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【本棚紹介】こういう本が好きだということ

 部屋に心理が現れ、棚に性格が滲むのであれば、本棚には性癖がまろびでるのではないでしょうか。本棚を晒すことは、或いは裸を晒すくらい恥ずかしいことなのかもしれません。
 そんなわけで、今日は眞木高倉の本棚紹介です。note企画「春の連続投稿」のお題に #わたしの本棚 があるので、つまりこれは裸祭りですよね。みんなで脱ぐなら怖くありません。

高倉の本棚

 高倉の部屋には棚が二本置いてあって、本はそれぞれの棚に分散して並べています。分類は大雑把に、小説、実用書、雑学本の三種類です。それぞれから、高倉のお気に入り本、オススメ本、トラウマ本、全員読んで沼れ本などなどを掻い摘んで紹介します。皆さんの本の出会いの一助になれたなら、こんなに光栄なことはありません。

小説

道具小路「君に叶わぬ恋をしている」

 妻を亡くして死人同然に生き延びているバーテンダー、伊吹が、喋る黒猫の放言に乗って、妻に会うために酒をつくる話。高倉は最愛の人を亡くして呆然自失としている人間が大好きです。

米澤穂信「追想五断章」

 死んだ父親が書いた五つのリドルストーリーを探し、その真実を見つける物語。五つの物語をどうつなげるか、どう読むか、真実がひっくり返る様に思わず声が出ました。
 米澤穂信先生といえば、実は「氷菓」未読です。読んだ方が良いですよね。分かってます。必ず。必ず。

城平京「虚構推理」

 怪異によって引き起こされた事件を、怪異によるものではないという虚構の推理を展開する新感覚推理小説。推理というより頓知、みたいなところはあるが、真実を突き止めるよりも、隙の無い虚構を組み上げる方が難度が高く技巧に富んでいて、読みごたえがあります。顔に似合わず下世話な岩永琴子ちゃんが可愛くて好きです。

アンソロジー「日本SFの臨界点 恋愛篇 死んだ恋人からの手紙」

 九人の作家による、心が震えるSF短編集。どれもこれも傑作です。高倉の一番のお気に入りは中井紀夫先生による表題作「死んだ恋人からの手紙」です。亜空間を超える手紙は必ずしも順番に届かない。

伊坂幸太郎「逆ソクラテス」

 伊坂幸太郎先生らしい、勧善懲悪!スッキリ読後感!常識と先入観でがんじがらめの大人に対して、「僕は、そうは、思わない!」と言い切れる子供には、現実を逆転する力があります。

夏目漱石「夢十夜」

 十の夢の話。高倉はあまり夢を見ない質なので、例えば第三夜のような陰鬱な夢を見た日には、仕事に行く気力なんか無いだろうなと思う。因みにですが、高倉が好きな夢は第一夜です。

斜線堂有紀「不純文学」

 私と先輩が紡ぐ、ちょっと不思議なショートショート集。どの話もたった一ページに収まっているので、ショートショートにしても短い。ショートショートショートと呼ぶべきかもしれない。この短さで不思議な世界観を提示して、起承転結を経て独特の読後感を残してゆくので凄い。

実用書

「改定新版 ロイヤル英文法」

 英文法はこれ一冊を読んでおけば全部網羅できます。結構本当です。英語勉強したい人は取り敢えずこれを買うといいです。

「CCNA完全合格テキスト&問題集」

 おかげさまで合格しました。有難うございます。試験勉強をするにあたって、ちゃんとした教科書を一冊持っておくことは必須です。「サルでもわかる」とか「十時間で総ざらい」とかお手軽感を売りにしている参考書もありますが、手軽にするぶん取り落とされた情報があるのではないかとか、簡単に書くぶん語弊が生まれている部分があるのではないかとか、勉強を進めれば進めるほどに疑念が浮かんで、結局公式の本を買うことになります。

「言葉選び辞典」シリーズ

 小説を書くにあたって、しっくりくる言葉を探す一助にできるかと思って数冊買ってみたのですが、いざ書き物をしている最中に開くとついつい熟読してしまって書き物がまったく進まない、という愚ばかり踏んでいます。

雑学書

「寄生虫図鑑」

 東京は目黒区「寄生虫博物館」で購入しました。世界には信じられないくらい強かな、気持ちの悪い、或いは可愛らしい寄生虫がいます。高倉の推し寄生虫は「ロイコクロリジウム」という、寄生したカタツムリをゾンビにして捕食者である鳥に食わせる寄生虫です。宿主を操る寄生虫なんて浪漫があります。

ロバートキャンベル「井上陽水英訳詞集」

 井上陽水の歌詞をロバートキャンベル先生が英訳する本。ただでさえ詞を翻訳するというのは難しいのに、井上陽水の掴みどころのない歌詞をとなると更に難儀だ。ロバートキャンベル先生の英語語彙力は勿論のこと、日本語の読解力、その解像度の高さに舌を巻く。



 ふぅ!こんなところでしょうか!皆様如何でしょう、気になる本はございましたでしょうか。或いは高倉の性癖が見えてしまったでしょうか。
 字が読めるのに本を読まないのは字が読めないことと同じだ、と、近所のおじさんが言っていた気がします。折角識字率ほぼ100 %の日本で、お手軽に本を読める環境に居るのですから、たくさん本を読んで、まろびでたこの性癖に磨きをかけていきたいですね。

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