見出し画像

プロダクトづくりに必要な5つの解像度



本記事は、Stockmark Advent Calendar 2022 の 20 日目の記事です。


皆様、こんばんは。
ストックマークで事業開発(Bizdev)とマーケティングを担当しております田中です。

経営コンサルタントを辞めたのが2018年12月末、もう4年が経つのかと思う反面、まだ4年かと思うほど、濃密な10年だったなと思います。

2回目の転職なので、ストックマーカーとしては2年が経ちましたが、今日はB2Bのプロダクトづくりにおける解像度の言語化をしていきます。

本記事には次のことが書かれています。

● コンサル→PMM→POとして、プロダクトづくりの解像度を高めた話
● 結局、言葉を知ることが大事
● 新しい言葉を取り入れるからこそ学ぶことができる

では、早速この1年の解像度に関する言語化をしていきます。



5つの解像度

1.社会解像度:世界は今どうなっているか?

2022年、今年もいろいろな変化があった1年でした。
2020年に始まった世界的な感染症もようやく落ち着きを見せ始め、東京でも多くの外国人観光客を見かけるようになりました。
他方、大国による武力行使という起きてほしくない出来事が世界に緊張感をもたらしました。

・・・皆さんのプロダクトに影響がありましたか?
実は、影響があまりない、と思った方も多かったのではないでしょうか。

ストックマークは、世界で起きている出来事の中で、あなたに必要な情報を届けるプロダクト『Aseries』を提供しております。

世界がどうなっているのかを理解し、自分のビジネスに活かしたいと考えるお客様にご支持頂き、利用ユーザー数は1万人を超えるサービスに成長しました。

しかし、まだ導入を見送られる方もおり、
「ニュースを見ても自分にあまり影響がない」
と感じられている方が一定数いらっしゃいます。

「世界情勢くらい当たり前に把握しておくべき」という考えが当たり前ではなくなり、自分の身の回りの情報なら気軽に得られるようになったことも影響しているかも知れません。

そうした環境においても、なお以下の3つのことが大事だと感じています。

1)言葉(概念)を知ること
2)知っている言葉の変化を知ること
3)言葉の背景を理解すること

言葉=概念、だと私は理解していますが、自分たちのプロダクトが使われている現実世界において、言葉を理解することで、次の顧客解像度や技術解像度を上げることができます。

実は解決したい課題に対して、社会解像度が低くて、顧客や技術を理解できずに、チャンスを逃しているのではないか?

すべての解像度に影響する社会解像度について、定期的に高める工夫が必要です。

2.顧客解像度:顧客は何にお金を払うか?

プロダクトづくりにおいて何よりも重要なのは課題。
いえ、正確にはお金を払って貰える課題です。

この領域においては、東京大学 FoundXの馬田さんを始め、多くの方が書かれているので、詳細は割愛しますが、私は以下がポイントと認識しています。
(定期的に見直しているyoutubeはこちら。最近、本も出版されていましたね)

1)現在の行動を知ること
2)理想の行動を知ること
3)行動の本音を知ること

一方で、これらのポイントに基づき、顧客を深く理解すればするほど、何か腑に落ちない部分があり、例の言葉を思い出します。

「もし私が何が欲しいかと聞いていたとしたら、人々は『もっと速い馬』と答えただろう」

ヘンリー・フォード

先日、事業開発とマーケティングを担当する上で、最近のマーケティングのトピックを知りたいと思い、セミナーに参加してみました。
そこで語られた内容は以下の内容です。

「マーケターとしての仕事でも企業成長のための戦略の策定と実行は求められる。ただ、そこではイノベーションがなくとも既存市場・顧客を対象とした施策で機能する面もある。
しかし、環境変化の激しい現代において、その企業が継続して社会に役立ち続け、企業活動を継続するためにはイノベーション、つまりはBXも必要だ。イノベーションとは新たな市場・顧客を開拓する動き。CMOとなれば、このBXの領域においても役割を果たす必要がある」
(中略)
「イノベーション=事前合理性がなく、事後合理性しかない」、「マーケティング=事前合理性があって、事後合理性があるor(ない)」というもの。

https://www.advertimes.com/20221104/article400862/

完全に不勉強でしたが、私の中ではマーケターは完全に前者の「既存市場・顧客を対象とした施策で機能する面」の匠という定義でいました。

しかし、マーケターの仕事はイノベーションを担うようになり、社会と顧客の高い解像度から事前合理性がない課題を解決していく必要性に言及されていました。

そこで、学生時代を思い出すとイノベーションマネジメント専攻していた時に確かに事前合理性の話を聞いたことを思い出しました。(Connecting the dotsした瞬間でした)

出典:イノベーションと法(軽部 大 2019年)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/homu_kino/jisso_wg/pdf/002_01_00.pdf

事前合理性が低く合意形成が困難だが、後から世界がそれが必要だったと思えるような「iPhone」のような価値を生み出すために仕事をしていることを再確認しました。(当時はPDAと何が違うんだと思っていました、ごめんなさい)

それは決して顧客の声を聞かないことではなく、深く理解した上で、再度ストーリーを作り直すことであり、そのためにも5つの解像度のどれか一つでも欠けてはいけないと感じるに至りました。

そうして練り上げられたストーリー価値の提案に対して、顧客の皆様から感動した、という声を貰えた時の嬉しさは格別です。

3.技術解像度:プロダクトはなぜ動くのか?

テックスタートアップにおいて、社外の技術と社内の技術の両方の解像度が必要です。

1)原理を知ること
2)限界を知ること
3)進捗を知ること

特に、社内においては、社内での限界(制約要件)や進捗を知ることが非常に重要でした。進捗においては、技術の原理原則を教えて貰いながら、

  • 顧客課題を解決できる技術進化の方向性を定期的に議論する

  • 開発スピードからプロダクトへの実装タイミングを推定する

こうした議論の中で、自分の落書き構想が形になり、顧客に感動を与えられるのはプロダクトづくりの醍醐味ですね。
(画像①は2021年10月時点での構想段階、画像②は現プロダクト画面)

画像①2021年10月の構想
画像②現プロダクト画面(事例集機能)

4.仲間解像度:仲間は何を思っているのか?

プロダクトづくりはチーム戦です。
ただし、同じ目標に向かってゾーンに入ったチームになるには次のことが必要だと感じています。

1)仲間のやりたいことを理解すること
2)仲間の得意を理解すること
3)仲間の懸念を理解すること

これらを実現するために1on1が一般的かと思いますが、傾聴と提案のバランスが大切だと感じています。私は、相手の中に既に「どう行動するか」は存在しており、それを一緒に発見し、同じ目標に向かって一緒に行動するにはどうすれば良いかを対話していくスタンスです。
ここでも良い言葉を仲間から教えて貰いました。

【セイムピクチャー】
最近のラグビー界での流行語に、「セイムピクチャー」「同じ画を見る」がある。場面ごとのプレー選択や判断を、グラウンドに立つ全員が共有している状態を指すのだ。

https://rugby-rp.com/2016/03/29/abroad/super-rugby/15693

注記)上記の最近とは記事掲載日の2016年現在のタイミングです。

情報が溢れ、日々ルールが変わるビジネスというゲームの中で、「セイムピクチャー」を仲間と見続けることができるか、ここに多くの時間を割いた1年でした。必要なことは、仲間を知ること、情報を共有すること、それぞれの得意を活かしてセイムピクチャーを実現すること。

まさに、2022年ワールドカップにおけるアルゼンチンのように、ゴールするイメージを共有し、その形ができるように全員が貢献する、その画を恐れずに決め切ることが監督の責任だと改めて思うシーンでした(お疲れさまです、ホント)

リモートワーク環境下だと、仲間を知る雑談の頻度や深さが不足しがちですが、少ない機会に仲間の考えを知る良い画を準備しておくことが大事でした。大きな画だけではなく、局所的な画があれば、その状況下において同じ気持ちなのか、違う気持ちなのかのフィードバックをすぐ貰えるので気持ちに寄り添えます。これは顧客解像度の話と同じで、提案があるからこそフィードバックが貰えると感じています。

チームスポーツのノールックパスが決まった時の感動を、ビジネスでも実現できるように努めていきます。

5.自分解像度:人生を何に使いたいか?

最後の解像度は自分自身です。
自分の解像度も以下の3つがポイントです。

1)自分の能力を理解すること
2)自分の取扱説明書を知ること
3)自分の3年後、半年後、来週を意識すること

よく言われることではありますが、自分とどれだけ真剣に向き合えるかがプロダクトづくりにおいても重要と感じました。

これもよくある話ですが、作りたいプロダクトを作ってしまい、存在しない課題を解くプロダクトを作ってしまう、あるいはお金を払う人が少ないプロダクトを作ってしまうという失敗です。当然、これを回避するために、具体的なペルソナを作り、ペルソナの幸せな状態を定義して、ペルソナの評価基準で要件を整理し、規模を推定します。

ただ、前述の通り、「事後合理性しかない領域」をやろうとすると、「小さな成功の光」を自分で作っていかないと、自分自身も迷子になります。

迷子にならないためにも、自分自身をよく理解しておく、能力については、いわゆるPdMトライアングルの中で、自分が貢献できる(仲間から求められる)能力を正しく理解していることが大切です。

さらに、その能力が最大化される条件を周りにも理解してもらうこと、これは仲間の解像度が高いからこそ、自分との相乗効果がどこで生まれるのかがわかるので、自己開示できる部分も大きいと思います。

最後に、比較と内省する対象となる将来の自分を設定しておくこと。
事後合理性を実現するためには、自分の成長が不可欠です。学びの最大化をする上でも、「自分の3年後、半年後、来週」にどういう価値を顧客や仲間に届けられるかを考え、実行し続けることが大切です。
※3つのタイミングは環境次第だと思うので、皆様も自分の良い比較タイミングを見つけて貰えればと思います。

まとめ

この1年において、最も聞いた・話した言葉、『解像度』についての学びをまとめました。
プロダクトに留まらず、その価値を探求、具現化する立場となり、より客観的にプロダクトづくりを振り返れた気がします。

ただ、実際には更に以下の視点があります。

1)具体と抽象
解像度を高めた具体課題の解決後、どこまで抽象的な課題で拡げられるか
2)定性と定量
顧客の感情とプロダクト指標からどれだけ学びを得られるか
3)過去と未来
これまでの環境とこれからの環境を踏まえて、市場や顧客はどう変化するか

5つの領域×3つの次元。。。複雑ですね。
考えるだけ無駄だから、行動して顧客からフィードバックを貰った方が良いという意見もありますが、私は「既に誰かが学んだことをもう一度自分で学ぶ必要はない」という考えのもと、正しく早く転けたい、と思っています。

そのためにも、まだまだ解像度を上げて言語化する必要はあり、そのためにも言葉との出会いが必要です。

その言葉を簡単に把握できるプロダクト『Aseries』と言葉を教えてくれる仲間が身近にいる贅沢な環境だなと改めて思う年末です。

※本記事はAIが書いたものではありませんが、ワールドカップ決勝(アルゼンチンVSフランス)後の興奮と感動によって言語化されています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?