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【欧州サッカーの勝因】『相手コートでプレーできたアトレティコがダービーを制す』~第35節アトレティコ・マドリードVSレアル・マドリード~

2022 ラ・リーガ 第35節
5/8 28:00K.O. @エスタディオ・ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ・マドリード(1-0)レアルマドリード
40分 ヤニック・カラスコ(アトレティコ)

スタメン

この試合を選んだ理由

最も大きな理由はダービーマッチだったから。スペインの首都、マドリードが本拠地の両チームが衝突するマドリードダービーは、スペインサッカーの歴史において最も行われた対決であり、サッカーの歴史でも最も行われたダービーの1だそうです。ダービーマッチと聞けば、プライドを持って激しい戦いになることは容易に想像できます。今節はCL出場権を獲得したいアトレティコがより熱い想いでリーグ優勝を決めたレアルに挑むだろうと思ったので選びました。


[勝因]相手コートでプレーできたこと、オブラクがいたこと


アトレティコは花道を作り、リーグ優勝を決めたレアルを拍手で迎えることはしなかった。赤と白の縦縞のユニフォームを着たサポーターが多く駆けつける中で、キックオフのホイッスルは鳴りました。

前節から先発5選手を入れ替えて『ベストメンバー』(シメオネ監督)で臨んだアトレティコは、GKクルトワやMFモドリッチ、FWベンゼマ、FWヴィニシウスとった主力を温存したレアルを圧倒します。

前半のほとんどの時間を相手コートでプレーすることによって、レアルを押し込みました。ビルドアップ時は2枚のCBと左SBを残して、前線に人数をかける。ボランチも2トップのすぐ下に押し上げて、基本陣形はかなり重心を前にかけていました。前進方法はCBから対角のロングボールがメイン。敵陣サイドの深い位置にボールを蹴り込み、味方が競り合う。そして、こぼれ球を拾って相手陣形が崩れている隙にゴールに向かって攻めていくものでした。1分、DFヒメネスが蹴ったロングボールを左サイドでMFカラスコが競り合い、ボールをPA内に流し込みます。これはGKにパンチングされるも、こぼれ球を拾ったMFコンドグビアがミドルシュートを放ち、8分にもCBから対角のロングフィードをきっかけに、こぼれ球を拾ったMFカラスコがシュートを打ちました。

主体的に混沌を作り出す攻撃はレアルに圧力をかけて、チャンスを作っていきました。アトレティコがこぼれ球を拾うシーンが本当に多かったんですけど、その理由は前に重心をかけていたことと、意思統一が高かったからだと思います。サイドの背後にこぼれたボールを拾えるように、ボランチは高めのポジションを取り、SBもSHのすぐ後ろにサポートに入る。セカンドボールに対して3人が反応できるポジションを取ることで、まずは数で圧倒する。さらに、反応速度も研ぎ澄まされており、質でも上回っていました。

また、即時奪回を仕掛けることも相手コートでプレーできた要因として作用しました。奪われた後にすぐに相手を囲い込んでパスミスを誘ったり、奪い返したり。身体も頭も止まることのないアトレティコの即時奪回は迫力もすごいものがありました。

決勝点となった40分のPKは即時奪回ではなかったんですけど、素早く囲い込むプレスから生まれます。

ピッチ中央で縦パスを受けたFWアセンシオに対してDFヒメネスがタイトなマークで後ろを向かせると、MFジョレンテ、MFコケがプレスに加わり、バックパスのミスを誘発。FWコレアがインターセプトします。ビルドアップをしていたレアルのCBは広がっていて、門が開いていました。FWコレアがスルーパスを出すと、FWクーニャが猛スピードでCBの間から抜け出し、PA内で倒されます。一度はノーファウルの判定も、VARが発動。FWクーニャが足を踏まれていたとしてPKを獲得。これをMFカラスコがGKの逆を突いて先制しました。

アトレティコは後半もサイドの奥にロングボールを蹴り込み、こぼれ球を拾って攻め込んでいきます。60分にはMFジョレンテのパスからMFカラスコがPA左でシュート放ち、2分後には途中出場FWグリーズマンが敵陣で相手からボールを奪ってFWクーニャがPA内からシュートを打ちました。攻勢を強めましたが、追加点を奪えませんでした。

すると、レアルが61分にFWヴィニシウスとMFバルベルデを、68分にはMFモドリッチとDFメンディを投入し、盛り返していきます。

MFバルベルデが果敢にシュートを狙っていきます。68分にPA手前右からブレ球のシュートを放ち、70分には右からミドルシュートを打ち、84分にはPA手前正面から右足を振りました。しかし、GKオブラクに立て続けに弾かれて、最後まで同点ゴールは奪えませんでした。

アトレティコは65分くらいまで相手コートでプレーしてゴールに向かいましたが、レアルが主力選手を投入する、と防戦一方の展開になってしまいました。それでも1-0で勝利できたのは、GKオブラクがいたから。後半だけで12本のシュートを打たれても、無失点。GKオブラクが枠内に飛んできたシュートをことごとく弾き出し、止めまくって、ゴールに鍵を掛けました。

相手コートでより長い時間プレーできてゴールを奪えたこと、相手コートでプレーできなくなり攻められてもGKオブラクがいたこと。アトレティコがマドリードダービーを制することができた要因だと思います。

試合終了後、シメオネ監督が激しくサポーターを煽って、スタジアムをあとにした姿には痺れました。


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