菊池流帆~高さ・強さ・速さを兼ね備えた若き闘将はレノファ山口からヴィッセル神戸へ~

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 今回は大卒1年目にもかかわらずJ2で守備におけるトップクラスのデータを残した”ポテンシャルの塊”菊池流帆はさらなる飛躍を続ける。


基本プロフィール

選手名 菊池流帆
生年月日 1996年12月9日
出身 岩手県釜石市
身長 188㎝
体重 80㎏
ポジション CB
背番号 49


チームキャリア

ユース経歴
 FC釜石U-15
 青森山田高校
 大阪体育大学
プロ経歴
 2019年 - レノファ山口FC


被災を経験し、サッカー選手からもらった希望

 7歳からサッカーを始めたが、中学2年の時に東日本大震災に遭う。自身や学校に直接の被害はなかったものの、小学校時代の地区選抜チームのコーチを亡くし、練習グラウンドに仮設住宅が建ち並ぶ状況になったことでサッカーを断念しかける。釜石市で開かれた横浜FCによるサッカー教室で三浦知良と一緒にプレーしたことや、同じく被災地を訪問したラモス瑠偉・名波浩・福西崇史らの姿に元気づけられ、再びサッカー選手への道を歩み始める。


無名の選手から世代屈指の選手へと駆け上がった原動力は雑草魂

 その年に見た第88回全国高等学校サッカー選手権大会決勝で山梨学院大附属高校と対戦した青森山田高校の存在を知り、特待生を決めるセレクションを受けに行くが不合格。
 その悔しさをバネに、一般入学で青森山田高校に進む。当時はサイドハーフだったが、周りのレベルの高さを実感し、ヘディングができたことから自らセンターバックへのコンバートを志願。そこから努力を積み重ねて空中戦での競り合いに磨きをかけ、一番下のDチームから一段ずつ階段を上り、3年生でついに公式戦に出場できるまでになり、夏の高校総体(インターハイ)では4強進出の立役者となり優秀選手に選出された。
 最初で最後の出場となった第93回全国高等学校サッカー選手権大会は初戦PK戦敗退で不完全燃焼に終わるも、大会優秀選手に選ばれるとともに、日本高校サッカー選抜のメンバーに選ばれ、翌年2月のFUJI XEROX SUPER CUP2015の前座試合として行われた「NEXT GENERATION MATCH」では後半から出場、直後に行われたヨーロッパ遠征にも参加した。
 高校卒業後は大阪体育大学に進学。2年生の時は怪我に泣かされたものの、コンスタントに大学選抜に選出され、3年生のときにはユニバーシアード台北大会の日本代表に選出され、優勝メンバーの一員となった。



高さと速さを兼ね備えたダイナミックな守備

 188㎝80㎏と恵まれた体格を生かしたダイナミックなディフェンスが持ち味。外国籍のFWにも負けない高さと強さでロングボールを跳ね返し続ける。リーチの長い足を生かした守備も見物だ。リーチが長いので間合いがとにかく広い。相手がフェイントで仕掛けるときも、自分の間合いに入れば、つつきボールを奪取する。シュートコースに入り、大きな体でのシュートブロックはシューターにとってかなりのプレッシャーだろう。
 さらにスピードも標準装備。ハイラインを敷くレノファ山口のDFラインの裏の広大なスペースをカバーし、スピード豊かなアタッカーにちぎられない、どころか完全に裏に抜けられても追い抜く場面さえ見せた。
 また「絶対に失点させない」という熱い戦う姿勢を前面に出したプレーぶりは、応援しているチームに関係なくスタジアムにいるすべての人を魅了する。絶体絶命のピンチを救った後のガッツポーズは最高だ。気持ちを前面に出してプレーする選手が減った昨今において、菊池のような選手は貴重な存在だ。
 ここで2019シーズンをJリーグ公式のデータをもとに振り返る。

スライド1

 注目したいのは1試合平均タックル数がリーグ4位だったということ。大卒1年目でリーグトップクラスの項目があるのは圧巻だった。空中戦のデータが高いことを想像することはできたが、地上戦での強さも見せつけ、ルーキーながらJ2を代表する守備強度を持つこととなった。
 



セットプレーでは相手の脅威に

 空中戦での高さと強さが発揮されるのは守備時だけではない。セットプレーではターゲットになり、相手ゴールに襲い掛かる。競り合う相手の上から叩き落すヘディングシュートを防ぐことは容易ではない。マークしていても止めれないそれが菊池流帆である。



ビルドアップは修行中

 現代サッカーにおいて後方からパスを繋ぐことができるビルドアップ力はかなり重要な要素の一つだ。そのビルドアップはあまり得意としていないというのがシーズン序盤の印象だった。レノファ山口に入団した理由をFM山口のラジオ番組GO!GO!RENOFA!!で次のように語っている。

 自分ができないことを目指すのがレノファのサッカーだったんで。それを学べば代表に入れるんじゃないか。レノファはちゃんとしたボール回しや戦術にしっかり取り込んでいる。自分は今まで全くやってこなかったんで。自分にないものをもたらしてくれると思う。

 自陣ゴール前での致命的なパスミスにより失点を招くシーンがあったが、シーズンを通して試合に出ることで徐々に改善している印象に変わった。たまに飛び出す対角への早いボールでのサイドチェンジや相手の守備陣形を切り裂く縦パスには驚きを隠せない。
 丁寧なつなぎはまだまだ伸びる部分だと思うので、来季もレノファ山口で、霜田正浩監督の下でプレーしてほしい。

スライド2


終わりに

 大いなる可能性を秘めたポテンシャルの塊、菊池流帆の2019シーズンはJ2のレベルに標準を合わせることに留まらず、リーグトップクラスの活躍やたくさんの話題を提供した。この活躍を受けて獲得に乗り出すチームは少なくないだろう。日の丸を背負ってプレーすることが夢である菊池流帆が来季以降もどのようなプレーをするのか、どんなキャリアを歩むのか。これからがますます楽しみな選手の一人である。



ファイアー🔥🔥









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