東大物理2021を実況する(その1)
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東大物理2021を実況する(その1)

ソレ

 湧水さんのMathlogでの記事「東大数学2021を実況する」に感化され,この度「東大物理2021を実況する」を書いてみることにしました。拙い文章になると思いますが,最後までお付き合い頂けたら幸いです。

■ はじめに

 令和3年度・東京大学入学試験の物理について,試験場で解いた所感や問題の難易度,質問箱でも質問が寄せられていた僕の予想配点(開示返却後、少し元のものを変更しています)などにも軽く触れながら,各問題について,コメントしていきたいと思います。

 試験問題は,産経新聞様をご参照頂き,全問に目を通した上でご覧いただければなと思います。(問題の詳しい解説などは,各予備校の解答速報や,mitty様の記事などをご参照ください)

第1問:ブランコの力学

設問Ⅰ:まずは,よくある非等速円運動の問題ですね(´∀`)。「重力による位置エネルギーの基準をO点」にとるように穴埋めで誘導することで,今後の解答方針を示してくれているのでしょう。符号に気をつけながら,慎重に解答します。角度の正の向きなども丁寧に指定されています。さすが天下の東京大学の問題です。ここでは特に迷うところはありませんね☺️

 最下点の高さhが導入されているので,このあと糸が切れたりするのかな~🤔なんて考えながら次の問題へと向かいます。(ここまでで7分)

予想配点は,空欄ア,イは各2点,空欄ウは1点くらいでしょうか。(ウはア,イから数学的な変形で導かれるものであり,物理的にあまり意味は無い。また,このあとの問題で何度もウの答え使うため,ウは配点が他より低いと考えました)

設問Ⅱ:お次は,これまた簡単な二体問題ですね。⑴は運動量保存則,⑵は放物運動の基本問題です。

 さきほど,糸が切れるのかな~とか言ってましたが,設問Ⅱの問題文を読んでいる間にこれがブランコだったことを思い出します。ブランコの鎖(?)が切れたら,公園の管理者に苦情が殺到してしまいますね😱

 ちなみに試験場で解いた時は,問題文の設定は軽くしか読んでいなかったため,AさんとBさんが二人乗りをしているのではなく,Aが人でBはブランコの椅子だと思ってました。ブランコを二人乗りするという発想が陰キャには難しかったです。。。😥(⑵を解くときに随分重い椅子だなぁとか思ってました)

 ⑵では昨年の暗黒物質の質量下限評価の問題と同様に有効数字2桁での解答が求められていて,文科省から学問の実用性を求める圧力がかかっているのかなと,いらない詮索をしていました。数値計算はいらないところで神経を使うので,あまり好きではありません😢。まぁ今回は数値計算も比較的楽で,設問Ⅰウの結果を使えば文字での答えもでるので,ここも簡単ですね。😚(ここまでで12分)

予想配点は⑴は2点,⑵はGG'を文字で表して2点,数値でさらに1点という感じですかね。(数値計算よりも物理的な式の導出に重きが置かれるはずです)

設問Ⅲ:今回の問題の肝です。「ブランコを漕ぐ」ことを考えます。ブランコは飛び降りるものではなく,漕ぐものですからね😊

 実は,設問Ⅰでブランコが出てきた瞬間に設問Ⅲの流れは完全に予想がついていました。というのも,今年は「面積速度一定の法則」が,「万有引力との関連なし」で出題されると予想していたからです。これには明確な根拠があります。

 まず,近年の東大物理では2015と2016がともに重心系,2018と2019がともに単振動に関する問題であり,明らかに前年の問題を解いた上で解答することを前提としているような問題構成が2016および,2019で見られたことです。

 また,東京大学は学習指導要領から角運動量保存則が姿を消してから前期試験で約30年間一度も面積速度一定の法則を出題しませんでした。それが2020年になって,穴埋めの誘導付きで初めて出題されました。このことから,東京大学は「中心力のみが働いていれば,(たとえ宇宙空間でなくとも)面積速度一定の法則が成り立つ」ということを,逆に言えば,「宇宙空間でしか(万有引力の問題でしか)面積速度一定の法則が成り立たない」という誤解を恐れていたことが考えられます。

 つまり,東京大学は面積速度一定の法則を正しい形で使うことの重要性を昨年と今年の問題で高校物理に示してくれていたのです😍

 すると,考えるべきなのは,万有引力の非影響下で,面積速度一定の法則が使われる問題に何があるかです。一つは昨年の早稲田(理工)の問題にも見られる設定です(次の画像を参照)。

早稲田(理工)2020・第二問

 しかし,この問題設定はとても有名で,すでに東京大学でも1983年に出題歴がありました。昔の問題を作り替えて出題することは東大ではよくあることですが,この1983年の問題は難系にも収録されている有名問題であり,そのリメイクが出題されることは考えづらいです(出たら出たで,伝説の問題のリメイクなので,ダイパリメイク並に興奮しますが🤩)

 となると,他の可能性として浮上したのが,今回のブランコ型でした。以下のブンブンごまの問題がこのタイプに該当します。(早稲田(理工)2012)

ブンブンごま

 この問題は仕事とエネルギーの関係で解くことを前提に出題されていましたが,面積速度一定で解くことも可能なのです!(詳しくは,僕の今日の一題の11/5更新分を参照ください)。

 この問題の研究をしていたために,今回のブランコの問題はとても簡単なものでした。

 ちなみに、2007年の秋の京大実戦では、ブランコを題材にした、今年の問題とほとんど同じ問題が出題されていましたが、これまた仕事とエネルギーの関係を用いるものでした。やはり、今年の東大物理第1問は頭1つ抜けているなと思わされます😳

 以下では各設問を解いたときの所感を書きたいと思います。

⑴:まずはエネルギー保存則ですね。実は自分,このとき先走りすぎて,面積速度一定の法則まで使った⑵の答えを書いてしまいました🤭。少し時間をロスして焦ります。その後,落ち着いて指定された文字をよく確認して間違いを防ぐことができました。指定文字の確認は問題を解くときはとても大事です。2乗を答えることも忘れてはいけませんね😆

⑵:昨年,面積速度一定の導出が出題されたので,今年は問題文にそのことは書いていないだろうと思っていたのですが,お優しい出題者の方はご丁寧に,式まで与えてくださっていました(自分的には少し残念)。⑴の時に書いた答案の真ん中ほどに⑵と書いて,ここは終了。

⑶:θ'=0のときに最小値をとることは,⑵の答えの形から明らかです。ブンブンごまの問題をやっていれば,この結果はもう分かっていたようなものです。ただ,正負の確認は必須です。今回,問題文ではθ=ーθ''まで上昇したとして,θ''>0で定義してくれています。このようなところにも東大様は配慮が行き届いていますね☺️。また,ここでは2乗ではなく,1乗の形で答えるよう指示されていますが,2乗の形でも満点は来ると思います。さっと答えを書いて,終了です。ブランコを漕ぐときは最下点で立ち上がればよいというのは,感覚的にもあってますよね。ここまでが物理の問題です(ここまでで,18分)。

⑷,⑸:ここからは数学の問題です。現役生配慮でそろそろ東大数学でも常用対数とか出題されないかな~🤔とか思ってたら,物理で出題されました。答えのN=5という数値も現実的でほっと一安心です(ここまでで,21分)

予想配点は⑴2点,⑵3点,⑶θ'に1点,θ''に1点,⑷2点,⑸1点くらいですかね。(ここでも,数学的な答えにはあまり配点はないと考えます。また,今回の問題の肝は⑵なのでそこに重点があると考え,この配点予想としました)

 これぞ東大と,世界に誇れる素晴らしいクオリティの問題だと思います😍。完全に予想通りの出題で,第1問を25分かからずに終わらせることができ,調子をつけて,第2問に向かうことができました。(自己採点では20/20点)

 思ったより長くなってしまったので,続きは次回にしたいと思います。まずは,東京大学2021・第1問「ブランコの力学」でした。

 次は,第2問「コンデンサー回路と,振動回路」です。

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