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「岡山で待つ友のために」~第25節東京ヴェルディVSファジアーノ岡山~


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試合結果


明治安田生命J2リーグ第25節

東京ヴェルディ 0-1 ファジアーノ岡山

at味の素スタジアム

【得点】

55分 山本大貴(岡山)



スタメン


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東京ヴェルディ
・フォーメーションは4-3-3。
・左SBのDF福村貴幸の精度の高い左足からのクロスでチャンスを演出。
・前節セットプレーから2点を決めたDF平智広の高さと強さ。
・FW山下諒也のスピード豊かなドリブルと裏抜けは切れ味抜群。


ファジアーノ岡山
・フォーメーションは4-4-2。
・配球のMF上田康太と奪取のMFパウリーニョが組むボランチコンビ。
・MF白井永地がゴール前への飛び出しで停滞気味の右サイドの攻撃を活性化させる。



異端なポジショナルプレー


 空中戦に強い東京ヴェルディのCBと対等に渡り合えるFW赤嶺真吾をターゲットにロングボールを蹴って、相手陣内で長い時間プレーしたいファジアーノ岡山。DFラインをしっかり上げてからロングボールを蹴れていたため、こぼれ球を回収。高い位置でこぼれ球を回収することで、厚みのある攻撃で東京Vを押し込むことに成功した。

 良いポジション(立ち位置)を取ってボールを前進させるためにパスを繋いでいく一般的なポジショナルプレーと違い、ロングボールのこぼれ球に対して良いポジション(立ち位置)を取ってこぼれ球を回収率することで相手陣内でのボール保持を高めるファジアーノ岡山なりのポジショナルプレーで試合に入ることができた。

 蹴らされるのではなく、明確な狙いがあるロングボールで主体的な攻撃を展開。完全復帰したDF田中裕介の正確なロングフィード、いつも(ボランチ)より前のMF白井とMFパウリーニョの同時起用で2トップ付近にこぼれるルーズボールを拾いやすくなった。



前から奪う確固たる信念


 ファジアーノ岡山はボールを持つ相手CBに2トップからパスコースを限定。サイドに出させて、ボールサイドのSHからスライドをかけて簡単に縦パスを入れさせない立ち位置を取る。

 最終ラインで数的優位を作ってボールを保持したい東京Vは右SBのDF若狭大志が最終ラインに落ちることで3バック化。DF高橋祥平を中央にDF平智広とDF若狭で幅を取りながら、MF藤田譲瑠チマが岡山の2トップの間に顔を出して縦パスを引き出す。後ろでひし形を作って岡山の前プレスを剥がそうとした。

東京Vのひし形によって2トップだけで規制をかけにくくなった岡山はMF藤田にボランチが出ていくことで縦パスを牽制。東京Vに自由に回されて後手を踏むのではなく、前から奪いに行くという姿勢を強く感じた。

 21分、東京Vのコーナーキックを跳ね返し、こぼれ球を回収した東京Vの縦パスをMF上田が激しくチャージしてボールを奪取。MF上門知樹とMF上田の2人で手数をかけずにでゴールまで迫った。前から奪う姿勢を象徴するようなチャンスシーンだった。MF上門がもう少し相手を引き付けていれば1点という場面、勝ったからいいものの、本音としては決めきりたかった。

 埋めたポジションから縦or中を切りながら相手ボールホルダーに近づく連動した守備は安定感があり、試合の主導権を渡さない主体的な守備は残りの試合を戦う上で良い基盤となりそうだ。




セットプレーは変わることのない武器


 ファジアーノ岡山はコーナーキックや相手陣内でのフリーキックなどのセットプレーでシンプルにクロスを送って高さ・強さの真っ向勝負をするのではなく、目先を変えるなど工夫することでチャンスを生かそうとしていた。

 ターゲットはチームNo1の高さを誇る186㎝のDF濱田水輝。後ろからニアへ突っ込み先に触るなどマークを掻い潜る動きを再三にわたり見せてきた。東京Vは明らかなターゲットであるDF濱田を警戒しないはずがないのだが、DF濱田を起点に決勝ゴールが生まれた。

 54分、相手陣内に少し入ったあたりからのフリーキック。MF上田が蹴ったボールは放物線を描き、ファーサイドへ。東京Vがゴール前にセットしたDF(迎撃)ラインを回り込んだDF濱田がゴール前に折り返す。FW山本大貴がGKのパンチングを恐れることなく、滞空時間の長いヘディングシュートゴールネットを揺らした。

 DF濱田のマークを外す立ち回りとMF上田のキックの質、FW山本のゴールへの執念といったゴールまでの一連の流れ、全てのプロセスが高い精度で行われた。

 また、ファウルを得る前にマイボールにできた連動性の高い守備が光った。DF若狭にMF上門がサイドの切りながらアプローチ。自ゴール方向を向きながら縦パスを受けようとするFW端戸仁がコントロースする瞬間にDF田中裕介の鋭い読みで背後から厳しいプレスでボールを突いた。

 得点に直接関わったMF上田・DF濱田・山本も素晴らしかったが、きっかけとなったのはMF上門・DF田中の前から奪う連動したプレッシングだったことはしっかり評価されてほしいところなので記述した。


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勝利で4度目の5連戦のスタート


 前節水戸ホーリーホック戦から1週間後に行われた今節は相手ののやりたいことを封じつつ、自分たちのやりたいことを前面に出すサッカーで勝点3を獲得。幸先の良い4度目の5連戦スタートとなった。

 試合間隔が1週間空いたことで、選手の肉体的コンディションを整えながら、分析をプレーに落とし込むことができただろう。自分たちがやることが間違っていなかったことを証明するような自信がつくような勝利はチームを上昇気流に乗せるかもしれない。

 アウェイサポーターのスタジアム観戦が解禁となり、現地を訪れたサポーターの拍手や手拍子は選手のパワーになったはず。アウェイゲームに訪れたサポーターたちが示した「岡山で待つ友のために」。このメッセージはピッチでプレーする選手、チームを指揮する監督をはじめチームスタッフ、DAZN越しに声援を送ったサポーターなどファジアーノ岡山に関わるすべての人を鼓舞した。



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