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鬼滅の刃で中学英語#50~人気マンガの英語版は英語の勉強になるか?

こんばんは、小中学生に勉強を教えているタナカキヨトです。

note「鬼滅の刃で中学英語」、始めてからついに、というかやっと50記事(正確には「はじめに」も入れて51記事)になりました。

毎日1記事で100記事」を目標にしておりましたが、いざ始めてみると、これが結構難しく・・・というか、『鬼滅の刃』原作と、英語版『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』を対訳を載せるだけだと、著作権的にアレなので、英語版のネイティブ英語を通じて、中学レベルの英語をわかりやすく学ぼう・・・ということを考えながら書くと、調べることも増え、だいぶ長いものが多々出来上がりました。

つまり、毎日更新はちょっとムリがあるなと。

しかし、「いいね」を押してくださる方、フォローしてくださる方、twitterでリツイートしてくださる方がおられますので、次は100記事目指してがんばります!

さて今回は、キリのいいところと言うことで、ちょっと趣向を変えて、ここまでやって来たふり返りもふくめ、「人気マンガの英語版は英語の勉強になるか?」ということを語っていきたいと思います。

マンガの英語版で勉強ができるか?

外国語を学ぶ場合、たとえば英語のように学校で学ぶ方法のほかに、英会話学校などの専門的な機関に通う、マンツーマンのコーチに教えてもらう、などがありますね。「言語を教えてもらう」方法ですね。

ただ他にも、現地で暮らす、外国人と付き合う、外国語のメディア(新聞・テレビ・映画など)に触れる、などの「生きた言語を学ぶ」方法もあります。

「マンガで英語を学ぶ」ということは、それと同じです。

外国人で日本語が上手な人は、「日本のテレビ番組で日本語を勉強した」という人が少なくありません。ジャンルは問わず、アニメ・バラエティ・時代劇などなど・・・。

芸人でありIT企業の重役でもある、厚切りジェイソンとかもそれに近いですね。外国語として日本語を習ったけど、日本に来たら全然通じないから、ハリウッド映画の日本語吹き替えで勉強したと。

厚切りジェイソンの場合は、日本の映画ではなくハリウッド映画というのがミソですが、それでも「自分が理解できるストーリーを外国語(日本語)でどう表現するのか?」ということを理解するという点では意味があったって事です。

ってことは、日本人が『鬼滅の刃』の英語版から、英語を学ぶこともできるってことですね。

マンガの英語バイリンガル版はどうなの?

マンガで英語を覚えられたら最高だ!

ということで、かつては、スヌーピーが登場する英語4コママンガ『ピーナッツ』が英語学習に使われてることも多々ありました(今でもあるけど)。

私の手元にもありますが、この『ピーナッツ』シリーズは、バイリンガル版(英語の吹き出しの外に日本語が書いてある)です。

なんと訳者は、現代日本で一番有名な詩人、谷川俊太郎(なんでもするな、この人)。

というのも、キャラクターとしてのスヌーピーしか知らない人も多くなりましたが、この『ピーナッツ』シリーズは、新聞の4コマだったこともあり、人生訓的なものや、ちょっとした風刺が効いた、大人でも読める深い内容のある作品なんですね。

逆に言うと、子ども向けに見えて子ども向けじゃないような内容も多々あります。

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なので、割と難しい単語があって、ついつい「日本語訳」の方を読んでしまいがちです。

「なんとかして英語を読もう」
「スヌーピーたちが大好き」
「とにかく読書が大好き」

という人ならよいのですが、そうでないマンガ大好き現代っ子にハマるかというと、正直微妙な所があります。

ただ、大学受験を控えた高校生やTOEICを目指すなど、英語取得に意欲のある人が、ボキャブラリーを増やしたり、人生について学んだりするなら最適かなと思います。

人気マンガのバイリンガル版も!

なお、バイリンガル版は、日本のマンガでもあります。

たとえば、大ヒット映画『君の名は』のマンガ版とか、『ドラえもん』『ちはやふる』『進撃の巨人』『はたらく細胞』『シャーロック』なんかもバイリンガル版コミックが出ています。

バイリンガル版は日本語訳がついているから安心、ということですが、残念ながら『鬼滅の刃』にはバイリンガル版がありません

全編英語翻訳版しかないのです。

なので、翻訳版で頑張ろう!

というか、原作は持ってるよね!?

・・・という体でやっています笑。

バイリンガル版のデメリット

そもそも、バイリンガル版も良いことばかりではありません。

フキダシの部分が英語になって、対応する日本語原文が欄外に書いてあり、原作を持っていない人には、一粒で二度おいしい商品ですが、原作を持っている人には「この訳いるかな?」と感じたり、ページがゴチャゴチャしたりしたのが気になる人もいます。

(出典:『バイリンガル版 ちはやふる』2巻)

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またバイリンガル版は、日本人をターゲットとしている商品なので、日本人にわかる英語を書くのも一苦労ですし、売れないと最後まで出ません。

実際、『ちはやふる』は、最新は44巻まであるのですが、バイリンガル版は2012年発刊の2巻で止まっていますし、『進撃の巨人』も2015年発刊の3巻で止まっています。今後続きが出ることはないでしょう

そういう意味で、長編のシリーズもののバイリンガル版は、英語に興味を持つという「体験」の域を出ない、のが残念な所です。

そういった意味で、バイリンガル版を「教材」として使うなら、ストーリーを厳選した『ドラえもん』がオススメです。登場人物も小学生なので、表現も比較的容易です(あくまで比較的)。

バイリンガル版より翻訳マンガの優れたポイント

そこへ行くと、完全英語版は、あくまでも英語圏の人を対象としているため、ちょっと最新刊よりは遅れますが、ちゃんと巻数も揃っているし、なにより表現がネイティブで、リアルです

たとえば、超人気マンガ『ONE PIECE』の翻訳版第1巻のこのシーン。

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「俺は海賊王になる!(I'm gonna be a king of the pirates!!)」に「gonna」という、学校英語では使わない「going to」の俗語表現ですが、綺麗じゃない表現を使っているからこそ、「らしさ」も出てきます。

また、ネイティブ翻訳は、日本人向けではないので、日本人からすると「なぜその訳?」というシーンも少なくありません

たとえば、上記の最後のコマ、シャンクスがルフィに帽子を託す名シーンですが、原作は「この帽子をお前に託す」になっている部分が「Do me a favor ... keep this hat safe for me?(直訳:お願いがある、この帽子を俺のために守ってくれるか)」になっています。

直訳だけで考えて、「なんか違くない?」で済ませたらそれで終わりです

しかし、わざわざそうやって訳したことを「なんでだろう?」と思って、色々調べると、英語でその表現を使った理由や背景というのが見えてきます。

ここで「Do me a favor」を使った意味も、下記のような記事を読めば、「ああ、だから使われたんだ」と思えるようになるわけです。

これが大事です。

そもそも、なぜ我々が外国語を学ぶのかという理由の一つに、自国の感覚とは違う文化背景で物事を見られるようになるため、というものがあります。

ですから、「英語のテストのため」ではなく、英語という、日本語とまったく異なる言語と文化的背景を学びながら、人間的に成長することが一番大事と考えれば、好きなマンガの翻訳版に触れて、そのマンガのことを外国人が必死に理解しようとして行った英語翻訳を通じて、英語について、また、その作品の魅力を再度発見することもあるでしょう。

そういう意味で、翻訳版はバイリンガル版よりも学びのハードルは高いとはいえますが、「英語」を正しく理解することには役立つ、世界中の人から愛される作品の深みを理解できる、というわけです。

このnoteのコンセプト

実はこの『鬼滅の刃で中学英語』でも、私は何度も「なんでこの表現なんだ?」とぶつかることが多々ありました。

私はTOEICもTOEFLも受けてませんし、英検も4級でやめたクチですし、大学の研究室で「SimCity 3000 Teacher's Guide」を皆と翻訳した時も、翻訳ソフトや他の人の力に依存しまくっていたし、大学の卒業旅行で、英語も日本語も話せる中国の大学生にショックを受けて大学卒業後に英語を勉強し直した人間ですから、英語のスペシャリストでもなんでもないのです。

でも、だからこそ、わからない表現にぶつかったり、違和感を感じた部分を「なぜだろう?」と調べた所、「なるほど、英語はこういう考えだから、こうなんだ!」ということがわかる経験をたくさんしました。

そして、それをまとめて記事として公開しているのが、このnoteです。

そう、皆さんはその、調べる手間を省いて理解することができるわけです。楽ちんでいいですね!

でも、実は、私自身が、翻訳版を読みながら、気になる所を色々調べて、「英語って奥が深いなぁ、面白いなぁ」と思えるようになり、学校で英語の授業を受けていた時には一切感じなかった、「学ぶ楽しさ」を感じているからそれはそれで満足しております。

そう、なにより、私自身が、『鬼滅の刃』の英語翻訳版『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』を読んで、英語の勉強をしている、というわけです。

なお、ここまで翻訳版を推してきましたが、ここで「翻訳版の欠点」を。

翻訳版の欠点は、原作と同じ巻数だけある上、(版権上当然ですが)基本的に原作より値段が高くなります(電子版は少し安い)。

だから、全部揃えると結構出費です笑。

『鬼滅の刃』を親の金で買い、ずっとそればっか読んで英語の勉強をしない子がいたら、全部英語版に差し変えてしまう、なんてことをしたらショック療法でいいかもしれませんが、すごい出費なので現実的じゃないですね。

なので、お気に入りのキャラクター(推し)が活躍する巻だけ買う、というのも一つの選択肢でしょう。

煉獄さんが好きなら、単行本8巻の翻訳版を買う、的なね。
好きなセリフの英語をチェックするだけでも、勉強になりますよ!

英語の点数は上がるか?

でも、じゃぁ、翻訳版で英語の理解は出来るかもしれないけど、「英語の点数は上がるのか?」と言われると、絶対上がるとは言えないです

学校英語は特殊です。

「それ」と書いてあったら「it」を書けみたいな感じで、本来の英語の意味を考えるより、英語と日本語訳が完全一致することを前提にしています。

それなのに、「it」は「それ」じゃないと教える、この「鬼滅の刃で中学英語」は、学校英語対策としては、ずいぶんと邪道です笑。

ですから、「ネイティブ英語」「英会話」を理解したり、英語に興味を持つなどで、間接的には英語の点数が上がるかとは思いますが、英語の点数が悪い子の点数が爆上がりする、というような形で直接的には役に立たない可能性もある、ということです。

とはいえ、ふだん、子どもたちに勉強を教えている人間として、その辺も放置するわけにもいかず、より、「学校英語」に合わせた別のプロジェクトを準備中です(➡立ち上げました)。

英語そのものを学ぶために

でも、このnoteが、まったく役に立たないとも言い切れません。

たとえば、『鬼滅の刃』は現状、英語版のDVDは出ていません(海賊版ならありますが、それ使ったらあかんでしょう?)。

ですから、「発音」は学べませんが、「単語」や「文法」「慣用表現」は、実際にどういうシチュエーションで使うのか、というのが学べます

(出典『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.7』

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そもそも、「はじめに」でも書きましたが、この企画は、英語を強制されて、興味を持てない、でもマンガは好きな人たちのために始めたものです。

マンガなら、英語を学んでくれるんじゃないかと。

マンガなら、実際に使う英語のシチュエーションを覚えやすいんじゃないかと。

この企画は、50記事を超えましたが、まだまだ手探り状態です。

なぜなら、私自身が、『鬼滅の刃』英語版、『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba』をスラスラと読めてないですからね!笑

だから、あまり期待しないで、でも、「そうなんだ~」「知らなかったな~」「勉強になったな~」と感じてもらえて、少しでも英語が好きに、少しでも英語を勉強する気になって、少しでも世界を拡げてもらえたら、と思います。

なにより、この「鬼滅の刃で中学英語」を読み、ネイティブ翻訳版を読んでみて、自分の大好きなマンガが、英語でも読めて、そして将来、海外の「ファン」とSNSで英語でコミュニケートできたりしたら、ますます英語は上達するはずでしょうし、そうなってくれたら、私はとても嬉しいです。

世界も平和になりますしね!笑

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