃない)。読んでみて想像と全然違ったので驚いた。内容はとても読みやすく、かといってライトな話ではなく個人的にはしんみりとした穏やかで優しい気持ちになれた。

でも私が思わず読み返し、今日一日心の中で反芻していたのは、本編ではなかった。それは「はじまり」に書かれていたことだった。だからタイトルは正確には、「『飛ぶ教室』が教えてくれた」ではなく「エーリッヒ・ケストナーが教えてくれた」なのかもしれない。

みなさんはできるだけ幸福でいてください。そして、おかしくておかしくて、その小さいおなかがいたくなるほど、ゆかいにやってください。
ただ一つ、自分をごまかしてはいけません。また、ごまかされてもいけません。不幸にあったら、それをまともに見つめることを学んでください。うまくいかないことがあっても、あわてないことです。不幸にあっても、くじけないことです。へこたれてはいけません。不死身にならなくては。
ボクサーの言葉を借りれば、防御(ガード)をかたくしなければいけません。ぶんなぐられてもそれにたえ、それをがまんすることを学ぶのです。でないと、みなさんは人生のくらわす最初の一撃で、もうグロッキーになってしまいます。なにしろ、人生というやつは、ものすごくでかいグローブをはめていますからね。みなさん、それに対する覚悟なしに、そういう一発をくらうと、それはもう、ちっぽけな蠅のせきばらい一つで十分、それだけでもう、うつぶせにのびてしまいます。

、、、思わず「はい」と素直に返事をしてしまいそうになった。

もう作者さん、温かすぎませんか?!?!翻訳がいいのか?なんなんだろう、この愛情にあふれたメッセージは。私が作者さんの年齢になったときに、年少者にこの言葉をかけられるようになるのだろうか。

私たちは失敗が怖い、怒られるのが苦手だ、傷つけられたくはないし、嫌われたくない。ふられたくないし、自分のプライドを傷つけられたらふさぎこむか言い返すかいらっとするかもしれない。

自分を傷つけないようにするのは得意だが、壁を避けようとするあまり、ちょっとした段差ですぐにつまずく。要は打たれ弱いのだ。

でも社会に出たら理不尽なことがたくさんあるだろう。自分を中心に世界は回っていないし、自分の力が及ばないことにも気づくはずだ。

そんな時はケストナーさんの言葉を思い出すようにする。

うまくいかなくても慌てないし、くじけないし、へこたれない。

私は不死身なのだ!

そういう人は、ちょっとくらいパンチをくらったところで、おちついたもので、いちばんかんじんなあの二つの性質、つまり勇気と、かしこさをしめすことができるからです。(中略)かしこさをともなわない勇気はらんぼうであり、勇気をともなわないかしこさなどはくそにもなりません!

「はい!!!!!」わたしはかしこく勇気を持った人になります。

はあ、こんなに素直な気持ちにさせてくれたケストナーさん、素敵な人だったんだろうなぁ。



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