【中学受験】算数について(1)
私は小学生のとき、算数が一番苦手だった。
苦手になったきっかけは、二年生になったときの掛け算の九九だ。
いきなり呪文のように「にいちがに、ににんがし……」と覚えろと言われて「なんでこんなもの覚えなきゃいけないの?」と思った。
そして学年が進むにつれ、分数が出てきて、小数が出てきて、ますます算数は嫌いになった。
算数だけは得意科目だったらしい、我が家系。
どんなに悪くても、算数さえ良ければ父は怒らなかったが、三年生か四年生のときに、5段階評価で、算数で2を取ったときに、マジギレした父親に茶碗を投げられた。
以来ますます算数が嫌いになった。
国語は好き、社会は好き、理科は好き、でも算数は大嫌いだった。
中学に入ってからも、先生との折り合いが悪く、数学は大嫌いな科目だった。
そんな私でも、高校受験の勉強を始め、数学を真面目にやりだしてから、「えっ? 算数と違って数学って楽勝じゃん」と思うようになった。
気づくと一番好きな教科が数学になっていた。
特に図形の証明問題などは、問題を見ただけで「よっしゃ、やったるか」という気分になり、ワクワクした。
そうなってくると全教科の中で、最も得意なのが数学になり、数学が大好きになった。
そこで私は改めてふと思った。
「俺はなんで今まで数学が嫌いだったんだろう」と。
思い当たるふしはいくつかある。
まず第一に九九、第二に計算だ。
当時小学校の算数は計算が多く、算盤をやっている人間が計算が速かった。
九九もまともに覚えてない自分が、そんな人間にとうてい勝ち目なんてないと思った。
ところが受験勉強をするうちに、計算はいろいろな工夫をすれば、別に難しい計算をしなくても、まったく問題ないということに気づいた。
(続く)
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